小路幸也のレビュー一覧
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神は神でも、神無月の出雲神在祭に参加されない種類の神々のお話。神在祭に参加する神様の系統は決まっていて神社に祀られている神様だからと全ての神様が神在祭に参加されるわけではない…という豆知識を前提に…人間的な感覚だと作中に出てくる九十九神とか道祖神とか山の神様は置いておいたとしても死神、疫病神、貧乏神などはよくないものだという認識があるけれど…そう言われてみれば彼らもまた"神様"であり、決して人間を不幸にさせたいわけではないんだよなあ…と。改めて、人や物を大切にすること、そして他人だけではなくて自分のことも大切にして生きなきゃなと思わされた。
個人的には疫病神のお話と九十九神 -
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〈花咲小路商店街〉シリーズ第三弾。
今回の語り手は、〈花の店にらやま〉というお花屋さんを営んでいる花乃子さんの、12歳年下のいとこ井筒めいちゃん。
高校でいじめに遭っためいちゃんは、学校を辞めて〈花の店にらやま〉で住み込みで働くことに。
美人で優しい花乃子さんにはちょっと不思議なチカラがあって、柾さんと柊さんという双子の弟と一緒に花屋の仕事を手伝いながら、めいちゃんはこの〈花咲小路商店街〉にどんどん馴染んでいきます。
あちらこちらに恋の花が見え隠れしていて、花言葉もたくさんちりばめられてとても神秘的な雰囲気も。
前作にも出てきたミケさんは、花乃子さんの親友で、花乃子さん、ミケさんに加わっ -
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意外にもと言っては失礼だけれど、おもしろかった。
サブタイトル的に、『東京バンドワゴン零』とあるように、『東京バンドワゴン』シリーズと思って、読むタイミングを計っていたが。
読み始めると、そのことはすっかり忘れていた。単純に時代小説としておもしろく、どうなるのか先が気になってしかたがなかった。
やはり、登場人物が魅力的なのがよいし、ラストもよかった。
少し前に、『東京バンドワゴン』シリーズの1作品を久々に読んだが、登場人物が多すぎて、慣れるのに苦労した。
そういう意味でも、今回の作品は入りやすかった。
ただ、語り手が章ごとに変わるので、ちょっととまどう。あれ、これ誰の視点?と。 -
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パリのアパルトマンを模して作られた、マンションフォンティーヌは築六十年。
大家さんはフランス人のリアーヌさん。その人生は、ワケありな住人たちの誰よりも波乱に満ちていた。
だから、運命から逃れられず世間に背を向けたり、息をひそめながら生きるしかない良き人たちのために居場所を作りたいと思う。
ドアがみんな中庭を向いていて、住人たちは仲が良い。
新人小説家・羽見晃(はねみ あきら)の入居を皮切りに、各章をその住人や関係者が、自分を語り、他の人物との交流の中でその人を語り、と順番に紹介されていく。
DV夫から逃げてきたシングルマザーの前に夫の影がチラつく事件が起きて緊張が走るけれど・・・
ちょっと出 -
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交通事故で突然両親を亡くしてしまった、三兄弟の物語。
ごく平凡な生活を送っていたのに、父も母もいない三人の暮らしが始まる。
三人に寄り添ってくれた母方の祖母は、辛口だけれど素敵なおばあちゃん。
母とは仲が悪かったみたいだけれど、何か「秘密」があるようです。
さらには、おばあちゃんの夫、そして三兄弟の父親にもと、次々と驚くような「秘密」が明かされていきます。
家族って、一緒に暮らしていても、実は知らないことだらけなんじゃないかな。
三人はそれぞれ性格は違うけれど、とてもいい子に育っていて、読んでいて心が温まります。
すべてを明らかにしなくても、円満に暮らせたら、黙って受け入れられたら、それで十 -
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いやぁ、良かった。
設定からしてとても好きだったけど、それぞれの短編が全体に繋がっているようで自分もその中で過ごしているかのような感覚になった。
こんなマンション、一人暮らしの時に住んでみたかったなぁ。
共用の門を入れば、住人たちのみの共用スペースで、さらにそこからそれぞれの部屋はしっかりある。
シェアハウスのようで、シェアハウスよりももっとパーソナルスペースが確立されていて、でも、隣人たちとの繋がりもあるってなんかいいなぁーと感じた。
ラストにどんでん返しのヒヤリとしたものが巻き起こるんじゃないかと読み終えるまでずーっとドキドキしながら過ごせたのも、読み心地良い物語の中での心地よい緊張感のス