【感想・ネタバレ】沈黙の王のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年09月16日

宮城谷昌光『沈黙の王』
伝説の夏王朝や、商(殷)、周、そして春秋時代の晋の王や名臣を題材にした短編集。
表題作の『沈黙の王』は現在の漢字に連なる、中国最初の文字を創った王の物語。他にも、弓矢を創った者やそれに対抗して盾を創った者の話など、どの短編も非常に満足のいくものでした。
夏王朝の話で登場した...続きを読む人物の名前が晋代の会話の中で出てくるなど、歴史小説ならではの時代を超えた人々の歴史の紡ぎ合いを垣間見ることができます。

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Posted by ブクログ 2021年05月02日

短編集なのだがどれも味わい深い。
特に表題作の『沈黙の王』が好きである。
ラストはまさしく王が神聖な存在である、ということを示していると思う。

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Posted by ブクログ 2019年03月29日

黙せる王は、苦難のすえ万世不変の言葉、すなわち文字を得る。
古代中国で初めて文字を創造した商の高宗武丁を描く表題作。
夏王朝初期、天下覇業の男達の権謀術数を記す「地中の火」。周王朝の興亡をたどる「妖異記」「豊饒の門」など。美姫の姿も艶めかしい壮大なロマン。

乱世、人はいかに生きるかを問う。


...続きを読む編ばかり読んでいたので、久々感とともに新鮮な感じがします。
この中で私が一番好きなのは「沈黙の王」。
言葉を発することが出来ないというだけの理由で、王位を継ぐことを許されず、追放されて旅に出ることになった王子丁(子昭:後の高宗武帝)。
旅に出たことにより、自分の気持ちを理解して言葉として表現できる傅説と出会い、言葉を得ることが出来たということです。
当時の商王朝は、王は神々の声を聞いて、その言葉を伝えて王朝を運営していたのですから、言葉を発することが出来ないということが致命的だったのですね。

ちなみに、中国で最初の文字を作ったのは高宗武帝です。
「わしは言葉を得た。目にも見える言葉である。わしの言葉は、万世の後にも滅びぬであろう」
この高宗武帝の一言で『言葉』(字)を作る作業が始まりました。
象(かたち)を森羅万象から抽きだす

高宗武帝の言葉は、いまだに甲骨文で見ることができるのです。

言葉(字)を作るということを考えたこと自体が素晴らしい着想であり、すごく神秘的です。
言葉を発することが出来なかった高宗武帝だからこその着想だと思います。

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

中国の数千年前の古代を題材にした短編集

なかなかイメージがわかないほどの古い時代の人々を驚くほど生き生きと描いています。
歴史書では文字としてしか感じられないことを、私たちと同じように生きた人間として手触りを与えてくれて、とても嬉しくワクワクしました

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Posted by ブクログ 2022年02月28日

「言葉を形に表す」
現在、当たり前のように用いている「文字」はなぜ作られたのか……。

表題作の「沈黙の王」では、うまく言葉を発することができない商(殷)王武丁が「文字」を作るまでの物語を、主人公の生き方に光を当てて描く。

歴史小説家が研究者ではない訳は、「事実」や「考察」「推測」をもとに、さらに...続きを読む想像を飛ばし、作家の求める「真実」を「創造」していくことにある。
この作者は、まるでそこにいたかのように「言い切った」短い描写を丹念に積み重ねて、読者を物語の中へ引き込んでいく。
読者は読んでいるうちに「きっとこうだったかもしれない」とすら感じなくなる。

わたしは、歴史小説家が語ることを許される表現のひとつに「好き嫌い」があると思う。その点でこの作家の好き嫌いは、私と同期する。
表題作短編「沈黙の王」で逆境のなか辛抱強く旅をする主人公の姿は、のちの長編大作『重耳』に重なり、収録短編「妖異記」の太史伯陽や鄭公友の生き方の爽やかさは、『妟子』や『楽毅』『香乱記』の感動につながる。

かつて、ずいぶんと読んできた作家の、ポッカリ空いた読み残しを埋め、久しぶりに「この作家好きだ」と思えた。

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購入済み

面白い

2017年07月14日

楽しくハラハラしながら読み終えました。

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