宮城谷昌光のレビュー一覧
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ネタバレ後漢の初代皇帝 光武帝の話だ。劉秀あざなは文叔という。劉秀の頃、漢の帝室は退廃し、漢の皇帝の外戚の族から台頭した王莽の世であった。2百十余年つづいた漢王朝はこの男によって余命を絶たれた。新という王朝名は、王莽が新野に領地をもっているためにつけられた。略奪王朝である新王朝は紀元後九年に誕生したのだ。王莽の伯母が漢の元帝の皇后であり、その伯母は弟の子である王莽を信用して引き立てたという。王莽は、劉氏を危険な族とみなし、些細なことを理由に劉氏一族の覆滅を図っていった。劉秀もその一族の中のひとりであったが、嫡流にいたわけでなく、いわば住み込みの身のような者であり、幼い頃は、他の裕福な族に養子にやられて
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幸運は受けるだけでも触るだけでも得ることにはならない。何があっても離さない握力が要る。劉備が変わり始め。三国鼎立が形を成し始める時期。非常にドラマティックな時期であるはずなのだが、筆の運びは相変わらず淡々水の如しである。それでいて面白いのはこれまでにない全く新しい三国志だからであろう。英雄たちの理に適った言動は、非常に分かりやすく現代の自分たちの型見本ともなるものであり、純粋に新鮮な感動を覚えた。周瑜、享年36歳。呉は稀代の名将を喪ったことで天下を経略する道を断たれる。同じく享年36歳。龐統士元。劉備にとっても大きな痛手であったに違いない。埋もれていた英傑たちを列伝形式で蘇らせる方式も非常に良