石持浅海のレビュー一覧
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復讐のために一致団結し、三人の人間を殺すことに決めた十人の男女。無事一人の殺害を終えた後、なぜか殺害された仲間。犯人はなんのために殺したのか、そして練りに練った復讐計画は無事成し遂げられるのか。ひりひりするような緊迫感が漂うミステリ。
盤石の計画と強い絆に結ばれた仲間、のように見えた彼らの関係が、疑心暗鬼から瓦解しそうになっていくのがとても危うくてはらはらさせられます。まさしく崖の上。どんどん人数が減っていく中、誰が敵なのか誰が味方なのか。いやいや、誰一人信用できないぞこれは!
犯人が誰か探し当てる部分はオーソドックスなミステリかと思いきや。プロセスはオーソドックスでも思考回路が……まずは復讐計画ありき、で事態を収束させようとするという手法が既に異様で理解不能。というか、理解はできても共感がついていきません。大丈夫かこの人たち。最初はまともそうに思えたあの人もこの人も、とても邪悪……復讐って恐ろしい。 -
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人の死が関わるミステリと言えば、探偵ものや刑事ものなどの犯人を探し追い詰めていくものが多いと思うけど、このパターンはわたしには新しく感じられた。
かつてダイバーとして危険に晒され生死を共にした6人。
特別な関係となった彼らは1,2ヶ月に1回は集まってダイビングを楽しむ生活をしていた。
ところがいつものようにダイビングを楽しみ、メンバーの家での酒盛りを終えた翌朝、ひとりが自殺をしてしまう。
遺書もあり、警察も自殺と断定したが、その死に疑問があるとひとりが言い出し、彼女の死について議論を行うために集まることとなる。
解決済みの死について、捜査をするでもなく罪を暴くわけでもなく、ただお互いを信じるためだけに密室で議論を重ねるだけの時間。
そこまで信じられる人たちに出会えたらきっと幸せなことなんだろうなと思う。 -
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ネタバレ碓氷優佳が初登場した『扉は閉ざされたまま』は、石持浅海さんがブレイクするきっかけになった作品だった。そして、碓氷優佳シリーズも本作で第5作ということになる。
第4作である前作『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』は、優佳という特異なキャラクターの高校時代を描いており、シリーズ中ではイレギュラーな作品だった。本作の事件の発端は、実は優佳の高校時代にあるのだが、前作を読んでいなくても支障はないだろう。
高校時代、難関大を目指して横浜市内の予備校に通っていた面々。そこに優佳も含まれていた。彼ら、彼女らはある数学講師の教えを受け、現在でも恩師として慕っていた。予備校の「同窓生」が繋がりを保つというのは、自分の感覚では珍しく感じられる。
この面々というのが、高校時代から明確な目標と夢を持った者ばかり。「意識高い系」ではなく、本当に意識が高い。高校時代、進学後の明確な目標などなく、何となく現在に至っている自分から見れば、実に立派としか言いようがない。自分にはお呼びでない世界である。
そして現在。選ばれしメンバーたちも、全員が夢を叶えたわけではない。当然である。ある者はまだ夢の途上。ある者は安定を選んだ。別に責められるべきことではない。しかし、意識が高すぎるメンバーが一同に会するとき、そこにどんな感情が渦巻くのか。
とばっちりもいいところだが、石持作品であるから、この程度の事件は想定内である。こんな惨事の場でも、クールに分析するのが優佳。好奇心なのか趣味なのか。謎を解いたところで、もはや覆しようがない。誰のためでもない。優佳はきっと、自分のために解くのだ。
大学でも会社でも、以前は自分も同期とつい比較してしまったものだが、今では自分は自分と割り切っている。割り切れなかった故の事件。相変わらず納得できない幕引きだが、何事もなかったように生きていくつもりなのだろうか? 優佳の知ったことではないが。
誰とも競合しない目標を定めた優佳は、賢明ではある。 -
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碓氷優佳シリーズ最新作。碓氷さんも30代。予備校時代に教わった講師のもとに集まる同級生たちの宴で事件は起こる。
誰がやったでも、どうやったでもなく、なぜ反犯行を仕向けたかを暴いていく。
従来通り、第三者が語り部となることで優佳のすごさを表現する。緊迫した会話劇だ。実際、そう考えるのか?と思うところもあるが、流れで一気に読ませるので違和感は少ない。読み終わるとそんなこと?と思えなくもないが、そこが気になるような本ではない。今回も楽しく読ませてもらった。
高校時代の友達も出てきたり、優佳が結婚してたりで、シリーズを読んできた人間には感慨深いものがある。