石持浅海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
南アイルランドの宿で、武装勢力NCFの副議長が殺された。
NCFは副議長の殺害を殺し屋に依頼していたが、殺され方が殺し屋の手口と違い戸惑う。
宿泊客は、NCFの以外にアメリカ人大学生やオーストラリア人など様々。
その中の一人、日本人科学者が事件を解いていく。
果たして犯人は殺し屋なのか、それとも…?
舞台がアイルランドなので、少し背景がわかりにくい部分がありましたが、日本人が客観視されているのが逆におもしろく思えました。
伏線がたくさんあり、読み進めていくのが楽しくて仕方なかったです。
作者に見事に踊らされた感じ。
こういうの、好きです。 -
Posted by ブクログ
す・げぇーな。
ものすごく溜めて、本心こう思った。声も出ちゃった。いやまじで。
石持浅海さんの作品は基本、シチュエーションにそって論理の構築力で読ませる、独特の技の美しさにあると思っている。人はあまり死なない。大きな事件は起こらない。
例えば青井夏海さんや加納朋子さん、坂木司さんの作品もそうと言えば、そうね。状況が提示され、条件が与えられ、実際にことが終わったあとで、始めて探偵はそこに現れ、ひとつひとつの手がかりを拾っては違う、そう、と分別しながら仕分けをし、真相を見つけ出す。スタイルはその点、非常に近いと思う。ただ石持浅海さんがそれらと全く異なるのはおそらく、石持さんが男性である点(これ、ちょっとバイアスかかってるかも?)と、彼が会社員だと言う点だと思う。
青井・加納・坂木の3氏の作品を図式化するとしたら多分:
解決にいたるロジック&アプローチ=論理+人間心理を斟酌した誤謬の排除
比較して今回の作品に顕著な石持氏のアプローチは:
解決にいたるロジック&アプローチ=論理+(会社員としての常識+会社の論理)を
斟酌した誤謬の排除
だったんだと思う。
いやこれ、すげーわ。正直会社員でかつ、割としっかりした組織に働いていない限り、判りづらい所もあると思うけど、もしこの本を読むあなたがその「資格」を持っていたならば、底意地の悪いカイカンとともに、この本の良さがじわじわ判る、そう思います。
本当にものすごく、目の前で丸め込まれるカイカン。すげー。しかも前段の言葉を翻すようでなんだけど、多分読者は何度か、おいおいそんなにうまくいく訳ないじゃん、所詮出てくるのは「偶然紛れ込んだ」パワポ資料(しかも事故報告書と書いてあるたった一枚の「表紙」)だけなんだよ?大の大人が?と、思うだろう。もちろんその通り。だけどこの物語がすごいのは、おそらく作者もそれがわかっていて、ノン・サラリーマン読者へもきちんとフォローしてくれているのだ。補ってあまりある、ワトソン役の女性の素人視線によって。
彼女が何度も何度も繰り返し感じる違和感、それの昇華を追体験することで読者はきちんと、作者がどんと転がしてくるこのロジック戦争に被弾せずに、なんとかストーリーに戻してもらうことができる。いやはや。ここまで懇切丁寧な推理小説がかつて、あったんだろうか?
すんごいなこの話。サラリーマンなんてクソ面白くもない、ってぶつぶつつぶやく人に一度、読ませてあげたいね。あたしが社長なら新入社員にこの本、研修で読ませてもいいと思うわ。
どんだけ会社ってくだらないのか。
どんだけ人って愚かしいのか。
どんだけ人って操られるのか。
つまりは逆に、それが判ってプレイできれば会社って場所は、多分すごく面白い知的なゲーム会場(あるいは戦いのコロシアム)なんだって、判ると思うんだけどね。
なんて、会社に対する尊敬とか愛とかが、さっぱりない発言、失礼しました!
サラリーマンがつまらない、と、嘆く前に、ぜひご一読を。 -
Posted by ブクログ
8月15日。お盆真っ只中で会社ものんびりムード。
そのはずだった。。。
深雪は例年この日に行われる役員報告会議に
課長のサポート役として出席することになる。
それはいつものぬるい会議になるはずだったのに、
「工場事故報告書」が紛れ込んだせいで
なぜか役員同士の競争を煽る場と化して・・・
同じ日、深雪の恋人、拓真は別件で立ち寄った総務部で
万年係長が部長に詰め寄っている場に出くわす。
そして、なぜか係長に巻き込まれてその場から
離れられない状況になると、自分の上司もやってきて
さらに逃げ出せない状況に。
そんな中、会議の最中のはずの深雪から救いを
求めるような無言の電話が。
拓真は覚悟を決め、恋人を救うために論理の闘いの場に
身を投げ出していく。
いやー、面白かったです。
こういう論理の展開が繰り広げられるミステリはいいね。
どっちかというと、「とりあえずやってみよう」という
タイプの自分じゃできないけど。
論理の展開に関わる社員たちが有能過ぎる。
そんな気がしないでも無いが、そんなのは些細な事だと
思えるくらいに、素晴らしい一冊でした。
主要人物、役員たちのキャラと名前が一致するまでは、
ちょっと苦労するかもしれないけど、そこにめげずに
ぜひとも最後まで読んでもらいたい! -
Posted by ブクログ
問:畑寛子と北西匠の共通点は。答:謎の生命体(人型)と相利共生(共生関係を結んで生活していること。 その生命体は見かけは人間と変わらず性格は穏やか、美味しい料理を作って勧めてくれる。そして食後に手を握ってエネルギーを吸い取り、自らの糧とする。 宿主の人間は食べ過ぎても太らないし、パニックに陥ったときも興奮による無駄なエネルギーを取ってもらって冷静になることができる。 とてもお得な同棲相手でうらやましいくらい。 ただ、魂のきれいな人のエネルギーじゃないと美味しくないのですって。 そして本作は推理小説であります。 生命体ギンちゃんとムーちゃんは安楽椅子探偵の才能を持っているのです。 宿主の畑さんと北西君の魂が汚されてはごはんがまずくなるので、彼女らの身に降りかかった災難を解きほぐす。それがまたスマートで論理的。 西澤保彦さんがSF推理をたくさん書いておられますが、この方もちょっと非現実設定のミステリが面白いです。