折原一のレビュー一覧
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ネタバレアルコール中毒で入院経験のある翻訳家、同じくアルコール中毒で入院していた窃盗常習犯、旅行会社に務める新人女子社員、この三人で視点を変えて語られていき、三人が交錯するストーリーは面白く、リーダビリティーが高い。叙述トリックで有名な作者なので、騙されないように注意しながら読んだが、トリックを見抜くには手掛かりが不足しており、設定にもいささか無理があり、真相自体はそれほど面白いとは感じられなかった。また、最後に袋綴じがあるのだが、その内容を読むとわざわざ袋綴じにする必要があるとは思えなかった。
(ネタバレ)
大沢芳男が清水ミサ子を若いOLに間違えたり、清水ミサ子が真弓と同じことを繰り返すという設定には無理があると感じた(大沢芳男も清水ミサ子も、精神的に異常であったということだとは思うが)。
真相を読んで、大きな疑問がある。
高野広志は、前年の9月30日、真弓を殺すために201号室にやってきたわけだが、次の年の同じ9月30日に201号室にやってきた理由がわからない。
どういう理由で、次の年の同じ9月30日に、高野広志は201号室にやってきたのだろうか? -
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○○者シリーズ。
連続幼女誘拐殺人事件を題材にしている。
小説の新人賞に応募してきた作品に、実際におきた少女失踪事件を書いたものがあって、興味をもったルポライターが調査にのりだす。
被害者の家族、釈放された容疑者、謎の小説家、それらが混在して物語がすすんでいく。
まあ、混在させて混乱させるのが目的なので、視界を半分遮られた感じですすんでいく。ルポライター主観のところだけ、視界が広がるのでありがたい。このへんのコントロールは上手いなって思う。
にしても、最終的に皆、性格がおいおいって感じなっていて、びっくり展開なのだ。
まぁ、異常な経験とか環境にいると歪むのは仕方ないとしても、ちょっとね。
オチも、ちょっとなって感じ。
急にリアルがなくなって、失踪した少女たちの人格みたいなのがわからなくなってしまったよ。
うむ。
ちょっと残念。 -
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「東電OL事件」以下は同事件を題材にした小説
鳴海章『鹹湖 彼女が殺された街』(1998年、集英社)
久間十義『ダブルフェイス』(2000年、幻冬舎)
桐野夏生『グロテスク』(2003年:文藝春秋、2006年:文春文庫)
真梨幸子『女ともだち』(2006年、講談社)
折原一『追悼者』(2010年、文藝春秋)
2017年4月16日時点で
追記:『鹹湖 彼女が殺された街』『追悼者』二冊は未読
早速、折原一『追悼者』(2010年、文藝春秋)読んでみた。『鬼畜の家』 2011年4月/原書房 は探偵で『追悼者』フリーライターっていう違いはあるが、容疑者たちのインタビュー形式っていうところがとても似ている。『鬼畜の家』の著者が新人ということもあって、折原一『追悼者』影響を受けたってこともありうる。そう勘ぐって読むと面白い(笑
『追悼者』についてはラストで思わぬ展開がある。アッと驚かせるにはかなり間延び感が否めない。話しが長すぎて退屈極まりない、推理小説としては致命的である。 -
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折原さんらしい世界が広がっている物語だった。
一冊の小冊子・・・「遭難記-魔の森調査報告書」。
樹海の山荘にたどり着き、遭難し、死亡した男が残した手帳を小冊子にしたものである。
民宿の主人は、山荘にまつわる殺人事件を客である学生たちに語って聞かせる。
来る客、来る客、そのすべてに聞かせるように。
当然、話を聞いた学生たちは好奇心にかられ、興味本位で山荘を目指して樹海へと足を踏み入れる。
繰り返される悲劇は徐々にその様相を変え、本来の事件すらもいろいろなものが付け足されて伝説の中へと飲み込まれていく。
まるで山荘が樹海へと飲み込まれたように。
三話に共通して登場する人物が民宿の主人である。
彼は山荘の語り部となって、次々に樹海へと人々を送り込んでいく。
