折原一のレビュー一覧
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「東電OL事件」以下は同事件を題材にした小説
鳴海章『鹹湖 彼女が殺された街』(1998年、集英社)
久間十義『ダブルフェイス』(2000年、幻冬舎)
桐野夏生『グロテスク』(2003年:文藝春秋、2006年:文春文庫)
真梨幸子『女ともだち』(2006年、講談社)
折原一『追悼者』(2010年、文藝春秋)
2017年4月16日時点で
追記:『鹹湖 彼女が殺された街』『追悼者』二冊は未読
早速、折原一『追悼者』(2010年、文藝春秋)読んでみた。『鬼畜の家』 2011年4月/原書房 は探偵で『追悼者』フリーライターっていう違いはあるが、容疑者たちのインタビュー形式っていうところがとても似 -
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折原さんらしい世界が広がっている物語だった。
一冊の小冊子・・・「遭難記-魔の森調査報告書」。
樹海の山荘にたどり着き、遭難し、死亡した男が残した手帳を小冊子にしたものである。
民宿の主人は、山荘にまつわる殺人事件を客である学生たちに語って聞かせる。
来る客、来る客、そのすべてに聞かせるように。
当然、話を聞いた学生たちは好奇心にかられ、興味本位で山荘を目指して樹海へと足を踏み入れる。
繰り返される悲劇は徐々にその様相を変え、本来の事件すらもいろいろなものが付け足されて伝説の中へと飲み込まれていく。
まるで山荘が樹海へと飲み込まれたように。
三話に共通して登場する人物が民宿の主人である。
彼は -
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中盤を過ぎたあたりで結末が見えてしまったことに驚いた。
折原さんの物語はいつも最後まで楽しませてくれていたからだ。
登場人物が限られた設定だと、どうしても重なる部分をまったく書かないわけにはいかなくなる。
年齢もそうだし、話し方もそうだ。
折原さんの物語の場合、二重、三重の仕掛けがしてあることを前提として読んでいるので、この人物とこの人物は同一だなと気づいてしまったら結末が見えてしまう。
登場人物はみな欲望を胸に秘めている。
何人かの人間が犠牲となり、何人かが生き残った。
結局、強烈な個性と生命力のある清瀬富子の毒気にあてられ、その手のひらの上で転がされていただけのような気がしてきた。
彼女の -
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ネタバレ〇 概要
グランドマンション1番館には,元「名ばかり管理職」の男,元公務員,三世代同居の女所帯から,独居老人まで,さまざまなアクの強い人達が住んでいる。騒音問題,ストーカー,詐欺,空き巣―グランドマンション1番館の住人達が引き起こすトラブル。そして最後に用意されているのは,どんでん返し。折原一らしさ満点の連作短編集
〇 総合評価 ★★★☆☆
「グランドマンション1番館」の住人にトラブルが相次ぎ,住人がどんどん減っていく「そして誰もいなくなった」テイストの味付けがされているのは面白い。民生委員の高田が出てくるまでの作品,「音の正体」と「304号室の女」の段階では,最後の部分までのアウトライ -
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比較的軽い罪で逮捕された男は、なぜ頑なに素性を隠すのか?
同時進行していく一家惨殺事件との関連はあるのか?
物語は事件をノンフィクション作家が取材しているといった形で進行しているので、作家自身の視点もあり、インタビュー相手の視点の場合もあり、そのときどきによって視点が変わっていく。
折原さんの物語ということで伏線や仕掛けがあることを承知しながら読み進んだ。
終盤まで読者を振り回す筆致力といい、展開の妙といい、物語に引き込まれていった。
だからこそ思う。
「これが動機?」と。
意外な結末を期待していたが、まさかこんな残念なものだったとは。
あまりに弱すぎる動機に到底納得できず、表向きはこの動機 -
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読み始めてすぐに引きこまれた。
コピー機に置き忘れられた1枚の殺人リスト。
そこには自分の名前が書かれていた。
リストは名前を書かれた人たちへ次々に送りつけられる。
それぞれの思惑でリストの名前は増えていく。
真相がまったく見えてこない中盤までは面白かった。
殺人リストを作ったのはいったい誰なのか?
何のために作られたのか?
連続殺人を実行しているのは誰か?
けれど殺人リストに名前が書き加えられ、ぼんやりとだが目的が見えてきてしまうと一気に先が読めてしまう。
折原さんの書く物語は好きなのだが、いまひとつ物足りない思いがした。
いつもなら結末までに「ああ、そうだったのか」と騙されていた楽しさのよ -
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折原さんの物語を読んでいるといつも途中で考えてしまうことがある。
私はもう折原さんの仕掛けにハマってしまってるのではないか?
いまはこんなふうに見えている物語も、最後にはまったく違う光景に見えてきてしまうのでは?と。
最初から懐疑的な見方をして読むのはどうかと思うけれど、折原作品に対してだけは条件反射のように探りながら前に進んでいく感じだ。
十年間も新作を書いていない作家が再び執筆活動へ戻ることを決意する。
だが、プロットは編集者にけなされすっかりやる気を失ってしまう。
突然現れた作家志望の女性は、いかにもな雰囲気をまとっている。
想定内のトリックは、意外にも第一部のみで一応の決着をみる。
問 -
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息子・輝久の日記を盗み読んだ野原実は、学校で輝久がいじめにあっていることを知る。
担任に言っても、「いじめはない」というだけで何も対応しようとしない。
妻はなぜ実がいじめの件を知っているのか、確信はあるのかと首をかしげるばかりだ。
日記を盗み見たことを妻にいうわけにはいかず、イライラは募るばかりだ。
折原さんの作品なので、絶対に仕掛けがあると思いながら読んでしまった。
「なるほど・・・」と思うような結末だったけれど、折原ファンとしてはいまひとつ物足りない。
もう少し怪しげで胡散臭い人間が登場しても・・・などと思うのは欲張りだろうか。
最後にやってくる驚きを味わいたくてつい読んでしまう折折原さん -
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この物語を読み始めたとき、最初に頭に浮かんだのは「東電OL殺人事件」のことだった。
実際の事件はまさにこの物語と同じような経緯をたどった。
被害者であるはずの女性は私生活を暴き立てられ、メディアによって晒し者にされ、悪意ある好奇心の的にされた。
メディアが伝えた被害者女性の私生活の描写には捏造ともいえる情報が多く含まれており、被害者遺族にとっては耐え難い出来事だったろうと思う。
折原さんの作品を読み終わると、いつも「ん~」と思ってしまう。
裏の裏を読もうと、ついつい疑いをあちこちにはさみながら読むのだけれど、結局いつも見事に「してやられた!!」と思うのだ。
中盤以降に登場した殺害されたライター -
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折原一いいかなぁと思って、奥様と共著のこの本を読んでみました。すごいですねー。ご夫婦で一緒に作業できるなんて(そこかよ)
内容もなかなかスリリングでした。このストーリーを夫婦で考えて作ったんか・・と思うと、それもスリリングで・・(笑)
この作品自体が作られたのは、まだ携帯電話やメールの普及もそれほどしていなかったときなのですね。最近、そういう時代設定の作品も読むことがありますが、やっぱり、携帯電話やメール、SNSの普及によって、小説自体にもかなりの影響が出ているんだなあ!とつい思ってしまいます。
最初、いつ書かれたものかまったく知らずに読んでいて「ん?なんで携帯で連絡取らへんねん・・」って思っ