【感想・ネタバレ】子産(下)のレビュー

あらすじ

謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。3年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻の前半は、ちょっと読みづらく感じてしまった。しかし子産という人を描くのに、父親の子国という存在は省略できないのだなと、読み進めていくうちに著者の思いをじっくりと味わうことができて、素晴らしい作品だった。もっと春秋時代の理解を深めて再読したい。日本の政治家にも読んでほしい。
巻末の解説も良かった。

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

下巻から子産の物語が本格的に始まります。
鄭という国は小さい国であり、
その執政の名前は有名ではありません。
子産本人よりも孔子が尊敬した人だから、
すばらしい人物というのが一般的ではないでしょうか?
私も韓非子や孔子の中の話で少しだけ出てきたため、
子産という名前だけは知っていました。

子産の筋の通った生き方が礼に通じ、
国を改革し、平和をもたらし、民を豊かにする。
今の時代にいない国を司る人です。

もっと早く子産を読んでいたらと思いました。

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2010年07月03日

Posted by ブクログ

下巻では、子産の父の子国が陰謀に巻き込まれて殺害され、それを収めて家を継ぐ。

位も世代交代とともに執政まで上がり、子展・子皮といった宰相に仕えて軍事・外交・政治で成果を上げ、晋と楚に挟まれて右顧左眄していた鄭の政治に中興をもたらす。

政治姿勢は、礼を重んじ、豊富な有職故実の知識を保ちつつ、前例に流されずに、状況に応じて適切な辞を繰り出す言葉の天才でもあり、孔子が尊敬する二人のうちの一人(もう一人は周公旦)であった。現代風に言えば、人を動かす言葉の達人、ナラティブの達人であったということか。また、子展の死後に、子皮から全権を任されて、農地・兵制改革に従事し、貴族でなく国・公室に一定の力が蓄えられるように制度を見直した改革者でもあった。

同時代人として、斉の晏子、呉の季札がいる。また、孔子が30歳の頃に亡くなったが知己は無かったという。

宮城谷さんが春秋左氏伝から読み解き、本書では一切の架空の人物は出していないという。その分、子産の歴史的意義を正確に伝えているとも言えるが、他の作品と比べて視点が少し引いた三人称的で、歴史小説としての面白さが少し割り引かれている印象を受けた(読み終わるのに時間がかかった)。

しかし、こうした思想を持った人の影響を受けて孔子が登場したということを理解できたのは良かったと思う。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

上下巻合わせてのレビュー。

子産。

鄭國の執政で孔子に敬愛された人物でありながら、その功績のあり方は不遇であった。

鄭國がのちに滅んだことも影響しているのか不明であるが、とにかく、子産は不遇であると感じていた。

その人物を『春秋左氏伝』の記述からここまで描くとは凄まじいと感じた。

歴史的な意義をもつ人間をもっと多くの人に知ってもらいたい。

宮城谷さんの文章は読みやすく躍動感にあふれている。
しかし、『晏子』を読んだあとであったからか、やや物足りないと感じてしまった。

もう一度読めば印象は変わるだろうか。
また読みたい。

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2021年03月09日

Posted by ブクログ

2013年07月 06/40
「礼」をもった政治を行った春秋時代の鄭の宰相「子産」のお話。「湖底の城」を読んでいたら、もう少しあのあたりの時代が読みたくなってそのままの流れで読みました。家の本棚にまだ残っているので、しばらくは春秋戦国時代を攻めようと思います。

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2013年07月30日

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宮城谷昌光氏の子産・下巻。
父の子国との別れ。子馬四の生き残りを賭けた外交戦略の有り様。子産がどういう政治改革を行ったか。子産は「礼」をどういう風にとらえていたのか・・・。それらを力強く、読みやすく書いてありました。
上巻でもそうでしたが、現代の「礼」って何なんだろう? と再度考えさせられた本でした

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2009年10月04日

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宮城谷が子産に言わせた言葉の中で、私が一番好きな言葉は『軽と驕をいましめよ』という言葉だ。いましめるというのは排除することではない。子産自身、ずば抜けて沈毅な人物として描かれていながら、時には野におり、賢人と自然の中で語らう時を求めたりと軽やかで爽やかな心の側面も見せてくれる。軽軽しい決断と勇気ある即断は違うということ、上を目指す人間の足もとをすくうのは、まさにこの二つの要因であることを改めて考えさせられる言葉だった。

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2009年10月04日

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下巻は子産の物語。彼の言葉が様々な人の心にしみこんで行く。彼の言葉ではなく彼が引用した言葉だが、印象に残った言葉は、
「軽ければ謀少なく、驕れば礼なし
礼なければ脱し、謀少なければみずから陥る」

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2009年10月04日

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春秋時代、鄭の宰相を勤めた「子産」を書いた作品なり。
鄭は二大国にはさまれた国で、やむを得ず二面外交を行い国の信用は地に落ち国民は疲れ国力は落ちるばかりでしたなり。そんな中で子産は宰相になり二大国に停戦を行わせ平和をもたらしたなり。国内においては法律を明文化し住み易い国に作り変えたなり。ちなみに孔子が最も尊敬した政治家が子産だそうなり。

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2009年10月04日

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「沙中の回廊」を読むと士会が好きになり、こちらを読むと子産が好きになり・・・・。
でも本当にすきなのは孟嘗君に樂毅です(笑)

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2010年09月07日

Posted by ブクログ

ここの所、暫く宮城谷の作品を読んできているが、この子産は、いささか筆が重い感じで、読むのにスムーズに進んでいかない。このシリーズ上下で随分時間を取ってしまった。それも、何か読んでいて引き込まれるものが無く、主人公がいつまで経っても、作品中で輝いて活き活きしてこないことが原因だと思い至った。教訓的な話が多く、理屈が先に立って、心に迫る膝を打つ話が無いために、子産の素晴らしさが伝わってこないのです。結果的に私にとっては、この作品は失敗なのかも知れません。ちょっと宮城谷に作品を読むのはお休みして、司馬遼太郎氏の世界に遊ぶことにしましょうか?!

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2010年04月05日

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