乃南アサのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全編が子供にまつわる話。そしてその子供全員が純粋とはかけ離れた怖い子供達。
子供は純粋で可愛い! なんて考えの人は読むとキツい、嫌な話しかない。
そうでなくてもこの気味悪さは心に来ると思う。
短編だからサッとオチがつくのは分かるけど、あまりにも呆気なく話が終わるのがちょっと残念かな。
オチが有ったり無かったり、読み手の想像任せの話もあるし。
「坂の上の家」はちょっと酷い。
「さくら橋」は良かった。
ひたすらに子供が怖いんだけど、その原因は環境なんだよね。
大人がどういう環境で子育てをするかにかかってるから子供に罪はないというか。
そんなことを考えさせる本だった。 -
Posted by ブクログ
女はすべて魔女です。そういう素質を孕んでいます。もっともそれを自覚しながら暮らしている人は少ないでしょうけれど。乃南さんの名前はよく見かけたけれど、実際に読むのは初めてでした。女性の描き方がとてもリアルでぞくりとします。とくにラストでは、じわじわと怖さが浸透してきました。
私が何よりも怖いと思ったのは、女が過去を都合のよいものにしてしまう点。ラストの笑顔で歪んだ真実を話す貴世美も怖いし、これだけ思想場面が長かったにも関わらずあの過去を1度として思い出さなかった景子も怖いです。過去を塗り替え真実として思い込むのも、都合の悪い過去を自分の中で抹殺してしまうのもどちらも怖い。けれど、そんな