折原一のレビュー一覧
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福島県と栃木県の県境にある通称〈六つ首村〉。その村ではかつて、七人が殺害される陰惨な事件が起こった。その事件を材に採った小説『六地蔵連続殺人事件』は大ヒットし、映画化もされ話題になったが、いまでは事件もその小説も忘れ去られつつある。自身の出生の秘密を知ったフリーライターの笹村克哉は、六つ首村へと向かうことになり――。
ということで、折原一さんの最新作は一冊で長編3、4作分はある、一度入ったらそう簡単には抜け出せない大迷宮。かつて大事件が起こった寒村に、事件の当事者と関係のある人間が踏み入れた時、さらなる惨劇が生まれる、というあらすじだけでわくわくしてしまう内容です。様々な作中作が差し込ま -
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著名な推理作家の風野春樹は船の中で残したとされる口述テープには、彼が妻と編集者とスクーバダイビングに行った際の事故がきっかけで、生きるか死ぬかの極限状態でのサバイバル生活に強いられた出来事が吹き込まれていた。妻と編集者の関係を怪しんでいた春樹は、事故に彼らの悪意を感じ、恨みを募らせていく……。一方、別のところでは、ある夫婦の復讐心による私刑がはじまろうとしていた。ふたつの物語が重なり行き着く果ては――。
ということで、ラストでは著者の十八番とも言える大仕掛けが本作にも施されているのですが、そこまで至る経緯も大変楽しく、極限状況下の描写は緊迫感がありました。サバイバル小説的な要素の中に、こ -
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寡作で知られ、現在はほとんど山奥の山荘で隠棲している大御所作家の田宮は、現在は作品がほとんど書けなくなり、評論活動に軸を置いていたが、ミステリー創作講座の講師の経験をきっかけに、ふたたび創作に取り掛かることになった。月刊推理社の新刊シリーズのラインナップのひとりとして加わることになった田宮は、『螺旋館の殺人』というタイトルで……。
ということで、本作は著者の初期作品のひとつ。第二部の章題を見て、にやり、としてしまうひとも多いのではないかと思います。自分自身も含めて、あらゆるものを使って、読者を翻弄していく。いつもながらその大胆で、鮮やかな技巧に惚れ惚れとしてしまう一冊でした。そのぶん、感 -
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〈都会に住んでいると、両隣りの住人の顔を知らないことも珍しくない。まったく無関心だから、極端な話、凶悪な殺人者が潜んでいても不思議ではないのだ。だが、本当にやばい人間、例えば暴力団員のような人が住んでいたら、関わりを持つことでこっちに危害が及ぶおそれもある。〉
というわけで、本作はマンションが舞台。しかもこのトラブルに住む人間は曲者揃い。トラブルも頻発しているみたいで……。家族ほど密接ではないのに、同じ建物で暮らす身近で謎めいた存在、隣人。隠された住人の素顔が剝がされるたびに、異様な真実が浮かび上がっていき――。
連作ミステリとして、それぞれの短篇もとても面白いのですが、ラストにいたっ -
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ネタバレ作品の盗作、登場人物たちの倒錯が本作の特徴であり、トリックを読み解くのにポイントとなる。主人公山本安雄は月間推理新人賞に向けて、小説を書いており、その原稿を友人の城戸に預けた。しかし城戸がそれを誤って電車内に置いてきてしまった。それを永島一郎が偶然拾ったが、当時の永島はお金に困っており、原稿を読んだ永島は、新人賞に応募したら大金を獲得できるのでは思い、白鳥翔という名で実際に応募した。ここから物語は複雑に入り組んでいく。本作は山本が盗作した人物が誰なのか、また永島(白鳥)が作品の盗作がバレないようにどう繕うのか、というところが面白い。
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「折原一」の長篇ミステリ作品『丹波家の殺人 新装版: 黒星警部シリーズ4(『丹波家殺人事件』を改題) 』を読みました。
『漂流者』、『グランドマンション』、『天井裏の奇術師 幸福荘殺人日記(2)』に続き、「折原一」作品です。
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建設会社のワンマン会長「丹波竜造」が、ヨットでの航海中に遭難した。
葬儀が行われた当日、長男が密室状況の仏間で謎の死をとげる。
密室好きで知られる白岡署の「黒星光警部」が駆けつけるが、しかし、それは「丹波家」を襲う連続密室殺人の幕開けにすぎなかった―。
遺産相続を巡る悲劇に、“迷警部”「黒星」が挑む。
異色の長編ミステリー -
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「折原一」の長篇ミステリ作品『漂流者(『セーラ号の謎 漂流者』を改題)』を読みました。
「折原一」作品は6年ちょっと前に読んだ『七つの棺 ―密室殺人が多すぎる』以来なので、ホントに久し振りですね。
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最後に生き残るのは誰か??密室海洋ミステリーの傑作登場!
ダイビング中に妻の不倫相手に襲われた推理作家は大海原で無人のヨットに救われる。
が、その船には恐るべき秘密が隠されていた
妻と担当編集者の3人でダイビングに出かけた人気推理作家「風間春樹」。
潜水中の事故で助けを求めたが、不倫関係にあった2人に見捨てられる。
「風間」は流れ着いた島から自力 -
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倒錯のロンドに続いて折原さん2作め。仕掛けを警戒しながら読み進めるも、意外な展開に翻弄されました。折原さんだから、と仕掛けを打っているのはわかるので慎重に読み進めるとこれは誰のこと?章の最後は「…」で終えないで!先が気になる!ともやもや不気味な感じ。後半全てが紐解かれてスッキリ!登場人物が作家だと作中作が出てきたり、構成自体はかなり複雑かつ最後まで読み進めるのは根気がいるので万人にはおすすめできない。まさに折原さんを読むなら2作めにふさわしい作品。とにかく見事に騙されたし、作者のミスリードに思いっきり乗っかって最後に全てがつながる感覚を楽しんでほしい。
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タイムカプセルを埋めた10年後、不気味な案内状が届く。主人公はタイムカプセルを埋めるイベントに参加出来なかった...
そしてメンバーは何かを隠していた。
続きが気になって気になってしょうがなかった。気づいたらすぐに読んでしました(笑)
怖いシーンは、追体験ができるぐらい没頭して読んじゃって、夜寝るのが怖くなってしまった。
イラストの使い方と袋とじの使い方がすごくて、本でこんな楽しみ方があるんだと、びっくりしたし、表現について考えさせられました。
最後の終わりはちょっと弱いけど、ドンデン返しがあって、めっちゃ面白いので読んでみる価値大です!