樹海の危険を説きながら、一方では若者たちの好奇心を煽る役目を果たしている。
殺意も悪意も連鎖し、誰も彼もが樹海の毒気にあてられたように精神を狂わされていく。
狂気と殺戮を操る傀儡師の存在を疑うこともなく・・・。
折原さんの描く物語が好きな人は楽しめるだろうが、繰り返される似たような描写に少しだけ辟易するかもしれない。
事件の背景があまりにも「いかにもな出来事」なのが、何となく物足りなくあっけない気もした。
逆に「いかにもな出来事」が伝説まで作りあげた不気味さも感じたけれど・・・。 -
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中盤を過ぎたあたりで結末が見えてしまったことに驚いた。
折原さんの物語はいつも最後まで楽しませてくれていたからだ。
登場人物が限られた設定だと、どうしても重なる部分をまったく書かないわけにはいかなくなる。
年齢もそうだし、話し方もそうだ。
折原さんの物語の場合、二重、三重の仕掛けがしてあることを前提として読んでいるので、この人物とこの人物は同一だなと気づいてしまったら結末が見えてしまう。
登場人物はみな欲望を胸に秘めている。
何人かの人間が犠牲となり、何人かが生き残った。
結局、強烈な個性と生命力のある清瀬富子の毒気にあてられ、その手のひらの上で転がされていただけのような気がしてきた。
彼女の退屈をまぎらわすための余興…。
もしもそうだとしたら、富子という人物そのものが一番ミステリーなのかもしれない。 -
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ネタバレ〇 概要
グランドマンション1番館には,元「名ばかり管理職」の男,元公務員,三世代同居の女所帯から,独居老人まで,さまざまなアクの強い人達が住んでいる。騒音問題,ストーカー,詐欺,空き巣―グランドマンション1番館の住人達が引き起こすトラブル。そして最後に用意されているのは,どんでん返し。折原一らしさ満点の連作短編集
〇 総合評価 ★★★☆☆
「グランドマンション1番館」の住人にトラブルが相次ぎ,住人がどんどん減っていく「そして誰もいなくなった」テイストの味付けがされているのは面白い。民生委員の高田が出てくるまでの作品,「音の正体」と「304号室の女」の段階では,最後の部分までのアウトラインはできていなかったように思えるが,高田が登場してからの作品は,より,連作としてのつながりが強い。
登場人物が全体的に高齢であり,後半の作品は,やや悪ふざけが感じられるが,叙述トリックの名手らしく,個々の作品でちょっとした驚きが用意されていて,そこそこ楽しめる。折原一の文体,作風が嫌いな人だと,嫌悪感を感じてしまいそうな描写があるが,折原一が好きならそれなりに楽しめる佳作だろう。時制トリック,人物誤認トリックなど,いろいろな叙述トリックが楽しめる。★3かな。
〇 メモ
〇 音の正体 ★★★☆☆
202号室に住む「沢村」という男が主人公。37歳,無職。かつては居酒屋チェーン店の店長をしていたが,「名ばかり管理職」として過酷な労働をさせられた上で退職している。上の階である302号室の子どもの足音などの騒音に悩み注意をするが,302号室の子どもの母親は育児放棄をしているように見える。子どもが死んでいると思い,管理人を連れて踏み込むが…。
実は,沢村は離婚を求めてきた妻を殺害し,自分の部屋の風呂に死体を置いていた。102号室の住人がその死体を発見し,警察を呼ばれるところで終わる。折原一らしい叙述トリックが用意されており,沢村達が302号室に入るシーンと102号室の住人が202号室に入るシーンが誤解されるように描かれている。
折原一らしいえぐさが垣間見える佳作。
〇 304号室の女 ★★★☆☆
303号室に住む「松島有香」という女が主人公。グランドマンション1番館の隣にできるグランドマンション2番館のモデルルームで勤務している。まるで,グランドマンション2番館の304号室に住み始めたように見える「牧野麻子」の手記が挿入される。麻子は,夫が有香と不倫していると思って,罠を仕掛けるが…。
実は,麻子達は,グランドマンション2号館の304号室ではなく,モデルルームに住んでいたというオチ。叙述トリックが仕掛けられており,最後の場面で,どうしてモデルルーム勤務の店長である大田原浩平が,麻子を拘束できるのか,混乱してしまう。
