石持浅海のレビュー一覧
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ネタバレ碓氷優佳シリーズとしては約4年ぶり、石持浅海作品としても約2年ぶりの新刊である。200pに満たないお手軽な長さ。何だかんだで手に取ってみる。
毎回、たまたま事件現場に居合わせた優佳によって、すべてが白日の下に晒される。人間味を感じさせない優佳という探偵役は今回も健在だが、シリーズ過去作品と一味違った展開が読みどころだろう。この結末にはそれなりに感心してしまった。というより苦笑したが。
ある理由から、中2で両親を亡くした成富歩夏の後見人になった奥津悠斗。それから10年、20歳差の2人は結婚することになった。歩夏と同年代の三原一輝は、奥津を許せななった。囚われた歩夏を自分が救い出さなければ。
奥津の友人である弁護士、芳野友晴に自らの殺意を告げた三原は、2人の入籍前に実行を決意。三原も具体的計画は聞いていないが、積極的に止める気もない。失恋した上に相手がおっさんだった三原の落胆はわからなくもないけどさ、殺害を決意する方も止めない方もどうかしてるぜっ!
しかも、皆が集まるキャンプで実行するのだ。いいねえ、これぞ石持作品だよ。とはいえ、事故に見せかけた殺害など容易ではない。何しろメンバーには優佳がいるのである。優佳が参加することになった経緯は、いちいち説明しない。
んー、三原なりに必死に考えた計画なんだろうけども、手作り感があるというか、ほのぼのしていて緊迫感がない。優佳は沈黙したままで存在感がない。もっとも、このような展開では、優佳が前面に出ようがないのだけど。
なんとまあ、浮かばれない結末であることよ。平然と言い放つ優佳。ようやく優佳らしい冷徹さを発揮したか。こうなったのはあくまで偶然であり、ここまで計算していたわけではないよね? こうなっても仕方ないとは考えていたかもしれないが。
そして、タイトルに込められた意味とは。最後の一文を、どう解釈するか。 -
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ネタバレもうね、大好きなのこのシリーズが。
碓井優佳は嫌いだけど。いつかぎゃふんと言ってほしい。
血も涙もないサイコパス碓氷優佳の高校時代の話。
かわいい女子高生たちが、年相応に悩みながらも楽しく生きている様子がわかる短編集。
その中で一人おかしい人間。
読者側としては、優佳は冷たい女だってわかってるから最初のほうはあれ?人間生活にちゃんととけこめてた?と思うけどラストまで向けての親友の独白でうあああとなる。
すべて知っていて、それでも何もしない人のほうが悪いと思うよね。
こんな女に捕まった伏見さんかわいそう、と思うけど、
これも予定調和だったらどないしよう。一途な執念が実を結んだというか。
やっぱしこのシリーズは大好き。
ひなさまに幸せになってほしいな。 -
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ネタバレ碓氷優佳は嫌いだけど、このシリーズは大好きです。
矛盾をはらんだ言葉だけど、真実だからしょうがない。
今回の話は、男の復讐のために女友達を殺す話。
主人公が女性だから、ちょっと気持ちの落ち着け方が演技がかっていて笑える。
犯人を応援したくなる稀有なシリーズだけど、
今回は夏子逃げ切れ!と思う。
むしろ夏子以外は全員私的にはいけすかない(笑)
でもうまくできてるんだよなあ。
犯人が最初から分かっているのにすぐ逮捕といかず学級裁判にかけるのもゾクゾクする面白さ。
同じ女だからわかるけど、女の怨恨って根深いのよ。
そう考えると、ラストからの展開はさいっこう……!!
