宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 三国志 第十巻

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    第9巻は曹操をはじめ魏陣営を高評価に描写したいがため、相対的に諸葛亮および孫権(呉)について辛辣かつ不当に非難する件がいくつかあり、読んでいてこの点が不快でならなかった。
    しかし当第10巻は諸葛亮逝去という重要な描写があるためか、さすがにいつもの宮城谷昌光らしい穏やかな筆致と言えるもので満足できた。
    『正史』準拠のため三顧の礼や赤壁の戦いでの活躍も描写されなかったためか、諸葛亮の逝去は今ひとつ感慨が薄かったといえる。

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    2020年04月02日
  • 楽毅(三)

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    中国戦国時代、楽毅の活躍を描いた物語の第3巻。祖国中山がどのような帰結を迎えたのか、趙の野望はどう展開していくのか、が第3巻の2つのヤマでしょうか。なかなかのドラマでした。
    登場人物はそれぞれ個性的なのですが、本巻においては人相見、唐挙のキャラクターがなかなか素敵でした。

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    2019年12月01日
  • 楽毅(一)

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    中国歴史モノ、畏れながらも何も知らない自分ですが、先輩のオススメがあったのでこわごわ手を伸ばしてみました。
    とりあえず、「楽毅」ってIMEの変換で出てくるくらいの有名人だったのか…というレベル。中山国の首都、霊寿も石家庄と言われると何となくわかるような。

    全4巻の第1巻、序盤はスロースタートの印象でしたが(色々と国やら背景やらを説明されるものの、ストーリーと連動しないからまぁ頭に入ってこない…)、本巻の半分くらいからはテンポ良く話が進んでいきます。
    人の駆け引きであったり、兵法であったりが出てくるあたりは今後の面白さを感じさせます。文中に出てくる「孫氏の兵法」と「墨子の兵法」の違いは、戦略と戦術の違いに似ているようにも思え、なるほど楽毅の凄さを感じさせます。しかし、挿絵の印象と文中の印象が全然一致しません(笑

    何にしても、歴史小説の常で、人間同士の駆け引きや地政学を大いに楽しませてもらえそうな本です。とりあえずは4巻全部読み通してみようかなと。
    いきなり読み出すには取っつきづらい本で、オススメがなければ自分からは絶対に手に取らなかった本だと思います。先輩のリコメンドに感謝。

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    2019年10月05日
  • 三国志 第十二巻

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    ネタバレ

    司馬昭のおおらかさ、狡猾さ、総じて政治力が高い。
    とうがいはある意味その犠牲者だが、高い能力と華々しい活躍の割りに最期が寂しい。
    鍾会の野心とそれを利用する姜維の執念、面白いところだがあっさり。
    劉禅はほんとうに暗愚か?
    呉のぐだぐだはおなかいっぱい。

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    2019年09月22日
  • 呉越春秋 湖底の城 一

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    ネタバレ

    五巻までは五子胥編、六巻からは范蠡編だ。
    五子胥編では、楚出身の子胥が父、兄を誅殺され、呉に逃れて、楚に復讐するはなしだが、そんな中でも、孫武と出逢い、これを呉にまねき、闘いに勝っていく様がこ気味良い。復讐は、既に死んでいた楚の王を墓から出して屍に鞭打ってけりをつける。五子胥は、呉王 闔臚に信頼されていたので、楚出身といえども、呉を使って、復讐ができたのである。
    范蠡編は、呉越の戦いだが、越王 允常は破棄旺盛で、呉を侵したが、ケガを負い亡くなってしまう。越王 勾践に代わり、こちらは非常に民衆からも慕われていたが、闔臚の後の呉王 夫差となったとき、戦いで負けたため、夫差に囚われ、僕のような生活を強いられた。これになんとか耐え、范蠡などの奔走で国に返ることを許された。その後、勾践は、国を富ますために、10年間無税にするなどし、満を持して呉との闘いにいどむ。その頃、呉は夫差の悪政により、軍も弱くなっており、戦いは圧勝に終わり、復讐をはたしたのである。
    全9巻

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    2019年07月07日
  • 三国志 第八巻

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    ネタバレ

    曹丕が夏侯尚の愛妾を殺して廃人にする腹黒エピソードが載っている。
    途中まで読んで長らく放置してたので内容は忘れたが関羽が陸遜のやり方を腹黒いと憤るシーンもあった。
    魏蜀との関係を慎重に図る孫権も狡猾。
    そう思うと曹操ってやっぱすごかったな。
    劉備はまあ……

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    2019年05月02日
  • 楽毅(四)

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    ネタバレ

    燕に辿り着いた楽毅が中華を巻き込む合戦に挑む。大国秦vs連合軍。孫子(孫臏)の兵法を駆使し、秦に挑む楽毅は勇猛であり狡猾(それでいて清々しい)
    宮城谷昌光作品の特徴でもあるけど、出来るだけ史実に基づき描いているので、クライマックスシーン直前の註釈は読み手の温度が下がってしまうが仕方なし。読後にはただの痛快歴史小説にはない徒労感が湧き出て来るのも含め宮城谷ワールドな一冊。

