折原一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
息子・輝久の日記を盗み読んだ野原実は、学校で輝久がいじめにあっていることを知る。
担任に言っても、「いじめはない」というだけで何も対応しようとしない。
妻はなぜ実がいじめの件を知っているのか、確信はあるのかと首をかしげるばかりだ。
日記を盗み見たことを妻にいうわけにはいかず、イライラは募るばかりだ。
折原さんの作品なので、絶対に仕掛けがあると思いながら読んでしまった。
「なるほど・・・」と思うような結末だったけれど、折原ファンとしてはいまひとつ物足りない。
もう少し怪しげで胡散臭い人間が登場しても・・・などと思うのは欲張りだろうか。
最後にやってくる驚きを味わいたくてつい読んでしまう折折原さんの物語。
読む前から警戒するのもどうかとは思うけれど、気がつくと深読みしてしまっている。
それもまた楽しみにひとつになっているのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
この物語を読み始めたとき、最初に頭に浮かんだのは「東電OL殺人事件」のことだった。
実際の事件はまさにこの物語と同じような経緯をたどった。
被害者であるはずの女性は私生活を暴き立てられ、メディアによって晒し者にされ、悪意ある好奇心の的にされた。
メディアが伝えた被害者女性の私生活の描写には捏造ともいえる情報が多く含まれており、被害者遺族にとっては耐え難い出来事だったろうと思う。
折原さんの作品を読み終わると、いつも「ん~」と思ってしまう。
裏の裏を読もうと、ついつい疑いをあちこちにはさみながら読むのだけれど、結局いつも見事に「してやられた!!」と思うのだ。
中盤以降に登場した殺害されたライターの残した謎の言葉。
いったい誰が犯人なのか。犯行の動機は?
すべてが被害者・大河内奈美を中心に起きていることは間違いない。
しかし、本人が死亡している以上、残された容疑者は限られているはずなのに犯人像がまったく見えてこない。
読み応えがあった。
物語としての面白さだけでなく、考えさせられる(考えなければならない)ことも多かった。
たったひとりの短い証言。メディアが喜んで飛びつきそうな悪趣味な話題。投げ込まれた悪意のこもった餌。
この世で何より怖ろしいのは人の心だとつくづく思う。
すべての謎が明らかになったとき、いろいろな意味でゾッとする。
唯一笑えたのは、腰がほぼ直角に曲がっている(と形容されている)煙草屋のおばあさんだろうか。
女はいくつになっても侮れない。 -
Posted by ブクログ
折原一いいかなぁと思って、奥様と共著のこの本を読んでみました。すごいですねー。ご夫婦で一緒に作業できるなんて(そこかよ)
内容もなかなかスリリングでした。このストーリーを夫婦で考えて作ったんか・・と思うと、それもスリリングで・・(笑)
この作品自体が作られたのは、まだ携帯電話やメールの普及もそれほどしていなかったときなのですね。最近、そういう時代設定の作品も読むことがありますが、やっぱり、携帯電話やメール、SNSの普及によって、小説自体にもかなりの影響が出ているんだなあ!とつい思ってしまいます。
最初、いつ書かれたものかまったく知らずに読んでいて「ん?なんで携帯で連絡取らへんねん・・」って思ってしまったり・・・
それはそれとして、終盤は「うわー」「えー」「えーと・・」っていう感じでちょっと頭がこんがらがったかな~。 -
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とある理由により無人島に取り残された男が、
時を同じくして、とある理由で漂流する
「セーラ号」を見つけた事から始まる
漂流とミステリが9:1ぐらいの作品。
ほぼ漂流だこれ。
この人の作品はたいていどんでん返しか
叙述トリックがメインというわかりやすさがあって、
かつ日誌とボイスレコーダーが出たら倍率ドン
なので、この作品は分かりやすかった
じゃあトリックが分かったからつまらないか?
というそんな事は無い。というかむしろ面白い。
本を読んでるとわかる「読むべくして読む」と
「続きが読みたくて読む」の二種類があると思う。
この人は間違いなく後者の文を書く。
特に今回は海洋冒険要素もあるので、展開が
めまぐるしく変わるので読んでいて飽きなかった。
ただ、ミステリかと言われれば間違いなくミステリ
だけど、いまいち納得出来ない気分は残る。
「殺人鬼の正体が最後までわからないから
ジェイソンはミステリ」って言われてる感じに近い。
謎は謎だけど……みたいな。
もちろんトリックはしっかりしてるし、
やられたーってなる人もいるので、
楽しめる一冊なのは間違いないです。 -
Posted by ブクログ
二冊の追悼集から成る小説。
単行本の発売時には、実際に箱入りの二分冊とした凝った作りの書籍にして発売されたらしいが、今回読んだのは文庫版(一冊にまとめられている)。
全編を占めるのは二冊の追悼集。
登山に興味もない、ましてや知識もない自分としては、最初、なかなか物語に入り込めなかった。北アルプスの細かい地名など聞かされてもイメージが湧かないし、登山用語などもチンプンカンプン・・・。
半分を過ぎたあたりから物語に入り込めるんだけど、これが、また、今まで読んできた折原一とはチョット異なる感じで・・・。
たしかに死人は居るんだが、そもそも自殺なのか他殺なのかも判然としないし、自殺にしても他殺にしても動悸が見えてこない。モヤモヤした感じを抱いたまま後半へ進むんだが・・・。
ラストは、ちょっと強引だよなぁ。
他の方も書かれているけど、この小説は単行本発売時みたいに、二分冊で読んだ方がリアルに感じる事が出来たかもしれない。野心的な試みだったと思うけど、文庫版でもその試みで出版して欲しかったなぁ。そうすれば、また違った読後感を味わえたんじゃないかと思う。
強烈な「折原マジック」を期待してただけに、やや肩透かしだった一冊。
☆3個
背表紙~
残雪の北アルプスで、若手会社員・笹村雪彦は所属する山岳サークルの登山行で足を踏み外し、滑落死を遂げた。だが山を愛した彼に捧げた追悼集は、死因に疑いをもった母親の行動によって、予想外な内容に・・。登山届、現地地図、死体検案書など詳細な記録を収録した2分冊の追悼集に込められた謎とは何か?
思うんだけど、文庫サイズで、登山届やら現地地図やらを見せられても、小さすぎて見えにくいんだよなぁ。
それに結局のところ、真相には登山届も死体検案書も関係なかったし・・・。
序盤、なかなか物語に入り込めず、中盤、かなり盛り上がったんだけど、ラストが強引なのがなぁ・・・。