【感想・ネタバレ】太公望(上)のレビュー

あらすじ

古代中国史の中で、この男ほど謎と伝説に彩られた武人はいない……。羌(きょう)という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す――。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企てであった。少年の名は「望(ぼう)」、のちに商王朝を廃滅にみちびいた男である。中国古代にあって不滅の光芒をはなつこの人物を描きだす歴史叙事詩の傑作!

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Posted by ブクログ

三国志や春秋戦国時代をさらに遡り、時代は殷。暴君紂王が悪虐の限りを尽くし、天も人も新たな風を求めた世において、後世にも不滅の光芒をはなつ人物があらわれる。王朝の殺戮から逃れた羌族の少年、太公望がそのひとである。

中国史においては、三国時代や春秋戦国時代が有名で多くの書物やゲームでも題材にされているように思います。実際、私もこれらの時代はいろんな媒体を通じて楽しませてもらっているところですが、私にとってのはじめての中国史は藤崎竜氏の漫画「封神演技」でした。基本はバトルものですが、緻密な構成にギャグ要素もあり、週刊誌に掲載されていたこともあって、子供だった当時は毎週ワクワクしながら読んでいた覚えがあります。主人公の太公望は、策士として時には汚い手も使いますが、とても魅力たっぷり。私にとって太公望とは、この漫画のイメージが強くあるのですが、宮城谷昌光が描く太公望も、これまた素敵な人物。族長として、軍師として、様々な立場で人を導いていく太公望。彼が投げかける言葉はときに物語を飛び越えて、読者の心をうつことがあります。宮城谷昌光の特徴なのかもしれませんが、本書では太公望に限らず、多くの信念を持った人物が登場し、彼ら彼女らの言葉にとても心を揺さぶられました。信念を持って、苦難に立ち向かいながらも正しいことを行うことの大切さを勉強させられました。

個人的に感じている宮城谷昌光のもう一つの特徴は、終盤が尻窄み傾向にあること。本書でもその印象があり、それまでの盛り上げが素晴らしかっただけあり、牧野の戦いも含めた終盤は、もっと膨らませて欲しかったなぁというのが率直な思い。
とはいえ、非常に楽しめた全3巻。引き続き宮城谷昌光の中国史を読んでいこう。

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2023年06月07日

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たとえば、その頃の日本は縄文時代と呼ばれている。
邪馬台国の卑弥呼が魏志倭人伝に登場するのはそれから1000年以上後のことになる。

そういう時代である。主人公の望も、後世からは神話的性格が色濃くみえ、その人となりをつかむには、真っ暗闇の平原を手探りでさがしまわるような困難があったはずである。もともと歴史小説にはファンタジーを描くような側面があるが、この主題に取りくむことは、それこそ想像力に翼でもはやさなければやり遂げることはできなかったであろう。

そして、生身の望をぼくはみた。宮城谷昌光の暗闇の中を踏破する勇気によって生々しさが与えられた太公望であると、そうおもっている。

じつは、この作品はぼくがはじめて読んだ宮城谷作品であり、はじめて読んだ、「児童」という字のとれた本格的な小説であった。宮城谷作品のなかでも文体がすこしだけ高いところにあるような雰囲気もあるが、それでも「宮城谷でオススメある?」と訊かれたら、真っ先にすすめたいものはやはり『太公望』しかない。

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2011年03月05日

Posted by ブクログ

歴史物は初めて読んだかもしれない

漢字一文字の名前を覚えるのに
凄く苦労して途中で誰が誰だか
分からなくなったりしたけれども・・・

望の生き方、考え方

色々なことを学べた本だったと思う。

今と全く違う時代だけど
でも現代でも役に立つような
心にグッとくるような
霧に晴れ間がさすような
そういう文章や言葉やらが
随所に散りばめられてた。

それを全部引用したいけど
ちょっとそれをするには長いのでw

一読の価値あり

ってやつだと思います☆

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2010年10月12日

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宮城谷昌光さんにハマるきっかけとなった本。復讐に身を燃やす望が時々みせる心の迷いが印象的でした。ちなみに封神演義とは全然違うのでお間違えなく。

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2010年09月03日

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一族を滅ぼされたかけた時期からの綿密なストーリー。人間関係と国レベルの思惑が絡みながらもするっと飲み込めてしまう複雑さをシンプルに表現する筆に感嘆もの。