優佳はふつうにお前これは言っちゃいけないだろってことも平気で言うけど、夏子はそれを受け入れてるからまあ許す。
最期の美しさすら負けたのはどう思うのだろう。生者が正というなら、ラストシーンはなんともいえない。
とにかく好き。
続きが気になって次の日の仕事もそわそわしちゃうシリーズに今年も出会えた喜び。去年は中山七里の御手洗シリーズと十二国記だったな。 -
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ネタバレ碓氷優佳シリーズの第二弾。
優佳怖っ!(笑)。エスパーのように演出側の人間の思考が分かる彼女はホントにすごいと思った。日向・梶間の両名から話が進むが、その中でどのように殺す・殺させるべきかという心理戦のようなところが駆け引きのように見えてとても面白かった。
そして、まさかの”誰”が殺されたか分からないようになっているところにいやらしさを感じたが,前作の設定が今作に続いているというところからも見て、次回作の『彼女が追ってくる』でその真相が明かされるのだろうか。次の作品も読んでいきたい。
そして、碓氷の彼氏というのは前作の"彼"なのだろうか考察が深まるなぁ。
追記
最後にこの作品をアニメ化したときの声優陣を自分なりのキャスティングにしたので読むときの参考にしてください。
碓氷優佳:沢城みゆき
梶間晴正:小野大輔
日向貞則:山路和弘
園田進也:前野智昭
堀江比呂美:雨宮天
野村理紗:石見舞菜香
小峰哲:杉田智和 -
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ネタバレ銀英伝のトリビュート短編集。ラインハルトがルアーフィッシングをするなら、ヤンは2人劇で女装で役者をする。キャゼルヌ婦人の名探偵っぷりは堂に入ってるし、フェザーンと地球教はなるほどなるほど…
田中芳樹のすごいところは、あれだけ売れてあれだけ続編を書きやすそうな「銀英伝」を正伝10巻、外伝5巻できちっとけじめをつけたところだと思う。これは真逆の方向性だが、死ぬ間際までグインサーガを描き続けた栗本薫と同じくらいスゲーことだと、俺は思っている。
だからこそ、銀英伝の2次創作は枚挙にいとまがない。世の中にあふれたくっているのだが…、深い愛とそれを表現できる技術をもった一流の小説家たちが創る二次創作作品は、レベルが違う。
何事につけても、深い愛情と卓越した技術によって生まれ出たものは、それだけで傑出しているということやね。
次回作はあるのだろうか?ポプラン、シェーンコップ、メルカッツ、ムライ…同盟側の愛すべき連中の物語と、愛せないトリューニヒトの銀河の1ページをぜひとも読んでみたいぞ! -
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6人の作家による銀河英雄伝説公式トリビュート・アンソロジー。
原作が完結してから何年?1989年の完結?30年近く経て、トリビュートされるのは衰えない人気の証明。
嬉しい。
タイトルに列伝1とあるからには、今後も刊行の予定があるという含みと思います。銀英伝の世界が、銀河の歴史が1ページ、また1ページと増えてゆくわけです。これは嬉しい。
「竜神滝の皇帝陛下」
エミールのラインハルトへの心酔っぷりを評して、釣りをしている時も宇宙を釣り上げているようでした、という一文があったことを思い出す。そこからふくまらせた作品。日常生活というか余暇を楽しむことができないラインハルト。彼の数少ない日常の光景を垣間見える、と言いたいところだが、そう上手くはいかない。違う作家の文言ではあるが、彼に『目指せ一般市民』はできないのである。
エミールがラインハルトとの約束を果たしている将来も伺えてニヤリとする。帝国一の信頼と忠節を持ち合わせる医師であったのでしょう。
「士官学校生の恋」
魔法使いは、いつでも魔法使いだった。ヤン艦隊に欠かすことのできない重要人物アレックス・キャゼルヌ。彼が風邪をひいたらイゼルローンが風邪をひく、そう言わしめたキャゼルヌ。その彼が頭が上がらない人物であるオルタンス夫人。彼女なくしては、ヤン艦隊は成り立たない。
女は何でも知っているのよ、とウインクされたら、ホールドアップ。探偵オルタンスの続編希望。
「ティエリー・ボナール最後の戦い」
題名のボナール少将の活躍と引き際の良さもいいのだが、在りし日のウランフと、未だ何者でもないルビンスキーの存在に、目を引かれてしまう。
ボナール少将の軍人としての終わり方は、ひょっとするとヤンが描いていた理想系なのでは。過不足なく職務を勤め、悠々自適な年金生活を送るという。二人の天才を筆頭に紡がれた、激動の時代が始まる寸前にリタイアするという、この時代で最も幸福な人生を送った人物の一人か、ティエリー・ボナール。
