折原一のレビュー一覧
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ネタバレ著者お得意の叙述トリックと併せて複雑な話が入り組んだミステリー小説。主人公島崎の本職は小説家だが、それだけでは生計を立てられず、ゴーストライターも兼ねていた。そんな中、島崎は依頼人に失踪した息子の伝記を書いてほしいと依頼されて、多額の報酬金を貰えるということで、その依頼を受けることにした。失踪した息子小松原淳の生涯を追うために、島崎はこれまで彼と関わりのある人物に取材していき、彼の人物像が明らかになるにつれて、次々と彼の謎が浮かんでくる。本作は基本的に小松原淳の謎に迫っていくが、それと同時に依頼人の家族の謎、とくに彼女の夫が物語のカギを握る。
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グランドマンション1号館。住民は全体的に高齢化しているし、働き盛りで無職も多いし、そのうえ胡散臭いのがどんどん出てきて、え、マジっすか?そうきましたか??って終わる。面白いというか、ケムに巻かれた気分で笑ってしまう。そんな本でした。
一言で言うと、ふてぶてしい。褒めてます。
第1話 東側にマンションが建つという。男は無職で、毎日上の階の子供のバタバタ音に悩まされていた。
第2話 グランドマンション1号館に住む松島有香。なんとグランドマンション2号館のモデルルームで販売をやっている。ひと組のカップルが来て、購入手続きをした。
第3話 307号室の久保田家の一人娘綾香に206号に住む高田は恋をしている。高田はオクテすぎて結婚できなかった。もうそろそろ定年を迎える。民生委員として地域で働く予定だった。
第4話 203号室の瀬沼は、新書の本屋さんをクビになってから、家賃も滞納して次の仕事もみつからない。そして震災で家にヒビが入っているおかげで隣の会話がよく聞こえる。となりの老女はお金持ちなうえにタンス預金をしているらしい。
第5話 105号室の多賀稲子はわたし私詐欺で500万持っていかれる。106号室の塩崎俊夫は200万持ってかれる。中年のマスク女で同一犯の可能性が高い。301号室のハルにも俺から電話がある。200万用意しろと。
第6話 1番館武藤留子。朝起きてピンポン鳴らされて、覚えもない男になぐりかかられたので、思わず殴り返したらガツンと入った。心肺蘇生まで必要だったが取り戻して救急車で病院に。
第7話 多賀稲子は振込詐欺からは立ち直っているが、二番館が急に消えたことに戸惑っている。がみなに相手にされない。かなり日記もすかすか、今の年月日も認識とはだいぶずれている。ある日起きた朝もかろうじて自分の名を思い出し、マンションが消えていることに驚愕する。健忘症がひどくなっている。誰かにクビを絞められるが仲間が助けてくれた。
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福島県と栃木県の県境にある通称〈六つ首村〉。その村ではかつて、七人が殺害される陰惨な事件が起こった。その事件を材に採った小説『六地蔵連続殺人事件』は大ヒットし、映画化もされ話題になったが、いまでは事件もその小説も忘れ去られつつある。自身の出生の秘密を知ったフリーライターの笹村克哉は、六つ首村へと向かうことになり――。
ということで、折原一さんの最新作は一冊で長編3、4作分はある、一度入ったらそう簡単には抜け出せない大迷宮。かつて大事件が起こった寒村に、事件の当事者と関係のある人間が踏み入れた時、さらなる惨劇が生まれる、というあらすじだけでわくわくしてしまう内容です。様々な作中作が差し込まれ、様々な視点が入り乱れる、という複雑な構成をしつつも、読む手が止まらず、意外な方向へと着地する。最後までどう転ぶか分からない、そんな意外性のある展開がいつも魅力的な著者の作品の中でも、すごく好きな作品でした。 -
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著名な推理作家の風野春樹は船の中で残したとされる口述テープには、彼が妻と編集者とスクーバダイビングに行った際の事故がきっかけで、生きるか死ぬかの極限状態でのサバイバル生活に強いられた出来事が吹き込まれていた。妻と編集者の関係を怪しんでいた春樹は、事故に彼らの悪意を感じ、恨みを募らせていく……。一方、別のところでは、ある夫婦の復讐心による私刑がはじまろうとしていた。ふたつの物語が重なり行き着く果ては――。
ということで、ラストでは著者の十八番とも言える大仕掛けが本作にも施されているのですが、そこまで至る経緯も大変楽しく、極限状況下の描写は緊迫感がありました。サバイバル小説的な要素の中に、これでもか、と散りばめられた仕掛け……、後半は複雑に糸が絡んでいて、綺麗な一本にすることはできなかったのですが、過去に読んだ折原作品の中でもすごく好きな一冊です。 -
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寡作で知られ、現在はほとんど山奥の山荘で隠棲している大御所作家の田宮は、現在は作品がほとんど書けなくなり、評論活動に軸を置いていたが、ミステリー創作講座の講師の経験をきっかけに、ふたたび創作に取り掛かることになった。月刊推理社の新刊シリーズのラインナップのひとりとして加わることになった田宮は、『螺旋館の殺人』というタイトルで……。
ということで、本作は著者の初期作品のひとつ。第二部の章題を見て、にやり、としてしまうひとも多いのではないかと思います。自分自身も含めて、あらゆるものを使って、読者を翻弄していく。いつもながらその大胆で、鮮やかな技巧に惚れ惚れとしてしまう一冊でした。そのぶん、感想はとても書きにくいのですが……。 -
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〈都会に住んでいると、両隣りの住人の顔を知らないことも珍しくない。まったく無関心だから、極端な話、凶悪な殺人者が潜んでいても不思議ではないのだ。だが、本当にやばい人間、例えば暴力団員のような人が住んでいたら、関わりを持つことでこっちに危害が及ぶおそれもある。〉
というわけで、本作はマンションが舞台。しかもこのトラブルに住む人間は曲者揃い。トラブルも頻発しているみたいで……。家族ほど密接ではないのに、同じ建物で暮らす身近で謎めいた存在、隣人。隠された住人の素顔が剝がされるたびに、異様な真実が浮かび上がっていき――。
連作ミステリとして、それぞれの短篇もとても面白いのですが、ラストにいたって物語全体を貫く強烈な真相もインパクト大でした。人間がどれだけ先入観を持って文章を読んでいるのか、思い込みを試される一冊になっています。折原作品はひとつが気に入れば、おそらく他の作品も気に入るだろう、と思うので、併せて、『天井裏の散歩者 幸福荘殺人日記(1)』『天井裏の奇術師 幸福荘殺人日記(2)』などもおすすめです。ちなみに現時点の個人的ベスト3は、『冤罪者』『沈黙の教室』『異人たちの館』ですので、良かったらこちらも。 -
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ネタバレ作品の盗作、登場人物たちの倒錯が本作の特徴であり、トリックを読み解くのにポイントとなる。主人公山本安雄は月間推理新人賞に向けて、小説を書いており、その原稿を友人の城戸に預けた。しかし城戸がそれを誤って電車内に置いてきてしまった。それを永島一郎が偶然拾ったが、当時の永島はお金に困っており、原稿を読んだ永島は、新人賞に応募したら大金を獲得できるのでは思い、白鳥翔という名で実際に応募した。ここから物語は複雑に入り組んでいく。本作は山本が盗作した人物が誰なのか、また永島(白鳥)が作品の盗作がバレないようにどう繕うのか、というところが面白い。