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2010年05月24日

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やっぱり面白い。
何度読んでも望がかっこいい…。
これを読むと何だか前向きに頑張っていこうって気になる。

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2011年04月26日

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太公望がめっさかっこいいですvvv
道士でもなく超自然的な力も無く、ただ己の智謀を武器に仲間たちを守ろうとする姿に心打たれます。

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2009年10月04日

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物語の彼ではなく史実の姿を見ようとした作者の、誠実な視点が新鮮で格好いい太公望を生んだ。兄弟の絆(つまり一族の絆かな)がじんとしみる。宮城谷作品の導入としてもいい、活劇。

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2009年10月04日

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上中下巻に分かれているのですが、文王(姫昌)様と太公望が出会うのが、
下巻の真ん中辺りでした。
「このペースで、本当に商(殷)を倒して終わるのか?」と、
要らぬ心配をしました。
何の力も無かった太公望が、少しずつ、少しずつ、力を付けていく様は見事です。
ときどき本から顔を上げて、ふと気付いたら、
「アレ? またいつの間にか仲間が増えてるよ」と、
思わせるような静かな事の進め方でした。

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2009年10月04日

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釣りの神様で有名な太公望の一生みたいな話。
封神の影響で読み始めましたがまんまと宮城谷さんが好きになりました。
上中下と三冊あるし長いですが、一度読み出すと止まらないです。

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2009年10月04日

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初めて読んだ歴史小説。
歴史と言っても太公望については伝承しか残っていないので、少しだけ不思議な描写もあったり。でも、そんな幻想的な描写がさらに太公望の魅力だったりします。

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2009年10月07日

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殷周革命を周側から書いた小説。正確には主人公である太公望が周を利用することで殷を倒し復讐を果たすという話です。読みやすく物語に入っていきやすいので、太公望って聞いたことあるけど何した人なんやろと興味を持った人にはいいんじゃないでしょうか。

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2009年10月04日

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ネタバレ

マンガ『封神演義』の知識しかないので、いつになったら崑崙山に行くのか(行きません)、元始天尊は出てくるのか(出てきません)、この洞人っていうジイさんがそれなのか(違います)、習った剣術が打神鞭か(違います)、ほらやっぱり敵の矛を折ったぞ(だから違います)…とドキドキしながら読むことができた。
太公望はコミックより随分ちゃんとした人で、コミックでも策士だが、それだけでなく強い(くなった)。
上巻のラストでは仲間と別れて結局1人(奥さんと子供ができたけど)なので、本格的な活躍はこれから。なかなかの長編だが、中巻も楽しみ。

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2025年11月03日

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2024年
鑑賞作品 No.9

《感想》
高校時代の恩師の勧めを突然思い出し鑑賞。
望の人としての生き様を見せつけられる。
周りを次々に味方にしていく姿はまさに主人公の中の主人公。
持って生まれた力とそれを伸ばす努力、学ぶことは多い。

フィクションであるとはいえ、時々歴史の資料に立ち返って原典を引用しているため、臨場感がぐっと湧いてくる。

《印象に残ったシーン》
▼ 望が洞人から剣術を習うシーン

《MVPキャラクター》
▼ 継
幼いながら聡明かつ清廉な女児として5人の中で一際存在感がある。
一方、ときに子どもらしく望や周りの大人に甘える姿が愛おしい。
これからどんな成長を遂げるのかが楽しみ!

《ぐっときたフレーズ》
「有心を有心でうけとめようとするから、起居に破れや隙が生ずる。無心でいれば、相手の有心はありありとわかるというものではないのか。」

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2024年03月26日

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太公望の青年時代を書いた上巻。商に父と一族を殺され復讐を誓う。父の遺言に従い生き残った子供達5人と狐竹へ向かう途中で馬羌族や鬼方、土方などに助けられたり時には騙されたりし目的地を目指す。その後商王の一族と思われる老人から剣と文字を伝授される。自然や人をよく観察する事で兵法の原型を少しずつ現してゆく。

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2022年02月06日

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太公望全3巻の上巻

商への復讐を胸に近い、様々な困難に立ち向かいながら心身ともに成長していく望の生き方は、とても惹かれるものがあります。
冷静沈着に物事を広く見据えることの出来る太公望の目線で語られる物語。物語の展開も面白いですが、望の生き方からも目が離せません。

