セリヌンティウスの舟

セリヌンティウスの舟

小説・文芸
550円 (税込)

2pt

大時化(おおしけ)の海の遭難事故によって、信頼の強い絆で結ばれた6人の仲間。そのなかの一人、米村美月が、青酸カリを呷(あお)って自殺した。遺された5人は、彼女の自殺に不自然な点を見つけ、美月の死に隠された謎について、推理を始める。お互いを信じること、信じ抜くことを、たったひとつのルールとして――。メロスの友の懊悩(おうのう)を描く、美しき「本格」の論理。

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セリヌンティウスの舟 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    これは驚いた。223頁の短い話だが、内容がとてつもなく濃厚だ。
    ド派手な舞台や設定、描写などはない。あくまでも淡々と事件の真相に迫る彼らの会話が秘密を共有しているようで楽しくも、どこか怖い。ふわっとした瞬間にパンッと音をたてて壊れてしまいそうな不穏さがある。
    本作の中心にあるのが真実ならば、その周囲にあるのは嘘だろうか。その嘘はどんな形で果たして何のためにつかれているのだろうか。
    ミステリである事に間違いはないのだが、心理ゲームのような、自分の中を見透かされているかのような怖さもある。最後の最後まで油断ならない。未だに寒気がしている。

    0
    2026年03月18日

    Posted by ブクログ

    「僕たちの関係を、大人同士のうわべの信頼関係と軽んじてはならないと思う。誰しも自分の問題は、自分の世界の中で解決しなければならない。荷が重くて、大変で、辛いことだ。そんな日常の中で、僕たちには自分の世界の外に、無条件の信頼が存在する場所があったんだ。この仲間たちだ。それがどれほど貴重なものか。そんな仲間を得られたことが、どれほど嬉しかったか。僕たちは生死をともにした仲間であり、同時に大人としてお互いの世界を尊重し合った。」

    構成としてはミニ『虚無への供物』。動機は不可解。推理は緻密で面白い。

    0
    2013年09月25日

    Posted by ブクログ

    漂流して生死の境を共に経験して以来、強い絆で結ばれた6人。
    ダイビングには必ず6人で行き、その後は飲み明かす。
    いつもと同じだと思っていたその日、皆が酔い潰れた後、彼女は自殺した。
    遺書もあり、警察の捜査でも自殺と断定されたが、彼らは不可解な点に気付く。
    ただの友人ではない彼らだからこそ気付いた疑問。
    遺書には語られなかった彼女の死の真相とは・・・?


    本格ミステリですが、着眼点というか、今までに見たことのない角度に驚きました。
    独特の感性をお持ちというのでしょうか。
    石持さんの作品は、良い意味で変わってますね。

    自殺に見せかけた他殺を暴くというものはよくありますが、自殺した人の心情を知るために議論するというものは初めてです。
    信じる心と疑う心。
    他人の心情を探るというのは、すごく難しいことだと思います。

    ただ、お互いを心の底から信じ合う6人の関係は、すごく素敵で素晴らしいものだと感じました。

    あたたかく、そして哀しい物語です。

    0
    2013年01月12日

    Posted by ブクログ

    海難事故をきっかけに強い絆で結ばれた6人の男女。そのうちの1人の自殺に不自然な点を見つけた仲間は、真実を解き明かそうとする。

    石持さんの作品は思考・考察の描写が細やかなところが気に入ってますが、この作品もそれは健在で、思考の果てに陥る矛盾にまで話が広がっていくので、登場人物の心情に深く入り込むことができます。
    明らかになった真相は感動的なものであり、それでいてラストは切なく、余韻の残る仕上がりになっています。

    0
    2011年03月16日

    Posted by ブクログ

    面白かったです。堪能できました。ちょっとくどいくらいの本格物です。じっくりと推理したけど、やっぱりおいらのへなちょこ推理では足元にも及びませんでした(笑)・・・が、しかし、小説だから許せるけど、自殺を美化することはおいらには出来ません( ̄‥ ̄)=3 フン

    0
    2009年10月07日

    Posted by ブクログ

    人の死が関わるミステリと言えば、探偵ものや刑事ものなどの犯人を探し追い詰めていくものが多いと思うけど、このパターンはわたしには新しく感じられた。

    かつてダイバーとして危険に晒され生死を共にした6人。
    特別な関係となった彼らは1,2ヶ月に1回は集まってダイビングを楽しむ生活をしていた。
    ところがいつものようにダイビングを楽しみ、メンバーの家での酒盛りを終えた翌朝、ひとりが自殺をしてしまう。
    遺書もあり、警察も自殺と断定したが、その死に疑問があるとひとりが言い出し、彼女の死について議論を行うために集まることとなる。

    解決済みの死について、捜査をするでもなく罪を暴くわけでもなく、ただお互いを信じるためだけに密室で議論を重ねるだけの時間。
    そこまで信じられる人たちに出会えたらきっと幸せなことなんだろうなと思う。

    0
    2018年05月22日

    Posted by ブクログ

    マンションの一室という、狭い空間で話が進んでいく。少々ファンタジー的要素があるが、違和感なく最後まで飽きずに読めた。

    0
    2010年06月02日

    Posted by ブクログ

    海難事故からの生還で、強い絆で結ばれた6人の仲間。
    その1人が、自殺してしまう。
    残された直筆の遺書、用意した青酸カリの出所は、全て自殺を物語っていた。
    しかし、たった一つの不自然な点から、5人は彼女の自殺に疑問を持つ。
    彼女の死は、本当に自殺なのか?
    ってな話。

    完璧に整った、自殺以外ありえない状況から、一体どうなるのかとハラハラしながら読んだ。途中の行ったり来たりの推理がちょっとヌルかったけど、それも含めて面白い。ちゃんとまとめたラストは予想外。おすすめ。

    0
    2009年12月18日

    Posted by ブクログ

    海上での遭難から生還することで、運命共同体のような強い絆と信頼関係を得た、六人の男女。
    その中の一人が自殺することによって生じる波紋が、太宰治の走れメロス」を下敷きにして描かれます。

    見過ごしてしまいそうな些細な疑問点を発端に、延々と推論が繰り返されるのはとても興味深いのですが、登場人物の動きがほとんどないので、途中でだれてしまうかもしれません。

    賛否が分かれそうではありますが、特殊な設定を活かした独自性は、他では味わえないものがあるように思いました。

    0
    2024年08月04日

    Posted by ブクログ

    石持 浅海氏の作品で、登場人物の心理描写を
    中心にしたストーリー。
    派手なアクションやイベントが起こるわけではなく、登場人物(5人)の会話で構成する話。

    大時化の海の遭難事故により、強い信頼で結ばれた6人の仲間たち。
    そのうちの一人、米村 美月が青酸カリで自殺した。

    四十九日の夜、集まった5人の男女が、彼女の自殺の隠された謎に迫るため、推理を始める。
    彼女は、本当に自殺なのか?
    協力者がいたのではないか?

    『走れメロス』の登場人物になぞらえ、物語は進む。
    果たして、驚きの本当の真実とは?

    会話の中に、伏線もかくれて面白いのですが、好き嫌いが分かれるかも知れませんね。

    0
    2019年04月17日

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