折原一のレビュー一覧
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コピー機に忘れられた紙。そこに記された謎の「殺人リスト」。誰がつけ加えたのか4人から8人まで増殖するターゲット達。
ーーーーーーーーーーーーーーメモ。
「誰」はともかく、「どうやって」はまるで検討も付かず最後までハラハラドキドキしていた。問題となるHowの部分はつまり、ミラクルと奇跡と偶然とたまたまが重なった超計画的殺人だ。矛盾している。
とは言え、読者が陥る「何故?」の疑問はしっかり回収してくれるし、綺麗に纏まっているのであまりぷりぷりするのも大人気ない。
クライマックスの前フリは完璧で、こちらも戦闘態勢に入る。全貌はやや早送り気味な展開。脳内で再生される映像はまるで尺が無いからと巻かれたかの様で少し残念。エピローグがこの作品の魅力なのだろう。
話の展開、視点の切り替えの目まぐるしさは読者の探究心をくすぐる流石の文章力だ。細かな粗探しをしてわざわざ埃を舞わせる必要は無かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ翻訳家の大沢の仕事部屋からは、向かいのアパートの201号室が見える。昔、この部屋で若い女性が殺される事件があり、その死体を大沢は窓越しに見てしまったのだ。それが彼のアルコール依存症の原因となる。
その部屋はしばらく借り手がなかったが、ある日また女性が入居してきた。
実は覗きの趣味がある大沢は、しばらく我慢していた屋根裏部屋からの覗きをまた始めることになり、それに伴い、入院して治療した依存症も再発してしまう。
201号室の地方から東京へ就職で出てきた若い女性の日記に綴られる日常や彼女の母親との手紙のやり取り、変態大沢の日記、それに加えて大沢と同じ病院に入院していたコソ泥の曽根。語り手は次々と目まぐるしく変わり、飽きさせない。昔の小説なのでセリフもレトロで面白いと思うときもあった(驚いたときに「ウヘッ」って言ったり)。
話が終盤に差し掛かると、あれ?あれ?っと何度も前のページの通り魔の記事を読み返したり、日記の日付を確認したりしたが、最後まで読んで『なるほど、そういうことか』と理解した。
娘の代わりを母親がやるというのは、いくら若く見える母親でも無理があるだろう!
でも、社会人一年目の女の子に対しての描写で、
成熟した腰つき、とか
化粧が濃い、とか
違和感を覚える描写はいくつかあったし、怪しい箇所には字の横に「、、、」がついていたりして、そりゃないよーっていう結末ではなかった。
読んでる間は先が気になったし楽しかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【一言で評価】
折原一の作品らしく,読んでいるときのサスペンス感は抜群。しかし,オチが釣り合っていない。竜頭蛇尾というイメージの作品
【感想】
1993年に出版されたが,あまり売れず2002年に講談社文庫版が出版されたが,これもあまり売れず。2018年に本屋大賞の発掘部門で「超発掘本」となり,文春文庫で3度目の文庫化。あとがきでは,著者の折原一自らが,マイベストに挙げている作品
あとがきによると「倒錯の死角」や「倒錯のロンド」のような叙述トリックの創出に汲々とするようになっていたところで,複数の太いスト―リーを並行して書いていき,途中で混ぜ合わせ,叙述トリックはサスペンスを盛り上げる要素とするという作風を確立させた作品とのこと。確かに,今後に書かれた「○○者」シリーズに通ずる作品のように思えた。
個人的な感想をいうと,折原一は,やはり初期の作風が好みであり,多数のストーリーや作中作などの様々な文体を併せ,叙述トリックはサスペンスを盛り上げる要素とするようになってからの折原一の作風はあまり好きでない。読んでいる途中は面白いのだが,オチがそれほど面白くなく,読み終わってからがっかりする作品が多い。
異人たちの館もそうで,読んでいる途中は面白いのだが,オチの部分がイマイチ
この作品のメインプロットは「小松原淳」と「島崎潤一」を誤認させる叙述トリックだろう。小松原淳も島崎潤一も富士山麓の樹海で遭難しており,母親から「じゅんちゃん」と呼ばれている。島崎潤一の母親も,やや病的な人物で小松原潤一のアパートに忍び込んで原稿に手を入れるなどの奇行をしている。
小松原淳の父親が「ジョージ」という外国人で連続幼女殺人事件の犯人。小松原淳をイジメていた少年なども殺害しており,小松原淳に殺害されているというスジは折原一らしいというか,かなり無茶なスジ。その後,ユキとの関係を責められ自殺しようとした小松原淳が,実は生きており,小松原家に帰ってきて地下室で生活をしているという展開も,折原一らしいと思うけど,かなり無茶なスジである。
最後に小松原淳が島崎潤一の作品を乗っ取ろうとして,島崎葵(島崎潤一の母)とユキの逆襲に会うというオチがなんとも弱い。小松原淳の父が外国人のジョージで,謎の異人が小松原淳だということが,ラストに至るまでの段階で分かっているので、最後の終わり方がさっぱり意外性がない。
トータルで感じることは,冗長だということ。読んでいるときは,サスペンス感があるのでそれほど感じないが,読んでから振り返ると冗長さを感じる。作品を支えるプロットが小松原淳と島崎潤一を誤認させる叙述トリックと,小松原淳の父がジョージという外国人で連続幼女殺人事件などの犯人だったということ。ジョージが外国人だったので,小松原淳もハーフで異人だとして登場していた人物が小松原淳だったというところ
いくつかの作中作もあり,それらも若干スジに絡んでいるが,さほど効果的でない。作中作はなくても全体に影響がない。これも冗長さを感じさせる。読んでいるときは,もっと大きな伏線があるのかと思って読んでいるので,最後で作中作にあまり意味がなかったと分かると拍子抜けしてしまう。
トータルの評価としては,ギリギリ及第点というイメージの★3。