先の展開が楽しみです

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2020年07月05日

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宮城谷氏の著作はもともと気になっていたのだが、実際の読むのは初めて。太公望は、マンガ『封神演義』でもおなじみの人物。神話性のある人物だが、この作品の中では、一人の人間として描かれている。
上巻では、望の所属する姜族の集団が商王朝の受王(紂王)に襲われ、壊滅。望は数名の少年達と一人の少女を連れて草原を彷徨うことに。「紂王を殺す」という強い思いを秘めて。
上巻では中国辺境地の古代の様子がよく描かれている。鬼方や、土方といった異民族。商から北方の支配を任された箕子など多彩な人物が登場する。

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2018年11月14日

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史実を元に作っているものの、登場人物の心理描写など見事であっという間にのめり込んでしまいました。
ただ途中歴史解説が挟まってくるため物語が寸断され残念。
遊牧民の童子だった太公望が鬼公や箕子など上の人にどのように取り入っていったのかもとても勉強になる。

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2018年01月29日

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少年ジャンプで連載していた封神演義の知識しか持ち合わせておりませんが読んで見たいなぁと思い手に取りました。

仙人や宝貝とか特殊能力バトルが始まると思いきや意外と現実路線!
波乱万丈の前半と恵まれた出逢いにより積み上げられる能力とコネクション!
中巻が楽しみです!!

最初長いかなぁと思いましたが上巻が終わってみると、同じボリュームがあと二冊!!とワクワクします!



中国の殷末期!紂王が即位の前に人狩りと称し遊牧民族の羌族を襲う!
一族の殆どが囚われ族長等主だった者は殺されるが、主人公の太公望は運良くその難を逃れ、羌族の少年少女五人を引き連れ北の果てにある街を目指す・・・

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2017年11月01日

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太公望ってかなり昔の人物であるため、残っている情報は少ないと思うんだけど、その残された事実を上手く活用して、よくもまぁ、ここまで豊潤な物語をくみ上げているなぁ、という印象。この方の書いている物語は読んでいると無類に面白いんだよね。良い意味での勢いがあるというか。ただ、今作は登場人物が多すぎる傾向があり、しかも漢字一文字(かつ読み方も独特)と来ているので、なかなか登場人物が頭に入ってこないんだよなぁ。まぁ、中巻・下巻も楽しみながら読み進めたい。

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2017年08月04日

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太公望の青年時代を描く上巻。

一族を商によって殺された望は、商王を倒すという復讐心を持ちながら各地を放浪。
しかしその旅の中で、商という国の絶対的な力に触れ、ときどき不安になりつつも、なんとか折れずに精神的に成長していきます。

一応歴史小説なのですが、冒険記のような感じもあって、熱いシーンが多々ありました。

それにしてもまだ若造であるはずの望の能力に、偉いおじさんたちが次々と引き込まれていくところは、非現実的ではあるけれど、太公望の最強っぷりがよく現れていて、いいと思いました。

ここから望がどうやって商との因縁を晴らしていくのか、非常に楽しみです。

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2015年08月21日

Posted by ブクログ

初めて読んだ宮城谷さんの作品。
ストーリーに引き込まれるし、所々に出てくる人生訓が心に響きました。

中・下とどのように続いていくのか楽しみ!

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2013年06月27日

Posted by ブクログ

言わずもがな、の太公望。名前だけ有名でどんな人で何した人か知らない人が多い気がする。(ジャンプで連載してた封神演技の影響な気がする。。)
上巻は一族を滅ぼされた望がその異才を発揮しはじめるとこまで。
有名な人だしストーリーの展開も華やかなので飽きない展開でスラスラと世界に入り込める。宮城谷さんの文体も雰囲気にあっていて好き。
まさに「小説読んでる!」という充実感があるので満足。

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2011年06月26日

Posted by ブクログ

超人の主人公に出会う仲間や配下もことごとく傑物ぞろいで、うまくできすぎの気がして、王家の風日に軍配をあげてしまう。しかし読みやすかった。太公望が主人公なので仕方がないが、王家の風日と比べると太公望に係わる話が多く、商や周の動きなど歴史の流れの全体像がつかみにくいように思われた。

