宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 新三河物語(下)

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    非常に大作の本書だが、後半に行くほど内容に引き込まれてくる。
    最終巻の本書は小諸城を中心とした真田家との闘いから一気に大坂の陣戦後に至る。関が原や大坂の陣の描写があっさりしているのも特徴的。
    なにしろ主人公の平助の人生に武士の清々しさが象徴的に描かれていた。
    内容の濃い一書だと感じた。

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    2024年01月25日
  • 新三河物語(中)

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    中巻は主に遠江、駿河への進出と、それに伴う武田家との闘いが描かれている。よくある歴史小説とは異なり、三方ヶ原の戦いにおける徳川家康の倫理的信念と、武田信玄の倫理観に悖る行いというような価値観で描かれている。また、駿河進行に至るまでの過程も、大久保家を主体として描くことで丁寧に描かれていて、他の歴史小説とは異なる視点が示されているところが面白い。上巻以上に内容に引き込まれた。

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    2024年01月25日
  • 新三河物語(上)

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    徳川家康の活動を描く物語ですが、原著者の大久保彦左衛門が描いた三河物語が底本になっていることから、徳川家の柱石の一つである大久保家を主として描いた物語。よくある徳川家康や織田信長を描いた歴史小説とは違って徳川家の家臣目線なので雰囲気が大分違う。悩める青年大名として描かれやすい徳川家康が、常に厳然としたリーダーとして描かれている。上巻は三河の一向一揆鎮圧が主たるテーマ。とても丁寧に描かれていて、読み進めるうちに本書に惹き込まれていった。

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    2024年01月21日
  • 諸葛亮 <下>

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    劉備が益州を取り、魏が後漢から禅譲により国を簒奪することで蜀漢を設立。その後有名な出師表を出し、義と戦う。ただその戦い方は三国志にあるようなスーパーマンのような闘いではなく、情報戦、兵糧の調達などに苦しみながらの闘いを行って、屯田を行いながら兵を出す。ただ四川の山々は守は良いが攻めるのも山、谷を越えなくてはいけないところでの出陣は険しい物であった。 それでも、後出師表を劉禅に出し、4度の闘いに赴く。仲達を翻弄しながら、残念ながら五丈原で病没する。 
    三国志に出てくる、祈祷とか木像を作り、仲達を撤退させる、「死せる孔明、生きる仲達を走らせる」はあったようだ。
    どちらかというと蜀漢の孔明の生涯と言

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    2024年01月19日
  • 戦国名臣列伝

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    人の性格や賢愚で人生の明暗が分かれるところは現代にも通じており、自己啓発本みたいな側面もあって味わい深いです

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    2023年12月23日
  • 諸葛亮 <下>

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    遺産とは、財でも宝物でもなく言葉なのだ。
    あとがきに
    「なぜなぜと自問を繰り返しているうちに、小説の構想は膨らんでいくもので、そういうなぜがないと歴史小説は面白くない。どこを探しても正解が得られない時でも小説家は避けずに小説的解答や解釈を示していくべきであろう。私はその覚悟で、連載小説を書き始め書き終えた。」
    とある。この本を読む価値は、ここにあるのであろう。自分では調べられないこと、自分では問えないこと。自分では導き出せない解答、解釈。
    この小説は、日経新聞夕刊2022年1月4日から2023年3月31日まで連載されていた。連載には絵があったようだ。過去の新聞を見返してみたい。

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    2023年12月21日
  • 孔丘 上

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    孔子の教えではなく、その人物を描く歴史小説。
    漫画『キングダム』の影響で、諸子百家といえば戦乱を思想と弁舌で渡り歩いたイメージだったが、上巻を読む限り、孔子の時期は戦国時代前の春秋時代で、後の戦国七雄となる国もすでにあるもののどこかまだ牧歌的、周王朝もまだそこそこ立てられている印象。あくまで小説なのでどこまで本当かはあるけど。
    その分、小説としての展開は若干退屈ではある。孔子もまだ町で教えてるだけっちゃだけだし。
    しかし、儒教や中国思想の本は教えが脈絡なく並んでいるように感じられる自分にとっては、孔子の教え的なものがストーリーの中で随所に出てくるのはよい。

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    2023年12月10日
  • 孔丘 下

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    陽虎を避けて斉に至ったときには晏嬰と反りが合わず仕舞い。著者の「晏子」は好きな作品だったから、何とも残念に思う。互いに融通の利かぬ偏屈ということなのか。

    陽虎の野望が潰え、季孫斯の輔弼となる孔子。城壁の取り壊しを行うが、仲孫氏、叔孫家の反発を買い、弟子たちとの長い放浪となる。
    正直、礼による国家づくりに季孫斯が賛成したのが納得し難い。白川静先生は孔子によりクーデターと捉えていたと思う。酒見賢一のサイキック小説「陋巷に在り」もそう。

    小説の終盤、顔回や子貢も活躍するが、論語のエピソードから飛び出た俊英の弟子たちの像がはっきりしたように思う。ただ、それでもその描き方はあっさりして、不満が残った

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    2023年11月14日
  • 孔丘 上

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    久しぶりの宮城谷さんの本。若い頃に結構、著者の本を読み耽った。
    宮城谷さんに教えて貰ったのは、漢字の成り立ちを解き明かした白川静先生。白川先生の孔子伝に沿った内容だろうと思ったが、そうでもないように感じた。
    いつでも書くことは出来たんだろうけれど、機が熟すのを待ったんだろうな。