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    2019年04月02日
  • 呉越春秋 湖底の城 六

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    ネタバレ

    復讐者・伍子胥としてのエピローグ。全ての景色が単色に見えるほどに仄暗さが伍子胥を覆う。ただひとりで国をも潰えさせた復讐劇も、寂寥感が伍子胥を包み込む。伍子胥を中心とした春秋時代は新たな戦国時代へのプロローグとなる。

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    2019年03月19日
  • 新三河物語(上)

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    徳川家に仕える大久保一族を書いた小説。山岡壮八の徳川家康と比べると、作者の違いによって異なる家康像が見えてくるのも面白い。綿密な研究で歴史をより忠実に描こうとしている作者なため、歴史について学べるところが大きい。物語としての面白さは少し半減するのだが。

    一向一揆について、山岡壮八著では家康の母であるお大が、家康に無益な戦をやめるように諭し、慈悲を持って一向一揆収めたように描くが、この作品では家康を母を高めるためにそんなフィクションを作らない。リアルな一向一揆と、その特に感動的ではない収束を描く。

    長篠の戦いも、鉄砲の魅力が事を決したように描かないのが、新鮮だった。

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    2019年02月24日
  • 晏子(三)

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    前巻までピンピンしていたお父さんが、いきなり冒頭で死んでしまうという構成に衝撃!

    しかし、この巻、主役は晏子ではないのでは...

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    2019年01月04日
  • 晏子(二)

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    「battle」と見えて、実は「war」。
    「敗北」と見えて、実は「布石」。
    二度読むと、なお味わい深い。

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    2019年01月04日
  • 楽毅(四)

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    これは中国史に限ったことではないが、驕り昂ぶる者や仁義のカケラのない者は一時的に栄えても必ず非業のうちに滅びる。今のような混迷の時代をしたたかに生き延びるには、仁や義の精神が必要なのかも。

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    2018年09月18日
  • 楽毅(三)

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    力の弱い者が強い者に対してどう戦うか。力押しだけでなく地の利や外交の駆け引きまでも巧みに使うことの必要性がよく分かる。

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    2018年09月18日
  • 楽毅(一)

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    以前読んだ『孟嘗君』にチラッと登場した楽毅。どんな人物だったのか興味を持ったので読んでみた。中国の戦国時代はごちゃごちゃしてわかりにくいが読みやすく面白い。

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    2018年09月15日
  • 孟嘗君(5)

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    大国・小国が入り乱れる戦国時代を仁義をもって駆け抜けた孟嘗君。孟嘗君のような政治家は今の世の中に現れないものか。

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    2018年09月04日
  • 夏姫春秋(上)

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    春秋時代の中国。鄭・楚・晋…夷は最初は近親相姦ヤローでとんでもない奴だと思っていたが、王としては少しましだったところが意外。

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    2018年08月27日
  • 随想 春夏秋冬(新潮文庫)

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    宮城谷さんの主に小説家になるまでの随想録。四十代半ばまで色々な経験、出会いが糧になったのだろう。特に良い奥さんにめぐり逢えて良かった。2018.4.12

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    2018年04月12日
  • 劉邦(下)

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    歴史に名高い劉邦が挙兵してから天下を治めるまでの話。
    名前は知っていたけどちゃんと知らなかったので良い機会だった。
    小さな集団だった劉邦軍が劉邦の人徳でどんどん大きくなっていく。筋だけは決めてあとは部下に任せるスタイルが結果的に部下を育てることになり、それぞれが強くなったことが天下をとるのに大きな要素を占めている。
    と言うか、これまた劉邦の人徳か、優秀な部下が多い。
    劉邦の人を見る目が抜きん出ていたともあるが、優秀な人たちが集まる親分というのは今も昔もあんまり変わらないんだなと思った。

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    2018年02月19日
  • 夏姫春秋(上)

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    あらすじを書くと夏姫は傾国の美女という印象だが、むしろ人形のように強い意志を持たず、運命に流されて行く女性として描かれる。
    題は夏姫春秋だが、主人公はそれを取り巻く男達であり、魅力的な男が出てこない前半はさほどでは無い
    。終盤、物語は一気に盛り上がり面白くなる。それは楚王と最後に夏姫を救うことになる巫臣のキャラクターによるところが大きい。
    しかし、ちょっと詰め込みすぎです。次々に現れる登場人物(それが又、色んな名前をもっている)。本筋から外れるようなエピソード。
    どんどん変化する登場人物の気持ち。もう少し枝葉を刈り込んだら、もっと面白い話になったと思います

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    2017年11月16日
  • 花の歳月

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    宮城谷昌光さんはどうも初めてのようです(読んだことがあると思い込んでいたのですが、間違いだったようです)。
    全体的に扇情的な大きな盛り上がりは無く、淡々と話が進みます。なんだか伝記のような感じの作品です。
    客観的というか、主人公達を冷静に外から見て、物語が綴られているようです。個人的にはもう少し感情移入したほうが好きなのですが、これはこれで一つのスタイルと思います。
    それにしても、確かにこの作者の漢字に対するこだわりは大した物です

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    2017年11月16日