折原一のレビュー一覧
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ネタバレ今まで読んだ折原一作品の中でいちばん好き。自分で推理できる部分と、予想外!と驚く部分のバランスが絶妙だった。
まず淳の性別がいまいちハッキリしないかと思えば母親がしきりに「女の子だ」と強調しているのでこれは性別の叙述トリックで実は男パターンのやつだなと思いながら読み進め、実際その通りだったわけだけど意外とこれは物語にあまり関係なくあっさりとネタばらしされ。
モノローグは小松原淳以外の人物が自分を小松原淳だと思い込んでる、もしくは作中作かな〜程度に推理。
譲司が外国人で異人の正体、というのは途中から確信があったので島崎とユキの前に現れた異人が譲司ではなく淳だったのは驚いた。しかも淳が親殺しをしていたなんて展開が面白すぎる。
ユキみたいな男たちを虜にする魔性の女ってミステリー作品によく出てくるよね 笑
もっと裏の顔があるのかと思いきや(それこそ幼女連続殺人の真犯人とか)そこまで悪い子じゃ無かったのが逆にびっくり。
すごく長い作品だけどどうなるの?どうなるの?と先が気になってどんどん引き込まれ、2日で読み切った。 -
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総合評価は4としましたが、読みやすさ(読み進めやすさ)は3です。かと言って文章とかミステリ的に難解では決してなく、簡単な文章なのですがスラスラ読めず、集中力が切れがちになります。同じようにちょっと影のある日常がかかれている作品でも、例えば島田荘司氏などは何故かスラスラ読めて止まらなくなります。何が違うのか検証までは出来ていませんが、1つの特徴として、本作は叙述ミステリでもあるのですが、それが最後に明かされるのではなく、終始 “叙述トリック使ってるよ” 感があるのも疲れる大きな原因かもしれません。
それでも★4としたのは、例え挫折しながら間を開けて読んだり、多少飛ばし読みをしたとしても、最終場面に入ってから、それまでの伏線などを分かりやすくまとめて解説してくれている点です(後書きとかではなく本文のなかで自然な形で)。
伏線が多い作品ですが、見事な伏線からイマイチなものまで荒さはありますが、その分見抜きやすい伏線や叙述トリックも使われており、ミステリ初心者の方におすすめです。 -
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「結婚することになった。彼女と一緒に田舎に帰って母親に報告する」
友人からの連絡の直後、その友人は練炭自殺をした。
不信に思った池尻は、友人の母親からの依頼もあり、“彼女”を探し始める。
その彼女「花音(かのん)」に騙され、自殺を装った殺人ではないか?との疑いが出てくる。
花音の裁判を傍聴する4人の女性が、たまたま初回公判後に集って裁判について語りあうことになってつくった「毒っ子倶楽部」。
裁判の感想を語り合うと同時に、池尻が調べて綴った事件の記録が少しずつ開示されていく。
花音がどうやって自殺を装った殺人を行ったのか?と読み進むが、
「きっと、あなたも翻弄される」
という帯の通り、翻弄されてしまった。
『傍聴者』という本の題名が頷ける。 -
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☆3.8
グランドマンション一番館には様々な人が住んでいる。
そこではトラブルが起こることもままあって……
流石、折原一。
こういうことかなと考えながら読んでも、いつでも予想の上を軽々と行ってくれるので、こちらとしても気持ちよく騙される。
登場人物たちは、ちょっとこの人近所にいたらイヤ〜!となる人もいて、その微妙に遠ざけたくなる気持ちもわかっちゃう。
絶妙な人間関係。
最初の一編「音の正体」を読んで、うん、そういう感じねとウムウム頷く。
そういうの、好きよ。
「善意の第三者」がとても良い衝撃でした。
「リセット」と「エピローグ」が連載を単行本化した際に書き下ろしたというだけあって、それまでに起きたことや出てきた人物たちが関係してくる。
このまとめ方もなんだか豪華に見えて、『グランドマンション』ってタイトルにふさわしい感じがした。
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「折原一」のミステリ連作集『グランドマンション』を読みました。
『漂流者』に続き、「折原一」作品です。
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「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。
騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣──次々に住人が引き起こすトラブル。
そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは……。
希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。
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隣人問題、騒音問題、虐待、不法侵入、年金不正受給、振り込め詐欺、火事…… アクの強い住人たちが、これでもかとばかり次々に問題を引き起こす「グランドマンション一番館」を舞台にしたミステリ連作集、、、
奇想と騙りが炸裂する、不可解で愉快なグランドマンション… 叙述トリックの連続で、何が起きるかわからないドキドキ感が愉しめる作品でした。
■音の正体
■304号室の女
■善意の第三者
■時の穴
■懐かしい声
■心の旅路
■リセット
■エピローグ
■解説 杉江松恋
202号室に住む騒音に敏感な「沢村英明」は、真上の302号室に住む子どもの足音や赤ん坊の泣き声等の騒音に悩んでいた… 「沢村」の我慢は限界に達し、育児放棄や虐待を繰り返しているらしい母親に苦情を、、、
その後、子どもの生活感が全く感じられなくなり、子どもたちは母親の手で殺められたのでは!? という疑惑が「沢村」の頭に浮かぶ… 被害者かと思った人物が、実は加害者だったという、どんでん返しが愉しめる『音の正体』。
303号室の「松島有香」は、グランドマンション二番館の販売事務所に勤めており、所長の「大田原浩平」と二人で事務所をやりくりしていた… ある日、「牧野麻子」と、その婚約者「杉崎大介」が事務所を訪ねてきて304号室を成約、、、
その後、「有香」は、鍵の紛失、携帯の紛失、さらに、不審な電話と不穏な出来事が続き、そして、「麻子」が「大介」と「有香」の不倫を疑い、ある罠を仕掛けてくる… 「麻子」や「大田原」の住居について、意外な結末が愉しめる『304号室の女』。
206号室の「高田英司」は、高齢の母親「筆子」と暮らしていた… 彼は民生委員をやっていて、305号室に住む「久保田綾香」に想いを寄せていたが、ある日偶然、「綾香」の婚約者「立川茂樹」の浮気現場を発見し、その事実を善意の第三者と名乗り、手紙と証拠写真で「綾香」に知らせる、、、
さらに正義感の強い「高田」は、「綾香」の祖母「ミヨ」の年金不正受給を暴こうと、ある行動を起こすが、それによりある事実を知ることに… 叙述トリックを使って、30年の時間軸の差を巧く使った『善意の第三者』。
203号室の「瀬沼富男」は無職で家賃滞納中、ミステリマニアで多数のミステリ稀覯本を持っている「瀬沼」は204号室の老人「佐久田芳子」が多額のタンス預金をしていることを知り、ミステリ作品の密室犯罪を参考にしながら「佐久田」の金を奪うことを計画する… しかし、「瀬沼」は犯行を実行する前に自室で殺され、しかも、そこは完璧な「密室」であった、、、
「瀬沼」は殺される直前、警察に電話して犯人は管理人だと告げていたが、管理人にはアリバイがあった… 密室を扱うという本格ミステリのパロディっぽさが愉しめる『時の穴』。
105号室の「多賀稲子」がオレオレ詐欺で500万円を騙し取られ、続いて106室の「塩崎俊夫」が200万円を騙し取られ、301号室の「塚本ハル」のところにもオレオレ詐欺らしい電話があるが、「塚本ハル」は騙されず、逆に犯人を出し抜こうとする… 民生委員の「高田」は104号室の「岡安亮太」が怪しいと疑う、、、
意外な人物が犯人でしたね… 被害者かと思った人物が加害者だったという叙述トリックを愉しめる『懐かしい声』。
103号室の「武藤留子」は、突然、部屋を訪れた男を思わず殴ってしまった… その男は救急車へと運ばれていくが、その後、「留子」は男が落としたであろう鞄を拾い、鞄の中に入っていた手帳に書かれていた、ある少女の壮絶な日記を読むことになる、、、
叙述トリックを使って時間軸を錯覚させることで、謎めいた物語りに仕上げてある『心の旅路』。
105号室の「多賀稲子」は、窓のカーテンを開けると戦慄が走った… なんと、目の前にあったはずの「グランドマンション2番館」が消えてなくなっていたのだ、、、
「稲子」は痴呆が始まっており、他の住民と話がかみ合わない… そんな中、民生委員の「高田」が年金の不正受給で逮捕され、106号室の「塩崎」も事故に遭う。
「グランドマンション1番館」と「2番館」を誤認させるトリックと、管理人を誤認させるトリックの、二つの叙述トリックを愉しめる『リセット』。
『エピローグ』は、放火で焼失し、新しくなったグランドマンション1番館を売りに出している「大田原浩平」と「松嶋有香」の後日譚ですかね。
