折原一のレビュー一覧
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ネタバレ叙述トリックとかどうでもいいと思うんだよね。
他の人は解らないけど、個人的には俺が実は誰、とか別に興味が無い。っていうか。
ただ、そーゆーところを抜きにしても面白いと思うんだよね。大海原という開放的なイメージがある舞台が実はとても閉鎖的な空間でお互いを追い詰めあう。段々と狂っていく心の動きが読んでいてゾクゾクしてくる。
不満があるとすれば視点移動の多さ。
感情移入がやりづらい。
特に、女性視点に対して好意的になれず、どうしても冷めて読んでしまった。
探偵視点も話を説明するためだけに使われているので、無駄のように感じられるし。
と文句を言いつつも楽しめたと思う。複雑な構成を難なく読ませる技術は凄 -
Posted by ブクログ
○○者シリーズ第一作
シリーズで括っているが内容の繋がりは無いようです。
堀江幸男は不妊治療の末ようやく長女を授かるが産婦人科から誘拐されてしまった。
名前はあすか。
警察も公開捜査に踏み切るが、なかなか捜査は進展し無かった。
そんな中で堀江幸男の妻である堀江チヨが失踪する。
事件から二ヶ月が立った頃、堀江家の玄関に赤ちゃんが返され、そして手紙が同封してあった。赤ちゃんは堀江あすかであると断定されたが、報道がなされても妻のチヨは帰って来なかった。。。
まさに狂気を文章化したような小説だった。
凄惨な事件だからか、読んでいてどこか宮部みゆきさんの「模倣犯」を思い浮かべました。
宮部みゆきさん -
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誰が「復讐者」なのか?
普通だったらその視点で読み進むものの、
そこはさすがの折原ワールド。
「私」は誰?
長谷川美鈴はどこに?仁科教諭はどの目線?
伏線と伏線めいた表記を多用しているので、
ぐるぐるぐるぐる、想像に縛られまくり。
フツウの読書であれば逆だと思うんだけど、
多分、初めての読者よりも私みたいに折原作品へのバイアスがある人の方が、
迷走感は強いと思う。
「きっとこうに違いない」「ここにもきっとなにかあるのでは?」と、
必要以上に構えるはずだから。
最後があたしとしては少し肩すかしだったけど、
ここまで重厚だったのでそれも、ある意味軽さのある、
バランスの良い腹八分目のエンデ -
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ネタバレ叙述トリックにこだわり続ける職人作家、おそらく日本で最も叙述トリックの作品発表されてると思われます。
過去に『倒錯三部作』短編集の『101号室の女』『水の殺人者』と呼んでます。今作は日本推理作家協会賞を受賞した作品です。
いわずもがなの叙述モノであり読み始めから気合入ってました!騙されるものか!という作者と読者のバトルが叙述モノの醍醐味ですが…
語り手の視点がコロコロ変わる多重構造で、現在、過去、時系列が錯綜し、合間に手記や、『恐怖新聞』が挿入されてます。ん?と思われる箇所は読み返したりしてページ数のボリュームもありやや読破に時間かかってしましました。
最終的にミステリーのラ -
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困ったなー。
面白くないものをなんとか選んで整理するのが趣旨だったのに。
うーん、面白いんだよねー。
この作品、3つのアングルからストーリーが進む。
どのアングルもちょっとずつ悪党要素が入っているので、
どこに休息を求めるべきかもわからずにかなり休まらない。
怪しい要素はてんこもり、本当の悪はどこに?
最後に袋とじまでついちゃって、作者の遊びゴゴロとかサービス精神が伝わっちゃって、
もう嬉しい一作。
最後のオチはあたし的にはイマイチだったけど、
でも、全体を通じてみっちりした満足感が。
うなっちゃうよね、この作品‥
やはり、片付きません。 -
Posted by ブクログ
一軒家に叔母と暮らす翻訳家は
向かいのアパートをのぞくという趣味があった。
ある日のぞいた部屋で絞殺死体を発見
→トラウマになりアル中に。
3ヶ月の入院を経てアル中を克服した翻訳家だったが
事件の1年後に同アパート同部屋に入居した女性が
あけっぴろげだったために、ついつい復活するのぞき癖。
次第に狂気にとりつかれる。
一方翻訳家と同じ頃アル中で入院していたケチなこそ泥は
逆恨みから退院後翻訳家につきまとい、
ひょんなことから翻訳家ののぞき癖を見つける。
こりゃー弱みを握りましたぜ、と観察を続け
遂に決定的な現場を目撃…という倒錯シリーズ第2弾。
1人暮らしの方は女性の母親の手紙に地味に泣