「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが犬を飼っているだと!あのオーベルシュタインがか。
その遠因になったであろう事件の物語。登場した最初から退場の最後まで憎まれ役を担い続けたオーベルシュタイン。人間臭さというものを感じるエピソードがほとんどなかった彼に、唯一あるのがあの犬。
また、彼を偲んで語り合うという構成がいい。これをロイエンタールあたりが見かけたら、なんと思ったことか。皮肉の一つでもいうのだろうけど、きっと無表情で受け流されてしまうのだろう。ヴァルハラでも、相変わらずの相容れない関係。
「星たちの舞台」
ちょっと入り込めなかった作品。個人的には、悪巧みに奔走するアッテンボローを見たかった。ヤンとヒュパティアの掛け合いに、何を見出すか読み取るか、が自分の中にあれば違った感想になっていたはず。
小さなものでも、誰かにとって大事な存在であれば蔑ろにしない、というヤンの主義、というほど大上段ではないが、はこの頃から変わらないのだと嬉しくなる。それを表現できるから、同盟と共にあったのだから。
「晴れあがる銀河」
ルドルフ登極直後の銀河帝国。晴れあがるというタイトルとは裏腹に、作品通じて感じるのは不透明な空気。新しい時代が始まったはずなのに、新たな時代の夜明けに立ち会っているはずなのに、闇が押し寄せてくるような不安。
その違和感を感じている少数の人間が、避難するべく選んだのが後の、という作品。
晴れあがってゆく世界に残った微かな影。その存在は、どぎつい光で宇宙を照らそうとしたルドルフの帝国に何をもたらすのか。その影の中には、深い闇が潜んでいるとは、知るはずもないこと。おもしろい。
ポプランを主人公にした作品がなかったのは意外。本伝後のポプランだと、宇宙海賊サーガになってしまいそうではある。
早く2巻を読みたい。さらなる銀河の歴史のページをめくりたい。 -
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普段アンソロジーは手にとらないのですが、銀英伝トリビュートとくれば話は別です。
ファン必読の書と言えるでしょう。
列伝1とあるので、今後2、3と続いてほしいです。
では、簡単なエピソード紹介を。
①竜神滝の皇帝陛下(小川一水さん)
ラインハルトの新婚旅行中の数日が描かれます。
僕は最後の作者自身による注釈を見るまで気づきませんでしたが、原案はあの超有名な漫画の1エピソードらしいです。
冒頭のエピグラフに続いて、史書あるいは史家の論文と思しき記述があってから本編に入るという銀英伝らしさ溢れる構成に、一話目から胸が熱くなります。ラストに年表形式で語られるエピローグもいい。
②士官学校生の恋(石持浅海さん)
正伝でのお気に入りキャラの一人であるアレックス・キャゼルヌが主人公の、なんと安楽椅子探偵もの。
といっても、キャゼルヌの役回りはワトソンで、安楽椅子探偵は彼に縁のある一人の女性キャラなんですけどね。
ヤン・ウェンリーはまだ士官学校生で、ロベール・ラップやジェシカ・エドワーズも登場します。
③ティエリー・ボナール最後の戦い(小前亮さん)
宇宙歴791年、帝国歴482年。銀河史に燦然と輝く二人の英雄が姿を現す少し前の、とある艦隊戦が描かれます。
ルビンスキーも、まだフェザーンの自治領主補佐官として登場し、彼らしい暗躍ぶりを示します。
④レナーテは語る(太田忠司さん)
ほんの短い間、オーベルシュタインの部下だった女性レナーテの回想によって語られる、彼女の同僚の死をめぐるミステリー。
鋭すぎる切れ物オーベルシュタインの意外な一面も窺える良編です。
⑤星たちの舞台(高島雄哉さん)
士官学校卒業の直前、音楽学校の女子学生との二人芝居の舞台に立つヤンが描かれます。
とっても青春してるエピソードです。
⑥晴れあがる銀河(藤井太洋さん)
皇帝ルドルフの治政下、正伝には名前も出てこない数名の人々が、ルドルフの命令によって航路図を作る様が描かれます。
合わせて帝国の優生思想政策の萌芽も描かれており、帝国内の一般人にとっての暗い未来を容易に予想させる一編でもあります。
ラスト一行はニヤリですね。 -
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銀河英雄伝説公式トリビュート作品集の一巻。
六名の作家による六編の短編が収められている。