8つの物語の連作となっているのですが… 印象に残ったのベスト3は『音の正体』と『304号室の女』、『懐かしい声』かな、、、
そして、『時の穴』が次点かな… サクッと読めて、叙述トリックを堪能できる一冊でした。 -
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世の中には自分に似た人間が二人いる。
彼女は、その日自分にうり二つの女性を見た。
現在と過去と、そっくりさんとそっくりさんが、入り乱れていく。
まぁ、顔がそっくりっていうのは、この混乱をもたらすものなので、つか、タイトルからすでにギミックなわけで。
混乱を楽しむものとして、とても楽しかった。
なんというか、糸が絡みに絡んでるんだよね。で、同じ色の糸に見えていたものが、よく目を凝らすと微妙に色が違う。その違いをたどることによって、糸はほどけていく、そんな感じ。
にしても、黒幕がやばすぎるわ。
人間味が全くない。
って、その無機質さが結局は、恐怖なんだろうと思うのである。 -
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ネタバレ半年程前に富士の樹海に消えた作家志望の男「小松原」、かつて神童とまで呼ばれた才能の持ち主であった彼に何が起こっていたのか? 同じく作家志望の「島崎」は彼の母親から依頼を受け彼の伝記を書くことに、調べるうち明かされていく小松原家の歪んだ過去と彼の周りに巣食う謎の「異人」。 そして島崎の周りにも「異人」の影が現れ・・・。 過去、現在、手記、インタビュー、数多の断章で構成された謎の記録。
多重視点ながらインタビューと現在の視点はきっちり交互に展開されむしろ読みやすかったです。 序盤は主人公と共に過去の詮索を行っていき、徐々に主人公は事件の渦中に巻き込まれ、終盤は読者に大きな謎を投げかける。 全容の見えないホラーでもあり、主人公が災禍に追われるサスペンスであり、ラストに衝撃を控えるミステリーに仕上がっています。
折原さんの作品では古い部類に入るのですが、集大成と言って良いと思います。 技巧はもちろんですが、樹海に作家主人公に現実の事件をモチーフにしたり得意な事を詰め込んでみた感じ、それでいてストーリーの破綻もなく600pの大作ながら綺麗にまとまっています。 読み終わると「異人たちの館」を書いた作者の想いがぐっと伝わる。 文句無しで折原氏の傑作と呼べますね!!
小松原淳が生きている可能性、一度死んだ幽霊のようなライターとゴーストライターのダブルミーニングは自分も思い至って愉快な推理だなぁと満足したのですが、まさかもう一人幽霊作家になれる人間が残っていたとは!!
「潤一」と「淳」の名前被りは気にかかっていましたがどこにも隙がない、と思ったらまさかのモノローグ。 潤一が島崎姓を捨てるまでの伏線と言うか展開が最初の方から始まってるのでこれは相当上手いと思う。
読み終わると「異人たちの館」を書いた作者、息子の名誉を守らんとする母親の想いがぐっと伝わる。 やっぱり叙述物って面白い。 -
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ネタバレある殺人で無期懲役の判決を受け服役中の男がいた、主人公のライターはその男から自身の無実を証明してくれと頼まれる。 悩みそして怒る主人公・・・なぜならその男が殺したのは主人公の婚約者なのだから・・・。
事件は冤罪だったのか、新たに起こる犯罪は何を意味するのか、登場人物を複雑に書き分け真相に迫っていく。
ミステリとして極めて複雑だったと思います。 折原さんの作品でもトップレベルで登場人物多いんじゃないかな。 本シリーズ特色として実際の事件がモデルとして背景にあります。 冤罪、警察の応対、加害者の人権、そして遺族の憤慨、モデルとなった事件は存じなかったのですがどのような事件だったのか想像がつくようです。 でも社会派小説では全くないです。 社会制度について思案するのも悪くないですが作者は手加減なしで騙してくるのでご注意です。
水沢舞殺しに関してだけは河原は冤罪であり、水沢舞殺しだけは栃本久美子による便乗殺人だった――
ざっくり分けると
河原の冤罪、監禁中の男女誤認、小谷ミカの誤認がトリックなのでしょうけど、小谷ミカについてはルームメイトの存在だけじゃちょっと理不尽じゃないですかね。 あそこまで小谷ミカ本人の描写をして事件の本筋とは関係ない名前貸しだけの存在というのは頂けないです。 無論何かを見落としている可能性もありますが。
それ以外の叙述トリックはそもそもの物語の複雑さもあってかなり面白くなっているかと思います。
しかし折原さんの作品ここまでボリュームあるとかなりエネルギー使いますね。 用法用量を守って読みましょう。