これも,めちゃくちゃな話だが,折原一らしいえぐさがある。
〇 善意の第三者 ★★★★☆
206号室の,元公務員の高田英司が主人公。高田は退職後,地域の民生委員をしている。高田は,306号室に住む久保田綾香が会社の同僚と結婚しようとしていたとき,たまたま結婚相手がほかの女とホテルに入ろうとしているシーンに出くわし,写真を撮って綾香に送ることで,結婚をさせなかった。
高田は,高齢者の所在不明が社会問題になっていることから,グランドマンション1号館内の老人の様子を見て回る。そこで,306号室の綾香の祖母のミヨが,既に死んでいるのではないかと疑問を抱く。年金の不正受給をしているのではないかと。
高田は,306号室に忍び込む決心をする。306号室に忍び込んだ高田が見たのは,既に死亡しており,ミイラの姿になった久保田ミヨ…ではなく,高田の母,高田筆子だった。筆子は,高田英司に手を上げられたショックで,306号室に逃げていたのだ。また,綾香はミイラのような姿になって生きていた。綾香の結婚が破断になったのは30年前の話だったのだ(ここで,時制の叙述トリックが仕掛けられている。)。
高田は責任を取り,綾香と結婚する。久保田家は,実際に年金の不正受給をしていたが,そのことは見逃し,高田筆子は久保田が面倒を見るということになった。
叙述トリックの冴えは,この短編集の中でも随一。まさか結婚の破断が30年前のこととは思わなかった。オチも強烈。折原一らしい,えぐい話である。
〇 時の穴 ★★☆☆☆
203号室の瀬沼富男が主人公。瀬沼は家賃を滞納している。瀬沼は,かなりのミステリマニアで,多数のミステリの稀覯本を持っている。
瀬沼は,204号室の老人,佐久田芳子が多額のタンス預金をしていることを知る。瀬沼は佐久田の行動を監視する。また,地震により,203号室と204号室の間の壁に抜け穴ができたことに気付く。そこで,密室を利用し,金を奪うことを計画するが…。
実際は,瀬沼が密室で殺害される。容疑者として逮捕されたのはグランドマンション1号館の管理人。凶器は,ロバート・エイディーの「Locked Room Murders」という稀覯本だった。
その後,204号室の佐久田が心臓発作で死ぬ。瀬沼を殺害した犯人は佐久田だった。佐久田は,瀬沼が204号室に忍び込んでいたことなどを知り,用意していた合鍵などを使って瀬沼を殺害し,その後,殺害したときのショックなどで,心臓発作で死んでしまった。瀬沼が殺害をしたような導入部分であり,管理人を瀬沼と思わせる叙述トリックがある。また,密室を扱うという本格ミステリのパロディっぽいつくりというところも折原一らしい。とはいえ,トリックらしいトリックはない(地震でできた,抜け穴とは…。)。平凡なデキ。
〇 懐かしい声 ★★★☆☆
301号室の独居老人,塚本ハルが主人公。オレオレ詐欺がテーマ。105号室の多賀稲子は500万円をだまし取られる。また,106号室の塩崎俊夫が,200万円をだまし取られる。301号室の塚本ハルのところにも,オレオレ詐欺らしい電話があるが,塚本ハルは,だまされない。民生委員の高田は,104号室の岡安亮太が怪しいと疑う。
真相は,301号室の塚本ハルがオレオレ詐欺の犯人だったというもの。104号室の岡安は,そのことに気付き,逆に,塚本をだまそうとしていた。塚本は,娘の夫の借金を返すために,この騒動を起こしていた。
塚本ハルもオレオレ詐欺の被害者だと誤認させる叙述トリックが仕掛けられている佳作。そこそこ。
〇 心の旅路 ★★★☆☆
103号室の武藤留子が主人公。留子は,グランドマンション1号館の老人会の世話役を頼まれる。留子のところに謎の訪問者がやってきて,留子が返り討ちにするシーンが描かれる。
訪問者のバックから零れ落ちた手記には,ある少女が,父親のもとを出て,状況する話が描かれていた。
実際は,その少女は留子だった。留子は,グランドマンション1号館の8階に住む立花百合子の娘で,母親達に会いに状況したのだが,自堕落な生活をしていた母親達には愛想を尽かし,武藤ヨシの養女になっていた。
今回訪問してきたのは石垣晋太郎。立花百合子の夫であり,留子の父だった。
