石持浅海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
79点:
クレイジー優佳が最初から登場。彼との近況も聞ける。シリーズ全体としてこのカップルは破滅に向かうのかといった点と、冷たくて冷静な優佳に心境の変化は訪れるのかといった点が底流にあり、どうせ犯人は最後にやっつけられるだろうという安心感もあってワクワクしながら読める。犯人にとってイレギュラーな展開、茶番劇と続き、最終的に犯人のことは全く眼中にない優佳によって(被害者のイタコと化している)全然興味ない感じで真相を解かれ、犯人は勝手に敗北感を味わい、でもまあ逃げ切ればとりあえずいいかと気を取り直して帰路につくが…
シュチュエーションが面白く、まあぎり可能性としてはあると思われることで舞台設定され -
Posted by ブクログ
違法な形で日本に輸入しようとした正体不明の寄生虫を根絶しようとする男女二人組。石持浅海さんが本格ミステリー以外のものを書くなんてちょっと意外。それでも日本に持ち込もうとした側からすると、誰が裏切り者なのかというフーダニットの要素は一応残っているが、基本はパニックサスペンス。
しかもそこにバディものの要素や恋愛要素も絡めてくる。石持浅海さんは本格ミステリー作家にとどまらない幅を持とうとしている気がする。それはそれでちょっと可能性を感じるものだった。少し前に書いたエロティックな小説よりはいい。なんなら本作の続編があってもいいと思える。
編集さん!お願いします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ碓氷優佳シリーズの石持さんの新作。
復讐という目的で繋がっていた男女10人が仲間の死(しかも殺人)という出来事からその繋がりが崩壊していくという物語。
今回もやっぱり面白かった!
石持作品の特徴として、クローズドサークルの中での連続殺人でトリックなどのたぐいを殆ど出さずにその人の言動からロジックを積み重ねて真相に辿り着くので、その分ワイダニットに集中できるというものがある。今回もトリックという物はあまり使われず発言などから矛盾を見つけていくというスタイルであるため、非常にスッキリとまとまっている作品だと思いました。
復讐という一種の異常心理な状態だと、集団でやるとこんなにも簡単に崩壊してしまう