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2010年06月12日

Posted by ブクログ

突然商から攻撃を受けていきなり父から「別れだ」って・・悲しすぎますね。まずは忍耐の望と仲間に胸を打たれます。

何といっても望ですが、員と継も好き。望と継の関係が切なかった。

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2009年10月29日

Posted by ブクログ

太公望。
誰でも知っている名前でありながら、何をした人なのかは知られてないですよね。不遇時代に釣りばかりしてた人だという印象が強烈。軍師であることは知っていたのですが、その為にどちらかと言えば武張った感じを持っていました。
宮城谷さんは例によって少ない情報から、出来る限り正確な生身の太公望像を描き出そうとします。もっとも、それも最後は想像でしかないのですが。
宮城谷さんの太公望は、若くて、頭が良く、指導力を持つ剣の達人です(かといってスーパーマンでも無いのですが)。そして謀略の人。様々なスパイ活動で、反商勢力をまとめ上げ、最後の最後に周王と組んで商との戦いに臨みます。
500ページ×三巻の大作です。そしてそれが宮城谷さんの特長ですが、ダレることなく、しかしどこか淡々と物語りは進んで行きます。有名な釣りをしている太公望と周王の出会いは下巻の中ほど、牧野の戦いは最後の100ページに入っています。若き日の太公望の姿を描いた秀作です。

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2016年08月16日

Posted by ブクログ

私は知りませんでしたが、男性の人に聞くと割と知っているひとが多いみたいですね。何でも釣りの神様(?)みたいになっている人みたいで、よく船の名前とかにもなっている人みたいです。
その人の一生を感情豊かに描いてある作品です。上・中・下とありますが、割とすっと読めますよ。

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2009年10月04日

購入済み

写実的

正確な写実的な描写に心地よい感動。
必要以上に主観的でないところが特に良い。

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2016年06月17日

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太公望は、賢くて悲しい人だったんだなー!
漫画の封神演義とは全然違うんやな(笑)
賢人やら、残念な人やら色んな人が歴史動かしているのが、面白いです。

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2011年04月26日

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テストが終わってやっと読めた本。
十八史略では周公を扱う部分は多いが、呂尚のことは全く触れられないので是非読んでみたかった。
もちろん正史に記述がない=詳細不明なので歴史的に正しいかは怪しいが、彼を羌族の子孫として描いているのが特徴的。幼少期の避難の旅を通じて描かれる成長を見ていると、ふと未知の土地をさまよいたくなる。
その後仙人のもとで修業なんていうのはいかにも話のつじつまを合わせるだけのシーンであるように思われるが、後々伏線になってくるのだろうか・・・
上巻は、望が一族と旅を始めるところから、一人になり、本格的な旅立ちを迎えるところまで。彼の幼少期における史実と空想をうまくリンクさせている。

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2009年10月04日

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前1020年頃。商(殷)王朝が滅び周の時代に入る時の話。呂望は羌族の族長の子供として生まれました。姜族は度々商の狩り(人狩り)の対象となり,ましたが,呂望の一族も商に殺されてしまいます。ここで商への復讐を誓うわけです。その後,父の遺言である孤竹を目指しますが,旅の途中では鬼公や受王の叔父の箕子に出会い,影響を受けていきます。孤竹では仙人の元で修行をし剣と文字を習います。当時,剣と文字は高貴な人間しか習得できなかったため,望も次第に名声を得て,仲間が増えていきます。肉屋等の商売を行い身を隠しながら,商を倒す機会をうかがいます。商の紂王は妲己を寵愛し,妲己に言われるがままに炮烙の刑などを行うなど悪徳を行います。それを諌めたのが姫昌(後の周の文王)で,姫昌とともに商を倒そうと決意します。文王は商を倒す目前で死にますが,息子の発(周の武王)が文王の意思を継ぎ,望と周公旦の補佐で商を牧野の決戦で倒します。戦いは周軍4万5千,商軍70万と言われています。商軍兵の士気は低く,負けたのも時勢というものなのでしょう。負けた紂王は鹿台に火を放ち自刃。妲己は周軍殺されました。戦後,太公望は斉王に報じられ,ここから斉の歴史が始まりました。『この世に生まれた者は,かならず死ぬ。だが,死は人生の到着点でありながら,それは願望でも目的でもない。生きると言うことは,すべて途中である。その途中こそが大切なのではないか。』この言葉が好きだ!

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2009年10月07日

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