小路幸也のレビュー一覧
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ネタバレここんとこ小路作品にダレ感を感じてたのだけど、この作品はいい!
個性が描き分けられた登場人物。
悪者が一切いない
家族のきずなが美しい。
家族をとりまく人々が優しい
ロードノベル要素はあるけど、帰るところがある旅。
これら小路作品的な全部の要素を満たしつつ、しかもちょっと意外な謎解きまで味わえるなんて。
ほっこりしたい時、家族を想いたい時、心に隙間風が入ってきた時、この本は絶妙に効く良薬になるんじゃないかな。お風呂入って暖かいご飯食べて布団にもぐってこの本読んで寝ればそそけ立った心もほぐれるような気がする、まさに小路作品。
余談:紫ちゃんが思いの人と再会する場所に要注目です。おそらくあの場 -
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ネタバレ死人が多く出る町。
なぜか死体をよく発見してしまう義眼の主人公。
ミステリーに見せかけたファンタジーな感じでした。最後まで読んでも、ファンタジー的な要素のところは観念が難しかったです。
バットを振ってギーガンに怪我をさせてしまったルーピーに「野球やめるなよ」とお父さんが言うところが素敵でした。
あと、感情のはあるけれどそれを自分で認識できていないギーガンが、泣くところで私も泣きそうになりました。
このところ小路さんの本ばかり読みあさっているのだけれど、どれを読んでも人物たちがみんな、読んでいる最中頭のなかに生き生きと存在しているから面白いんだろうな、と思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ明治たてもの村で、家具などの補修をしながら暮らす、ひきこもりの過去を持つトムおじさん。両親と離れトムおじさんの元で暮らすハンナ。
二人の関係も、周りの人たちも、心地よい空気感でした。
トムおじさんは、人の目を見て話せないという点では弱いかもしれないけれど、言わなきゃと思ったことは言える強さと優しさを持っていて、弱さと強さは相反するものではないのだと考えさせられました。
文庫版だけに収録されているという後日談。あんなに自分をしっかり持って強く見えたハンナだけれど、小学生だから真っ直ぐ言えたことも、大人になったらどうしていいか分からなくてパンクしちゃうこともあるのかな、と思いました。 -
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ネタバレみんなの少年探偵団シリーズ。これが第一弾? 順番変わったけどあと一冊。(追記・これ第三弾だそうです)
小林少年が明智探偵の助手になるまでと、麻由美お嬢さまの跳ねっぷりまでは楽しく読めた。
でも、怪人二十面相と明智との因縁の解釈が…そうきたか。あくまで小路幸也さんテイストですよね。これが本当の明智小五郎だと思ってもらうと困るよ。これはこれでドラマチックな話だけど、辛い悲しいのは今ひとつそぐわない。
表紙の美しい絵でいろんなイメージが湧いた。小林少年の再生物語だと思えばそれはそれで良し。
追記。
登場人物は結構出たけど、よくわからない人達もいた。芳雄君の双子の雅雄君も大事な役割なのにちゃんと -
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ネタバレ高校は電車(とバス)通学だった。
高校1年の時は特に授業の始まりが早いこともあり、朝の電車に間に合わせるのに随分苦労したものである。(何しろ深夜ラジオファンだったもので…)
それでも、早朝の電車に揺られながらハヤカワSF文庫読んだり、毎日出会う綺麗なお姉さんに目奪われたり、随分楽しかったことを覚えてる。
この本に出てくるようなキラキラしたものはなかったかも知れないけど(なんせ男子校だった上、俺映画ヲタ・アニヲタ・深夜ラジオファン)今でも電車通学してる学生たちがでっかい部活カバンの中から単語帳など出してきて勉強しあったり、パンをむさぼってる姿を見ると、なんだかホコホコしてしまうのである。
あ -
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小路さんの人と人の情や絆の描きかたはそのままに、痛みや重さもある作品でした。
ちょうど今の自分と同じ年代の子たちの話で、しかも私の場合も中学時代(人数は何倍もいたけど)割りとみんな穏やかで良い学年だったから、物語に共感を覚える点が多く、一気に読みました。
大人になってから行った、中学の同窓会で感じたあの安心感を思いだしました。
同じ地域・年齢・学校・制服・授業・給食・行事・・・
強制的にほぼ差のない環境で過ごすあの時代は大人になって考えると、凄く独特な時代だと思います。
美しい晶くんの「生きられない人種」という痛々しい言葉が、時代のせいか物凄くリアルに感じられました。