折原一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれはまたすごい作品を読んでしまいました。
ストーリーは単純で、1年前に富士の樹海で行方不明になった作家志望の青年の伝記を、彼の母親の依頼で書くことになったゴーストライターが取材をしていくにつれ、徐々に明らかになる青年の周囲にある過去の闇と、ライター自身が巻き込まれていく現在が混じり合い…。
あれ?全然単純じゃないね。
まず、天才少年だった過去を持つ作家志望の小松原淳というのが、幼年期から内向的で虚弱体質で、だけど自尊心が強くて生意気で、お坊ちゃん育ちだから余計に鼻持ちならなくて。
天才の自分が書いた小説が認められないのは、見る目がない編集者や読者たちのせいだと信じ、自らを省みることがない。
貧しい母子家庭に育った淳は、その後母の再婚により新しく父親と妹ができる。
ゴーストライターの島崎は、実業家の父と大学教授の母の間に生まれたものの、親の期待に応えることができず、家を出て作家を目指している。
純文学とミステリで2回新人賞を取ったものの、原稿の依頼は小説ではなくゴーストライターとしてのもの。
作家を目指しながら結果を出せていないという点では、島崎もまた淳と同じ鬱屈を抱えている。
ミステリなので詳しくは書けないけれども、何に圧倒されたかというと、一つ一つの謎は割と簡単に解けるのに、全体像が全く見えてこないところ。
地の文の外に、淳が書いた小説、島崎の書く伝記など何種類もの文章が錯綜し、現在と過去が捻じれていく。
例えば、淳が学生時代に書いたミステリが作中に出て来るが、その後さらに十数行をラストに追加したバージョンが出てくると、見えていた世界が一変してしまうのだ。
淳をはじめとして、小松原家の誰一人として好感を持てる人物がいないんだよね。
っていうか、異常。
異人じゃなくて、異常。
さらに島崎とあともう一人もやっぱり異常。
何かにとりつかれるというか、妄執って、人を異常にするのね。
ミステリだけど、サスペンスホラー寄り。
そして子離れのできない親は、害毒であるということ。 -
Posted by ブクログ
継母と二人で暮らすのが嫌で、家出をしようと思っていた高城有美は、合コンで男性と知り合い、恋仲になります。
有美は何者かに誘拐されて監禁されます。
有美は、妊娠していて二人の娘を産みます。
産んだ一人目の娘は中西家の養女になり、中西安奈として育てられます。
もう一人はひまわり園にもらわれ、羽生さつきとなります。
有美が合コンで知り合った男性坂村孝太郎は、心臓発作で死んでしまった探偵の替わりに有美の行方を捜しているうちに、いろいろなおかしなことに気づきはじめます。
そして20年後の中西安奈と羽生さつきも、どうやら自分とそっくりな人間が近くにいることに気づきます。
そしてまた、中西安奈は時々自分が二重人格になったように感じることがあります。
安奈とさつきはやがて知り合いになり、お互いに入れ替わってみます。
有美の継母は有美に替わる後継ぎを捜していました。
誘拐された有美の行方はとんでもないところでした。
なぜ、中西安奈は時々二重人格になってしまうのか…。
結末は、ありえない…!!と思いました。
全然わかりませんでした。
ちょっと昔、懐かしい感じのするミステリーでした。 -
Posted by ブクログ
信用と信頼の折原一長編はやはり面白い。保証制度濃厚なので、この600Pを超えるぶ厚い作品でも躊躇せず手に取ることが出来るし、やはりあっという間に読み終えてしまった。
連続婦女暴行殺人事件。被害者は真夜中開けっ放しの窓から侵入され陵辱された後、顔と足にガソリンを撒かれ火を放たれる。その容疑者として捕らえられたのが河原輝夫だ。彼は年月を経て拘置所からノンフィクションライターの五十嵐友也に冤罪を訴える手紙を出す。
最後の被害者 水沢舞の婚約者であった彼は一から事件を見直す事となる。彼自身の心の葛藤、そして複雑に絡まる人間模様は容赦無く予想打にしない結末をとして我等読者に突き立ててくるのだからもう堪らない。
歩みが遅いのは確かだが、この丁寧さが後のクライマックスを多いに引き立ててくれている。人物描写の作り込みは秀逸だし、背景をしっかり認識できるものだから面白いが止まらない。歯止めが効かなくなるので残りページが1/4を切った時、その後ゆとりのある時間を取れないようなら一旦ブレイクタイムを挟んだ方が良い。現実に戻れなくなり、確実に生活に支障が出る。実話だ。
