小路幸也のレビュー一覧
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文庫版が出た頃に買ってはいたものの、ずっと本棚の肥やしになってました。せっかくの長期休暇なので一気に読みました。
特殊な睡眠障害の主人公と、彼が日常を取り戻すための物語。
いろいろな謎と事件と思惑が、偶然だけども運命的に一堂に会し、まさに数奇な縁と伏線に感服です。読み終わってしまった、とティッシュ片手に一息つきました。
とんでもなくクセのある「ナタネさん」から、「特別にアンラッキーな星の下に生まれた人間」という的確な表現をされる主人公。どことなく「普通」と違うことが「普通」になっている環境を差し引きしても、逆境に飲まれず冷静に着実に役割を果たそうとする姿勢がまずカッコイイ。
ラストが怒涛の -
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ネタバレなんてやさしくて、温かなお話なんでしょうか。
もうね、大好きです♪
私は十月生まれなので、
神様がみんな出雲大社にいかれてしまう神無月は淋しいなって思ってました。
でも調べてみたら留守神様がいらっしゃるんですね。
よかった。よかった。
そして神様たちが出雲大社で何をなさるのか?
会議だそうです。
読んでいて十月となんの関係があるの?と不思議でしたが、
そういうことなんですね、きっと。
死神さん、貧乏神さん、疫病神さん
なんか”さん”付けで呼びたくなるくらいです。
不幸なことを運んでくるのではなく、
そばで見守りそっと手助けしてくれているなんて…。
死神さんはどんな素敵な名前をもらったのか -
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ハーフの帰国子女で小学校になじめなかった帆奈と、高校の時に引きこもりになったトムおじさん。他人との距離の取り方が苦手で悩んでいる人たちの物語。
舞台が昔の建物を移築した「明治たてもの村」ということもあり、ちょっと現実離れした空気が広がります。そんな中で現代的な生きづらさの悩みを抱える人の物語を展開することによって、重く深刻になり過ぎない効果があります。かと言って決して軽い訳ではないのですけどね。場が救いの力を持っているのでしょう。そしてそれは、その場に集まった人たちの力でもあるのですが。
無理に背中を押すのでなく、寄り添って本人が進むのを待ってくれる。そんな雰囲気が良かったです。 -
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文章の柔らかさ、優しさがとても好みでした!そして、お話も優しかった!
おばあちゃんが残した謎を解く、その明かされ具合も絶妙でした!交互に描かれる2人の語りで明らかになる、謎の組み立て方が心地よかった。
おばあちゃんの語りが、ただの答え合わせになるんじゃなくて、「あれ?現代とつじつまが合わないぞ、どういうことなんだ?」と更に謎が生まれるつくりになっています。もう少し読みたいところで、満ちるの語りに切り替わる。先におばあちゃんの語りで知っていた部分の秘密をほどいていくから「そうそう」って気持ちで見ていると、まだ語られていない謎が出てくる。どういうことだ?もっと読みたいと思ったところで、またおば -
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大学生の主人公がひょんなことから人妻の浮気調査(?)を頼まれ、東京のいろいろな公園へ写真を撮りに行くおはなし。
写真を仕事にしていた亡き母、離れて暮らす建築の仕事をする父、その再婚相手の義母と連れ子の義姉。ルームシェアをしている友人。幼馴染で初恋の相手でもある女友達。バイト先のゲイのマスター。それぞれのキャラクターが丁寧に、あくまで主人公との関わりの中で見える範囲で描かれていて生き生きとして感じ、そしてその皆に違った形で愛されている主人公もまた派手ではないけれど好感の持てる作品。
登場するいくつもの実在する公園は行ったことのある場所もそうでないところもあり、知っていればはっきり思い浮かぶけれど