    孔丘の題名と文中でもその名で書き連ねることが、その人に迫ろうとする姿勢と思う。
    そして丘の名を命名したのが母とする処が沁みた。

    儒は元々、葬礼を儀礼をつかさどるもの。そこから学び始る孔丘。官職を得てからも学び続ける。ある意味、偏屈な一匹狼で、直情家な性格をうまく描いていると思う。
    そして教育者であり、弟子たちを引き

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    2023年11月12日
  • 孔丘 上

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    孔丘のひととなりが垣間見れる。今も同じように世の中が動いているのかもしれない。
    ある意味普遍的ではある。

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    2023年10月26日
  • 三国志名臣列伝 蜀篇

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    諸葛孔明に関羽に張飛・趙雲……
    演義でお馴染みの人物ですが…
    この本は正史ベースなので新しい発見もあり面白いんだよねぇ(^^)/

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    2023年06月19日
  • 三国志名臣列伝 蜀篇

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    シリーズ物で今回は蜀篇でしたが、引き続き淡々とした表現が読みやすく、あまり詳細を語られない李カイ、王平、費禕や人気者の趙雲の最期が取り上げられていて楽しめました。

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    2023年05月28日
  • 三国志名臣列伝 蜀篇

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    久しぶりに三国志関連の書籍を読んだけど、やっぱり熱い。魏・呉・蜀の三国時代。その中で蜀の国の名臣たちを取り上げた伝記的物語。関羽、張飛、諸葛亮、趙雲と誰もが知る有名人たちと、李恢、王平、費禕と知ってる人なら知っているレベルの人たち。

    私と三国志の出会いは、忘れもしない、中学1年生の時に買った横山光輝氏の漫画三国志の1~3巻だった。当時1000円を手に何か買おうとして、迷った挙句買える金額ギリだった3巻までを買った。そして家で読む…なんだ、この面白い物語は!もちろんドラゴンボール等も読んで面白かったのだが、この三国志の物語、絵はそんなに美しくないのに壮大でグイグイ引き込まれた。それから1000

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    2023年04月23日
  • 三国志入門

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    新書ではあるが小説のようにすらすら読めてしまう。群像の動きや三国志の流れを知るのにうってつけの正に入門編

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    2023年03月19日
  • 草原の風(上)

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    後漢を開く、劉秀のお話。
    今の所、宮沢賢治のような感じを受ける。
    ここからどうなっていくのか楽しみ。

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    2023年02月14日
  • 新三河物語(中)

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    宮城谷さんが描く、家康物のサイドストーリーでしょうか。家康を囲む重臣(大久保氏)からの視線で描く三河の新しい物語であります。大久保一族の名前をフォローするのが大変なので(忠員、忠世、忠佐、忠包、忠寄等々)、手元の一覧表を頼りに、読み進めております。もう一つの家康サイドストーリー、風は山河から、とも重なる攻防戦(信玄との戦い等)も描かれ、家康の遠江攻略の物語が立体的となる印象もあります。作者(豊橋、時習館高卒)の郷土愛の感じられる一冊、★四つであります。」

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    2023年01月15日
  • 三国志名臣列伝 後漢篇

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    本作には古代中国の後漢王朝末期の人物、何進、朱儁、王允、盧植、孔融、皇甫嵩、荀彧を主人公にした7篇の小説が収録されており、巻末には文芸評論家である湯川豊による解説が掲載されている。

    『三国志』の人物というと、どうしても『三国志演義』でのイメージが定着してしまっているが、本作は飽くまでも「正史」を元にしており、その点で新鮮な印象を受ける。
    特に『演義』で優柔不断な愚将のイメージが強い何進が、それなりに人望がある人物として描かれているのが興味深い。

    どの作品も宮城谷昌光らしい清廉な筆致で、読んでいて清々しく、また、面白かった。

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    2022年11月19日
  • 草原の風(下)

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    後半は戦争の記録みたいな感じ。
    「疾風にして勁草を知る」…作者は劉秀のこの言葉一つで、小説を書いたのではないか。

    苦難を乗り越えてほんとうの成功があるのだろうし、ぱっと出で成功した者が見ている景色は幻想に過ぎない。
    現代の成功者たちにも当てはまる。
    宮城谷氏の小説を読むと、
    何かを成したいと思う者は、歴史を学ばなければならない、というメッセージが込められている気がする。

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    2022年10月02日
  • 草原の風(中)

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    中巻は戦争です。その最中に多くの家族や仲間を失いながらも、仲間内での闘争を避けるために頭を下げ続ける劉邦。
    エンターテイメント小説ではないので、英雄が出て、さっと解決!にはならないんですよね。いろいろな苦難を越えて、ついに劉邦の時代が来る??
    陰麗華との話の盛り上がりを期待していましたが、そこはないのね〜笑
    宮城谷氏の色っぽい筆をたのしみにしている身としては、ちょっと残念。
    劉邦にはエロティックな要素は不要ということでしょうか。

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    2022年09月30日
  • 花の歳月

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     宮城谷昌光は始めて読んだ。「みやぎや」ではなく「みやぎたに」と奥付のふりがなは書いてある。以後注意。
     落ちぶれた名門の娘、竇猗房(とういぼう)が漢の王室に入ることになった。当時宮廷で威を振るっていたのはかの呂太后。
     やがて猗房は呂太后から北方の代国の王:恒に贈られ、代国の竇姫(とうき)となる。
     呂太后の死後、栄華を誇った呂氏一族は滅び、代王恒が皇帝となり、猗房は皇后となった。

     文章がりんとしていていい。他も読んでみよう。

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    2022年08月31日