宮城谷昌光のレビュー一覧
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「砂と星の国 晋」
ロマンチストな表現にどれだけ明るくて素敵な国なのだろうとの想像を裏切り、
その誕生から成長まで血にまみれている、なかなかハードな国。
重耳というタイトルなのに重耳の祖父、称の国力増強から物語が始まるところに宮城谷さんらしさを感じる。
食前酒、前菜、パン・・・とメインを待っている内におなか一杯になってしまうことが多いのだが、
これはちっとも満足させない。寧ろ食べれば食べるほどメインが待ち遠しくなる魅力を秘めている。
どうやって重耳は覇者となりえたのか。
その素地は一体どこでできあがったのか。
その疑問に答えを与えてくれているかのようだ。
初読では、称からどうして重耳のような茫洋とした孫が生まれたのか
とても不思議だった。
しかし読めば読むほど、心に秘めた苛烈な部分や、ちょっとした時の臣下への接し方に共通するところを感じ、
宮城谷さんの手腕に改めて敬服。
・・・でもこの巻だとやっぱり重耳の出番は少ないなぁ
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Posted by ブクログ
活劇系。一巻は勢いもあってぐんぐん読める。主役兄弟の青春の熱が愛おしい。いつも正義で描かれる人々が、裏側の視点で立ち上がってくる。勝者の語る歴史以外を探る視点が、歴史を眺めるうえでは大切なんだなと分かる。英雄たちに残る苛烈なエピソード、一見清冽な意志から生まれているようで、よくよく眺めてみれば打算や計算が見え隠れするような判断や行動。自分が史実を眺めるときも、常に考えたい部分だ。時代の趨勢は大局的で、誠実に生きる人々に残酷な選択しか迫らない。こまやかな配慮も大きな力の前では無力で、すごく切ない。そんな中でも、信念を貫くこと、貫けなかったことに気づくこと、生き方を考えることを、捨ててはいけないんだなと、読後に何かが残る物語。4巻で完結。
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Posted by ブクログ
前520年頃。晏嬰(あんえい)とその父晏弱(あんじゃく)の物語。斉の名宰相と呼ばれた晏嬰。史記の著者である司馬遷も彼を尊敬していたそうです。
晏嬰は,父が死んでから古い礼儀にしたがい3年間の喪に服したそうです。当時は1年はあったとしても,3年間は珍しく,これが人々の尊敬を集めるきっかけになります。喪中に敵が晏嬰宅に攻め込みましたが,これを見て感激し「手を出してはならぬ」と命じたそうです。
晏嬰が喪から明けたとき,斉は宰相の崔杼の陰謀等により滅亡の危機でした。しかし崔氏も没落し,景公が王位についた時,晏嬰は入閣しました。晏嬰は景公にも臆することなく諫言し,国を大いに栄えさせました。
晏嬰は歯に衣を着せず,相手が君主であろうとNOを言い続け,しかも天寿を全うしたことがすごい。
また晏嬰は位が高くなろうとも質素倹約につとめたことは,管仲や范雎,子産が多少吝嗇に走ったことを考えると異質であり,すばらしい。
春秋戦国時代は,富めば嫉視され,貧しければ蔑視される。力があれば憎まれ,力がなければ虐げられる。このような中,正道を進んでゆくのは至難である。しかも天寿を全うするなど,天が晏嬰を生かしたとしかいいようがない。
「君主に愛されるより,民に愛されることだ。君主は一代であり,民は永代である」「人が迷うとすれば,欲においてである。欲を捨てれば,自ずと迷いも消える。ただ,欲を捨てようとすることも欲であり,難しい。過大な欲を捨て,寡欲であればよい」「勇気とはおのれの正しさを貫いてゆく力をいう」「やり続ける者は成功し,歩き続けるものは目的地に到着する。わたしは人とかわったところはないが,やりはじめたことはなげださず,歩き続けて休まなかったものです。あなたが私に勝てないというのであれば,ただそれだけのことです。」この言葉が好きだ。
全4巻
1回目2008/2/3