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対象者が犯罪者の時点で致し方ないのだが、性描写の嫌悪は強めに出た。男尊女卑の言葉がメジャーと化した現代ではココを頷ける方は少ないと思うが、個人的には、この未来を知らない時代に作られた燃え上がる前の火種 原点を覗き見できた事に満足している。
正常人枠である筈の主人公、五十嵐友也の奇行に詳しく触れていない事が男尊女卑の言葉を浮上させている気がするが、これも演出に一役買っている様に感じた。皆どこか狂っているし何かに取り憑かれている状態なのだ。この、終始薄気味悪い重たい空気が流れているのも魅力的だ。決してホラーで無ければファンタジーでもない、潜在意識として組み込まれた人の恐ろしい部分を皆絶妙に解放している。ここに恐怖を覚えるのは(恐らく)人として間違えていないはずだ、と妙に安心してしまう程だった。
著者のミステリーは古風だが(事実、1997年の作品である)裏の裏をかいてくる複雑なトリックと、終盤のサスペンスな展開には毎回釘付けにされてしまう。推理を放棄し熱中、終わりの見えない転々連撃に自身のHPがみるみる減っていく。これには抗わず、素直に悦に入るのが吉かと思う。回復薬も必要ない、根性で乗り切ろう。
このギリギリに削られた状態がサスペンスの醍醐味に感じているのだが、苦手な人は「こいつおかしいんじゃないか」と脳内で蔑んでいただければ...決して声に出さず... メンタル豆腐なので...(フェードアウト)
ページ数と同じく内容も重厚感溢れる作品なので手に取る際は人によっては精神統一のプチ儀式が必要やもしれない。だがそれを経て得られる娯楽は大きいと思う。昔の作品に触れるとその時代の背景も見えてくるし、人の根源の恐ろしさを再認識すると一概に「過去の出来事」と一蹴する事は出来なかった。更に、警察捜査のもどかしさや横暴さも今と比べて善し悪しの判断材料になる。それを善か、悪か、と考えをまとめるのは個人の楽しみだ。
色々な思想を生み出してくれる昔の作品は大好きだし、私的その筆頭が折原一という作家だ。
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エピローグの昭和ロマンス感は最初こそ嘲笑したが一周まわってご愛嬌と化した。「僕は狩人さ」「まぁ、命中率の低い狩人さんですこと」
........これをノーリアクション、真顔で通過できた方は是非お知らせして欲しい。その鋼の精神是非御教示いただきたい。 -
Posted by ブクログ
遅れて届く手紙が巻き起こすそれぞれの事件というか錯誤がそれぞれの手紙と共に描かれます。
プロポーズの手紙から、ストーカー、遺書、礼状から脅迫状まで15年たってから届けられる。
さて、それを受け取った主人公たちの人生にどのような変化が?
もうそれぞれがそれぞれだし、このマンション悪いやつしか住んでないなぁ。っていう印象。笑笑
ラストでマンションの住人がハタ、、と気がつく、
なんかおかしくねーか?
あ、気がついちゃった?のタイミングで、それぞれのはなしが集結されます!!!!!!!!
最初読んだときはナミヤ雑貨店のような本かなぁ。と思ったが。まぁ、構成は似たものの、全然違うので思う存分手紙に振り回されます。
15年後の手紙、あなたなら誰に書きますか? -
Posted by ブクログ
初めての一っちゃん( ´ ▽ ` )ノ
何の前知識もなかったから無心に楽しめた( ´ ▽ ` )ノ
本格ミステリの人と知ってたら、むしろ敬遠してたかも……ああいう、人間が記号化してるような小説は苦手だから……(´ε`;)ウーン…
あんまりミステリに詳しくない人間でも容易に先が読める展開で、とにかくスラッスラ読める( ´ ▽ ` )ノ
遅読の自分でも3~4時間で読めちゃった( ´ ▽ ` )ノ
社会問題や現代人の心の闇も描いてはいるけど、それはあくまで薬味ていど。(むかし学習雑誌の別冊ふろくによくあった)推理クイズブックというか、さまざまなトリックの それこそモデルルームみたいな連作短編集( ´ ▽ ` )ノ
肩がこらず、どこでも区切れて、出張新幹線のおともなんかに最適な一冊( ´ ▽ ` )ノ
まあ、あの人とこの人、よくおなじマンションに住めるもんだなとか、こんなに犯罪が連発してたら完全に大島てる物件じゃないかとか、無理や不自然やご都合主義のオンパレードではあるけれど、こういうもんだと割り切っちゃえばどってことない( ´ ▽ ` )ノ
マッコイの解説、ひょっとしたらふれないままで終わっちゃうのかとハラハラしたけど最後の最後でちゃんと「グランドホテル」の名前があげられていてホッとした( ´ ▽ ` )ノ
「グランドマンション」ってタイトルだもの、みんな「こういう形式」の作品を期待して本書を手に取るよね( ´ ▽ ` )ノ
2019/11/25