これも叙述トリックを駆使して描かれている。まるで,少女が今,状況してきて,103号室を訪れたように錯覚させている。話自体はむちゃくちゃな上に,ミステリ的な要素はなし。叙述トリックだけの話
〇 リセット ★★★☆☆
105号室の多賀稲子が主人公。謎の犯罪者の視点が挿入される。多賀稲子は,建設されていた「グランドマンション2番館」が無くなっていると騒ぐ。
多賀稲子は痴呆が始まっており,他の住民と話がかみ合わない。そんな中,高田が年金の不正受給で逮捕される。
また,106号室の塩崎も事故に遭う。
周囲の人の言動と,多賀稲子の言動がかみ合わない。稲子は「事件」の犯人が管理人だと言っていたとのことだが,管理人にはアリバイがあるという。
「事件」とは,放火。実はグランドマンション1番館は火事で焼失し,多賀稲子達は,グランドマンション2番館に移っていたのだ。
放火の犯人は,かつてのグランドマンション1番館の管理人だった。グランドマンション2番館の管理人は石垣晋太郎。前の管理人は職を失っていた。
ここまでの作品で管理人の名前を出さず,管理人を誤認させる叙述トリックと,グランドマンション1番館と2番館を誤認させる叙述トリックが仕込まれている。
〇 エピローグ
再び松島有香が主人公。新しくなったグランドマンション1番館を売りに出している。大田原浩平と松嶋有香は,どんな汚い手を使ってもいいから,グランドマンション1番館から住人を追い出せと言われていた。前の管理人を陰で操ったのは松島有香だったのか…。 -
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比較的軽い罪で逮捕された男は、なぜ頑なに素性を隠すのか?
同時進行していく一家惨殺事件との関連はあるのか?
物語は事件をノンフィクション作家が取材しているといった形で進行しているので、作家自身の視点もあり、インタビュー相手の視点の場合もあり、そのときどきによって視点が変わっていく。
折原さんの物語ということで伏線や仕掛けがあることを承知しながら読み進んだ。
終盤まで読者を振り回す筆致力といい、展開の妙といい、物語に引き込まれていった。
だからこそ思う。
「これが動機?」と。
意外な結末を期待していたが、まさかこんな残念なものだったとは。
あまりに弱すぎる動機に到底納得できず、表向きはこの動機になっているけれど本当は別の意味が隠されているのでは?などと思ってしまった。
より折原さんらしい物語を読みたくなる・・・そんな一冊だった。 -
Posted by ブクログ
読み始めてすぐに引きこまれた。
コピー機に置き忘れられた1枚の殺人リスト。
そこには自分の名前が書かれていた。
リストは名前を書かれた人たちへ次々に送りつけられる。
それぞれの思惑でリストの名前は増えていく。
真相がまったく見えてこない中盤までは面白かった。
殺人リストを作ったのはいったい誰なのか?
何のために作られたのか?
連続殺人を実行しているのは誰か?
けれど殺人リストに名前が書き加えられ、ぼんやりとだが目的が見えてきてしまうと一気に先が読めてしまう。
折原さんの書く物語は好きなのだが、いまひとつ物足りない思いがした。
いつもなら結末までに「ああ、そうだったのか」と騙されていた楽しさのようなものがある。
読み終わったあとに「お見事!」と思えるような物語を期待していただけに残念な気もした。 -
Posted by ブクログ
折原さんの物語を読んでいるといつも途中で考えてしまうことがある。
私はもう折原さんの仕掛けにハマってしまってるのではないか?
いまはこんなふうに見えている物語も、最後にはまったく違う光景に見えてきてしまうのでは?と。
最初から懐疑的な見方をして読むのはどうかと思うけれど、折原作品に対してだけは条件反射のように探りながら前に進んでいく感じだ。
十年間も新作を書いていない作家が再び執筆活動へ戻ることを決意する。
だが、プロットは編集者にけなされすっかりやる気を失ってしまう。
突然現れた作家志望の女性は、いかにもな雰囲気をまとっている。
想定内のトリックは、意外にも第一部のみで一応の決着をみる。
問題は第二部だった。
折原さんのわりには少し緩い感じはしたが、重なり合っていく倒錯の世界が堪能できる物語だった。
「覆面作家」もそうだったけれど、重要な登場人物の職業が作家であることがたびたびある。
作家ならではの心理に絡めた展開は読む側としても面白い。