宮城谷昌光のレビュー一覧
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劉備が益州を取り、魏が後漢から禅譲により国を簒奪することで蜀漢を設立。その後有名な出師表を出し、義と戦う。ただその戦い方は三国志にあるようなスーパーマンのような闘いではなく、情報戦、兵糧の調達などに苦しみながらの闘いを行って、屯田を行いながら兵を出す。ただ四川の山々は守は良いが攻めるのも山、谷を越えなくてはいけないところでの出陣は険しい物であった。 それでも、後出師表を劉禅に出し、4度の闘いに赴く。仲達を翻弄しながら、残念ながら五丈原で病没する。
三国志に出てくる、祈祷とか木像を作り、仲達を撤退させる、「死せる孔明、生きる仲達を走らせる」はあったようだ。
どちらかというと蜀漢の孔明の生涯と言 -
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遺産とは、財でも宝物でもなく言葉なのだ。
あとがきに
「なぜなぜと自問を繰り返しているうちに、小説の構想は膨らんでいくもので、そういうなぜがないと歴史小説は面白くない。どこを探しても正解が得られない時でも小説家は避けずに小説的解答や解釈を示していくべきであろう。私はその覚悟で、連載小説を書き始め書き終えた。」
とある。この本を読む価値は、ここにあるのであろう。自分では調べられないこと、自分では問えないこと。自分では導き出せない解答、解釈。
この小説は、日経新聞夕刊2022年1月4日から2023年3月31日まで連載されていた。連載には絵があったようだ。過去の新聞を見返してみたい。 -
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孔子の教えではなく、その人物を描く歴史小説。
漫画『キングダム』の影響で、諸子百家といえば戦乱を思想と弁舌で渡り歩いたイメージだったが、上巻を読む限り、孔子の時期は戦国時代前の春秋時代で、後の戦国七雄となる国もすでにあるもののどこかまだ牧歌的、周王朝もまだそこそこ立てられている印象。あくまで小説なのでどこまで本当かはあるけど。
その分、小説としての展開は若干退屈ではある。孔子もまだ町で教えてるだけっちゃだけだし。
しかし、儒教や中国思想の本は教えが脈絡なく並んでいるように感じられる自分にとっては、孔子の教え的なものがストーリーの中で随所に出てくるのはよい。 -
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陽虎を避けて斉に至ったときには晏嬰と反りが合わず仕舞い。著者の「晏子」は好きな作品だったから、何とも残念に思う。互いに融通の利かぬ偏屈ということなのか。
陽虎の野望が潰え、季孫斯の輔弼となる孔子。城壁の取り壊しを行うが、仲孫氏、叔孫家の反発を買い、弟子たちとの長い放浪となる。
正直、礼による国家づくりに季孫斯が賛成したのが納得し難い。白川静先生は孔子によりクーデターと捉えていたと思う。酒見賢一のサイキック小説「陋巷に在り」もそう。
小説の終盤、顔回や子貢も活躍するが、論語のエピソードから飛び出た俊英の弟子たちの像がはっきりしたように思う。ただ、それでもその描き方はあっさりして、不満が残った -
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久しぶりの宮城谷さんの本。若い頃に結構、著者の本を読み耽った。
宮城谷さんに教えて貰ったのは、漢字の成り立ちを解き明かした白川静先生。白川先生の孔子伝に沿った内容だろうと思ったが、そうでもないように感じた。
いつでも書くことは出来たんだろうけれど、機が熟すのを待ったんだろうな。
孔丘の題名と文中でもその名で書き連ねることが、その人に迫ろうとする姿勢と思う。
そして丘の名を命名したのが母とする処が沁みた。
儒は元々、葬礼を儀礼をつかさどるもの。そこから学び始る孔丘。官職を得てからも学び続ける。ある意味、偏屈な一匹狼で、直情家な性格をうまく描いていると思う。
そして教育者であり、弟子たちを引き -
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久しぶりに三国志関連の書籍を読んだけど、やっぱり熱い。魏・呉・蜀の三国時代。その中で蜀の国の名臣たちを取り上げた伝記的物語。関羽、張飛、諸葛亮、趙雲と誰もが知る有名人たちと、李恢、王平、費禕と知ってる人なら知っているレベルの人たち。
私と三国志の出会いは、忘れもしない、中学1年生の時に買った横山光輝氏の漫画三国志の1~3巻だった。当時1000円を手に何か買おうとして、迷った挙句買える金額ギリだった3巻までを買った。そして家で読む…なんだ、この面白い物語は!もちろんドラゴンボール等も読んで面白かったのだが、この三国志の物語、絵はそんなに美しくないのに壮大でグイグイ引き込まれた。それから1000