それぞれに、作家が本編に出てきた一文に着想を得ていたり、好きな人物をこうだったらと掘り下げてみたり、本編には過去の史実として書かれていることがリアルに知れるシーンが描かれていたり、自由で夢がある一冊。書き手から銀河英雄伝説への愛情が伝わってくる。
士官学校に通ってた頃のヤンが女装して舞台に立っていたり、オーベルシュタインに女性の部下がいたり、ラインハルトが良き父親として振る舞おうとしつつ釣りをしていたり・・・。
あれだけドラマチックな物語の中にいた人たちの何気ない日常が描かれていて、読んでいて楽しかった。
それぞれのキャラクターの個性が、ブレていない点も良かった。
1巻だから続くだろうし、続きも猛烈に楽しみ! -
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ネタバレカテゴリは合ってます(歴史だもんね)
作者に太田忠司先生がいるだけで「買います」だが他の作者さんも銀英伝好きが溢れてるお
作者公認の二次創作を嫌う人は多い、イメージが異なるからだと思うが40年も付き合っている作品ともなると別な一面を見る機会を逃す筈がありません
そもそも歴史はそんな一面だけで理解したつもりになってはいけないのです
太田先生の「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが這い上がる基礎を築いた事件です(ネタバレ)突然オーベルシュタインから遺産が当るとなれば人類なら等しく恐怖を覚えるだろう、そんな状況になったレナーテが情報処理課にいた頃「上司で名探偵」でもあったオーベルシュタインとの思い出話
事件の犯人こそ分かったが名探偵のチェスのような緻密な手腕に感心し、ラストのしゃれた話は気持ち良い
「星たちの舞台」ヤンの女優デビューですww
士官学校戦史研究科廃止阻止署名活動をした行動力を買われ、音楽学校学生寮敗死を阻止すべく立ち上がるヤン・ウェンリー(笑)演劇に使われる謎技術は感心したが、ヤンの性格を高島雄哉先生は見誤っていないか(爆)
目的を達成したか全然読み取れない読者ですまぬ
「晴れあがる銀河」は本編500年以上前で、銀河航路開発に監視&優性保護で我が身が危なく、避難する展開へ(鬼滅の刃の隠し村)を航路上で生み出した蔭にはフェザーン初代自治領主ラープ商会があるという禁断の歴史
「士官学校の恋」ある士官候補生の恋の裏にはとてつもないゴールデンバウム朝銀河帝国の陰謀があった
石持浅海先生、噂にたがわぬ力量の推理小説です
ミスマープルを彷彿させる作中の人物、恋バナを延々読まされたと思いきや!ヤンの先輩キャゼルヌが付き合いだしたオルタンス(本編ではただの良き妻)が紐解く
スパイってこういう陰謀をするものではないのですが、アガサクリスティ作品としてなら満点です -
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石持浅海氏の傑作倒叙ミステリー。
『扉は閉ざされたまま』などに登場する碓氷優佳が再び登場。
ガン告知を受けた大手のソル電機の社長・日向貞則は、過去の経緯もあり、社員の梶間晴征に殺害されるよう、複数人を集めた保養所の中に、様々な仕掛けを用意し、研修を開始する。
しかし、ゲストに呼ばれた碓氷は、保養所の中にある『悪意』を感じ取り、それらに対抗(無力化)する。
花瓶、アイスピック、クレセント錠、酒瓶、などなど。果たして、日向の計画通り、殺人は行われるのか?
至る所に伏線があり、ロジック対決は、まさに石持作品ならでは、ですね。
最後の最後まで、日向・梶間のどちらが命を落としたのか不明ですが、そこは読者の読み次第でしょうか。
是非、他の碓氷シリーズも読みたいと思います。 -
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とある会社の社長主催の「幹部候補研修」と噂されている合宿に社員の男女2名ずつが集められる。
そこにゲストも合流して和やかな雰囲気で合宿が進んでいくが、実は幹部候補研修ではなく、お見合い研修であった。
そして社長が望むのは、その研修で自分が殺されること。
殺す動機がある者を呼んで殺されるためにお膳立てをするが、ゲストとして招かれた碓氷優佳の存在が徐々に大きくなっていく…
シリーズ前作の「扉は閉ざされたまま」と同じく、犯人側の視点で物語が進む。
しかし今回のキモなのは、被害者兼裏の犯人であるということ。
作中の例を持ってくると、主演・脚本・演出が同一人物であるのだ。
なぜ社長には殺される理由があるのか、殺す人には殺す動機があるのか、そしてなぜ殺される必要があるのか…読み進めていくと徐々に解き明かされる謎が心地よい。
読み始めたら止まらなくなるので、時間があるときにまとめて読むのがオススメ。