折原一のレビュー一覧
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ネタバレ○ 耳すます部屋
ゆかりという母子家庭の子どもを預かった久恵が,ゆかりを殺害してしまったように思わせておいて,実際は,ゆかりの母がゆかりを殺してしまったというオチ。久恵とゆかりの母である八重子が電話をしており,久恵が電話を切らずに話していたので,ゆかりと久恵の会話が全て八重子に筒抜けになっており,話を聴いて,娘が盗みをしたことを知った八重子がゆかりを殺してしまうという話である。「耳すます部屋」というタイトルは,八重子が電話でゆかりと久恵の会話を聴いていたことを示している。
○ 五十像
少年が犯人と見せかけて,五人組の大人が,少女を誘拐した誘拐犯だったという話。しかし,少年が単なる善人では -
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ネタバレ日本推理作家協会賞長編賞に輝くサスペンス。折原一らしく,多数の登場人物の視点からいろいろと謎が提示され,中盤のサスペンス部分はなかなかのもの
交通事故に遭い,記憶喪失になった謎の男「神崎一郎」の正体は誰かという謎。20年前の青葉ケ丘中学で,恐怖新聞を発行し,粛清をしていたのは誰かという謎。同窓会を妨害するために,野呂和男と喜多村冬彦を殺害した復讐者は誰かという謎。そして,青葉ケ丘中学の教師だった仁科良作の妻は誰かという謎。これらの謎が、畳み掛けるように構成される。しかし,真相が平凡。神崎一郎の正体は,都会から転校してきて,すぐに転校していった足立一郎。恐怖新聞を発行していたのは級長の秋葉拓 -
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ネタバレ折原一による「○○者」と題する作品の一つだが,五十嵐友也は登場しない。シリーズでは,異色の作品。やりすぎと思えるほど複雑な構成で,はっきり言ってしまうとバカミス。
「誘拐者」というタイトルのとおり,新生児の誘拐事件が背景となっている。堀江夫婦から新生児が誘拐され、堀江夫婦の妻である堀江チヨも同様に「あすか」という名前の新生児を誘拐する。堀江チヨは,佐久間玉枝という殺人者が獄中で出産した子を養子として引き取った夫婦の新生児を誘拐しており,これが事件を複雑化させていく。堀江チヨは,「あすか」という本当の自分の子どもを求めて「あすか」という子どもの誘拐を繰り返す。この部分が既にバカミスっぽい。堀 -
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ネタバレ冒頭にバリンジャーの「歯と爪」からの引用が掲げられている。折原一の作品ということもあって,叙述トリックを駆使した作品であろうことは想像に難くない。
内容は,五十嵐友也というノンフィクション作家による作品という想定。五十嵐友也の視点,アルバイトの新聞配達員の視点,万引き現場から捜査中,取り調べ,裁判から刑に服するまで,氏名を名乗らなかった「沈黙者」についての描写,殺人者の視点といった視点から描かれている。
校長先生の家である「田沼家」で,一家のうち4人が惨殺される事件,同じ町内で起こった「吉岡家」の夫婦惨殺事件という二つの事件が描かれる。二つの事件の描写と,田沼家の生き残りである田沼ありさ -
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ネタバレ折原一らしく,叙述トリックが仕込まれているが,入り組んだ真相というほどではなく,比較的分かりやすい構成になっている。第一部として書かれている「螺旋館の殺人」も、第二部として書かれている「盗作のロンド」のいずれも,若い頃に小説家を目指した田宮老人が自費出版として出した本の内容だという構成。最後の最後に,折原一がこの作品を同人名義で発表したというオチが用意してある。
第二部では,作中で沢木という編集者が田宮になりすますという構成になっている。このあたりだけが,折原一らしい複雑さだったが,それ以外の部分は,第一部の原稿すり替えのトリックも含め,やや平凡なデキ。読みやすい,軽い文体や,軽いキャラク -
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清水潔さんの北関東連続幼女誘拐殺人事件を追った「殺人犯はそこにいる」 と同じ事件をもとにしている事に興味を持って読み始めたのだが、ほぼ同時に図らずも寝屋川の中1遺体遺棄事件が起きてしまった。
人間の中に潜む狂気を押さえ込む事が出来るのは最終的には本人自身でしかない。
けれども押さえ込む事が出来ない環境は社会の歪みが大きく関係するのだろうか。
ごく普通と見える中学生が夜中に遊んでいても平気な世の中、見知らぬ人間が周囲に現れても声をかける事もしない、人間臭い関係を持つ個人商店よりもコンビニやスーパーが気楽と思えるそんな社会と人間が今の社会の基本のようになっているのは歪みではないだろうか。 -
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日本ミステリ作家の中の職人の中の職人、彼の名こそ「折原一」
そんな職人作家の中篇、元々は山で非業の死を遂げたクライマーの追悼集からインスパイアされたとのこと。
文庫本を読んだが、初版は実際の追悼集を模した体裁をとっており、別冊を含めた2冊での出版だったとのこと。そのほうがまさに折原一っぽくて、文庫だと面白さ半減ってところだろうと思う。
個人的には安定の折原なので、伏線等の仕掛けも含めて、満足はした。ただ信者以外にはどうだろうか?誰もは楽しめる1冊とは言えるだろうか?まぁ自分は信者だからどうでもいいが…
いやそれなりに存在する信者のためにも、折原氏には作風をブレることなく邁進していただき