あらすじ
越は呉を奇襲すべく密かに大量の船を造っていた。この報を受けた伍子胥は策を練る。不吉な予感がした范蠡はそれを越王・公践に伝えるも、句践はそのまま秘策を実行する。だが、すでにその作戦を把握していた呉の攻撃により越軍は敗退、ついに呉軍に追い詰められてしまう。会稽山へ逃げ込んだ句践は、呉との講和をやむなく受け入れ、囚われの身となる。
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Posted by ブクログ
最終巻で本の感想を書く。
呉王夫差と越王勾践
この二人の王の違いが、関わった人々の運命を翻弄する。
伍子胥と范蠡もその渦の中へ……,
この長い物語もいよいよクライマックスへ。
Posted by ブクログ
史実または史書に描写された出来事を拾い、それへ作者自身が解釈を加えて話を紡いでいくのが歴史小説だろう。どのような出来事を採用するかといった取捨選択には作家の考え、つまり作家性が表れる。
本巻も確かに面白かったが、宮城谷の作家性には共感できない点もあった。
諸稽郢の外交交渉での活躍は実に痛快である。彼の弁舌は後の戦国時代に現れる縦横家のそれそのもので、読んでいて楽しかった。
「徹底して理を求めると、ほかの者には不合理に映るのではあるまいか。」『大戦略』より。
「策を好む者は、策に淪没する。」『大戦略』より。
「まともに押しても動かない岩も、梃をつかえば動く。交渉のこつは、それである。」『講和成る』より。
「発想が秀逸でも手段が陋劣では、けっきょく愚策におわってしまう。」『講和成る』より。
「この世には、いかなる財宝にもまさる物がある。それが人のことばというものだ」『雪中の声』より。
「推量の上に推量を積んでも、実像はみえてこない。」『楚への密使』より。
「旅行は人の精神を育てるにちがいない。」『船上の風』より。