折原一のレビュー一覧
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とある理由により無人島に取り残された男が、
時を同じくして、とある理由で漂流する
「セーラ号」を見つけた事から始まる
漂流とミステリが9:1ぐらいの作品。
ほぼ漂流だこれ。
この人の作品はたいていどんでん返しか
叙述トリックがメインというわかりやすさがあって、
かつ日誌とボイスレコーダーが出たら倍率ドン
なので、この作品は分かりやすかった
じゃあトリックが分かったからつまらないか?
というそんな事は無い。というかむしろ面白い。
本を読んでるとわかる「読むべくして読む」と
「続きが読みたくて読む」の二種類があると思う。
この人は間違いなく後者の文を書く。
特に今回は海洋冒険要素もあるの -
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二冊の追悼集から成る小説。
単行本の発売時には、実際に箱入りの二分冊とした凝った作りの書籍にして発売されたらしいが、今回読んだのは文庫版(一冊にまとめられている)。
全編を占めるのは二冊の追悼集。
登山に興味もない、ましてや知識もない自分としては、最初、なかなか物語に入り込めなかった。北アルプスの細かい地名など聞かされてもイメージが湧かないし、登山用語などもチンプンカンプン・・・。
半分を過ぎたあたりから物語に入り込めるんだけど、これが、また、今まで読んできた折原一とはチョット異なる感じで・・・。
たしかに死人は居るんだが、そもそも自殺なのか他殺なのかも判然としないし、自殺にしても他殺にし -
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ネタバレ○ 耳すます部屋
ゆかりという母子家庭の子どもを預かった久恵が,ゆかりを殺害してしまったように思わせておいて,実際は,ゆかりの母がゆかりを殺してしまったというオチ。久恵とゆかりの母である八重子が電話をしており,久恵が電話を切らずに話していたので,ゆかりと久恵の会話が全て八重子に筒抜けになっており,話を聴いて,娘が盗みをしたことを知った八重子がゆかりを殺してしまうという話である。「耳すます部屋」というタイトルは,八重子が電話でゆかりと久恵の会話を聴いていたことを示している。
○ 五十像
少年が犯人と見せかけて,五人組の大人が,少女を誘拐した誘拐犯だったという話。しかし,少年が単なる善人では -
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ネタバレ日本推理作家協会賞長編賞に輝くサスペンス。折原一らしく,多数の登場人物の視点からいろいろと謎が提示され,中盤のサスペンス部分はなかなかのもの
交通事故に遭い,記憶喪失になった謎の男「神崎一郎」の正体は誰かという謎。20年前の青葉ケ丘中学で,恐怖新聞を発行し,粛清をしていたのは誰かという謎。同窓会を妨害するために,野呂和男と喜多村冬彦を殺害した復讐者は誰かという謎。そして,青葉ケ丘中学の教師だった仁科良作の妻は誰かという謎。これらの謎が、畳み掛けるように構成される。しかし,真相が平凡。神崎一郎の正体は,都会から転校してきて,すぐに転校していった足立一郎。恐怖新聞を発行していたのは級長の秋葉拓 -
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ネタバレ折原一による「○○者」と題する作品の一つだが,五十嵐友也は登場しない。シリーズでは,異色の作品。やりすぎと思えるほど複雑な構成で,はっきり言ってしまうとバカミス。
「誘拐者」というタイトルのとおり,新生児の誘拐事件が背景となっている。堀江夫婦から新生児が誘拐され、堀江夫婦の妻である堀江チヨも同様に「あすか」という名前の新生児を誘拐する。堀江チヨは,佐久間玉枝という殺人者が獄中で出産した子を養子として引き取った夫婦の新生児を誘拐しており,これが事件を複雑化させていく。堀江チヨは,「あすか」という本当の自分の子どもを求めて「あすか」という子どもの誘拐を繰り返す。この部分が既にバカミスっぽい。堀 -
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ネタバレ冒頭にバリンジャーの「歯と爪」からの引用が掲げられている。折原一の作品ということもあって,叙述トリックを駆使した作品であろうことは想像に難くない。
内容は,五十嵐友也というノンフィクション作家による作品という想定。五十嵐友也の視点,アルバイトの新聞配達員の視点,万引き現場から捜査中,取り調べ,裁判から刑に服するまで,氏名を名乗らなかった「沈黙者」についての描写,殺人者の視点といった視点から描かれている。
校長先生の家である「田沼家」で,一家のうち4人が惨殺される事件,同じ町内で起こった「吉岡家」の夫婦惨殺事件という二つの事件が描かれる。二つの事件の描写と,田沼家の生き残りである田沼ありさ