石持浅海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ日向と梶間と優佳の3人の思惑が絡み合った頭脳戦。前作の『扉は閉ざされたまま』と同様にその心理戦を楽しむことになる。これまた前作同様に事件が起こる(発覚する)前の出来事なので当事者たちと優佳以外は何にも気づかずにいるのが面白い。そして倒叙ミステリであるから「犯人は誰か」以外の読者の気を引くような「なぜ日向は梶間に殺されようとしているのか」という謎が最後まで残されている。正直その動機については少し現実的ではないと感じたが、日向の語りの中で既に示唆されていた論理ではあるから納得がいかないというわけではなかった。まだ事が起こっていない分前作よりもハラハラ感は薄れたが、頭脳戦と推理の気持ちよさは劣らない作品だった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ石持浅海さんの新刊は、石持流の無理筋路線を維持しつつ、シチュエーションにひねりを加えた力作か。真犯人ではなく「真」犯人。その心は?
舞台は、様々なアーティストを支援する、山あいの芸術村。芸術家の卵たちはニックネームで呼ばれるが、スタッフの「私」は、発明家のエジソンさんの死体を発見する。殺したのは、現場で倒れていた恋人で歌人の小町さんのようだが…。
35歳で退村するルールのこの村で、小町さんは初めて物になりそうな村民だった。そこで村長は考えた。小町さんを逮捕させるわけにはいかない。誰か他の物にならなそうな村民を犯人にしてしまえ。そのシナリオを、「私」に描けという。
こんなもん、設定の時点で笑うしかない。石持作品で、警察への通報を遅らせるパターンは多いが、推理のためではなく、「真」犯人の捏造のためですよ、おい。警察を信じさせるようなシナリオなど、本気で描けると思っているのか?
村長は本気なのだ。元作家志望の「私」も、最初は渋っていたが、結局は嬉々としてシナリオを考える。周囲のスタッフも、村長を諫めるどころかあっさりと従う。毎回、登場人物の思考回路に呆れるが、今回は呆れを通り越してしまった。
言うまでもなく、予期せぬ事態に見舞われる呆れた面々。その度にシナリオは練り直し。それでも諦めない。出版社からオファーがあるという小町さんの短歌が、どれだけ素晴らしいのか知らないが。結局、混乱する一同の救世主となったのは…。
それにしても、芸術村のスタッフたちも、石持さんご自身も、芸術家をかなり曲解しているのではなかろうか? 小町さんに売れてほしいがために、他の村民には「堕落」の烙印を押す。こんな事件を起こした芸術村を、存続させるのか、おい。
何だか石持作品には珍しいエピローグという気がしないでもないが…やっぱりそうなっちゃうよねえ。淡々と語っている「私」はどうよ???