宮城谷昌光のレビュー一覧
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幸運は受けるだけでも触るだけでも得ることにはならない。何があっても離さない握力が要る。劉備が変わり始め。三国鼎立が形を成し始める時期。非常にドラマティックな時期であるはずなのだが、筆の運びは相変わらず淡々水の如しである。それでいて面白いのはこれまでにない全く新しい三国志だからであろう。英雄たちの理に適った言動は、非常に分かりやすく現代の自分たちの型見本ともなるものであり、純粋に新鮮な感動を覚えた。周瑜、享年36歳。呉は稀代の名将を喪ったことで天下を経略する道を断たれる。同じく享年36歳。龐統士元。劉備にとっても大きな痛手であったに違いない。埋もれていた英傑たちを列伝形式で蘇らせる方式も非常に良かった。
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ネタバレ斉の僖公の死後、その長男襄公の時代となるが、弟である公子糾、公子小白にそれぞれ仕えることとなった管仲と鮑叔。襄公に疎まれ、その施政を批判し亡命の道を選び後日に備える小白と鮑叔。そして糾と管仲は襄公に従い、道を分ける。その後、暴政を極めた襄公は殺され国が乱れる中で、糾と小白は斉の都・臨?へ急行する。先に着いた方が国を治める立場になるその競争は手に汗を握る迫力があります。小白を途中待ち伏せして弓を引く管仲。しかし小白は九死に一生を得て、臨?を抑える。丁度、無政府状態のイラクを誰が制圧するのか、という状況を思い出しますし、少人数の小白と鮑叔が大部隊の糾と管仲に勝る結果も八甲田山彷徨の2つの部隊にも似ています。上巻では文章に気品を感じながらも、短い文章にやや性急さを感じたのが、下巻ではテンポを感じました。読み終わって恒公とともに中国を制覇する管仲の優れた政治能力以上に、斉の恒公(小白)に弓を向けた管仲を推挙し、自らの身を引く鮑叔の爽やかさがこの小説の一番の魅力だと思います。管仲の晩年は明らかなのに比べ鮑叔の死亡の年も分からないという史実は象徴的な気がします。
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タイトル通り、楚漢戦争期(秦末期~前漢初期)に活躍した名臣たちの列伝。
取り上げられているのは張良、笵増、陳余、章邯、蕭何、田横、夏侯嬰、曹参、陳平、周渤の10名。あくまで列伝なので、物語調というよりは丹念に事跡を追いながら、その人となりを概観していく。
しかし本書を読んでいくと、一番くっきりと浮かび上がってくるのは、著者の劉邦像である。
彼を取り巻く様々な人々を通して、劉邦の人物像が手に取るようにわかる。
各列伝で重複して書かれる歴史的事実も多く、やや退屈な面もなくはないが、それゆえにこの時代の空気、劉邦・項羽の軍勢のカラーがかなりしっかり掴める一冊。