石持浅海のレビュー一覧
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ネタバレ石持浅海さんの「殺し屋探偵」シリーズ第5作『花嫁と殺し屋』が、今回も嬉しい文庫オリジナルで登場だっ! 薄くて安いからつい買ってしまう(失礼)。
2組の殺し屋一派の豪華共演というのが固定フォーマットになりつつある。第1の殺し屋・富澤一派と、第2の殺し屋・鴻池一派。毎回、邂逅しそうでしない両派だが、今回は…いくら作り話でも、そんなのありか???
富澤の仕事「一礼」。「苦しまずに死なせてくれ」という条件の依頼だが、そもそも依頼するなっての。連中は淡々と仕事するだけだから、もう慣れたけども、依頼者の思考回路が理解できん。突っ込みどころだらけの、これぞ石持作品。
鴻池の仕事「生きていたら」。ある期日を過ぎてもターゲットが生きていたら、殺害を実行せよという条件の依頼。保険(?)を掛けたような依頼の裏事情とは? 断るのが手っ取り早い気がするが、好奇心には勝てないのかこの人たち。
シリーズ恒例、依頼者目線の「宴の後」。富澤の仕事なのだが、これは色々とまずい事態なのでは? 富澤一派の破滅の始まりのような…。
鴻池の仕事、「後から後から」追加されるオプションの理由とは? 昔と違い、今はアイドルといえばグループが主流の時代。「推し」を巡るファン同士の争いも絶えない。のめり込みすぎなければ、鴻池に殺されることもなかった?
シリーズ恒例、最後に2人の殺し屋がニアミス(?)する表題作。もうネタバレしてしまうが、お互いの依頼者が、お互いのターゲットだったというお話。そんなことは露知らず、2人はきっちり仕事するのであった。ご満足いただけたでしょうか。
殺人という行為を、あまりにも軽く描く、ミステリーというジャンル。中でも飛び切り軽く描く、このシリーズ。いつまで続くのかわからないが、連中の仕組みに綻びが出てきた気がしないでもない。最後はお縄になって終わるのだろうか? -
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この作者さんによる「殺し屋」シリーズ、4冊目。
今回もまた短編4つに中編がひとつ。
最初の「近くで殺して」は一応主人公の富澤のお話。
同業者はどうなっているのかと思っていたら、次の「人形を埋める」はその鴻池のお話。
これまでは標的の何気ない行動の謎にこだわっていた二人だったが、今回はそこから殺害を依頼してくる相手の理由まで辿られるという流れに。
ドライで理詰めがこのシリーズの良さではあるが、依頼者に焦点が当たり、その人があまり感心できないような人だったりすると、お金が入ってくれば何でもいいのよというドライさはちょっと感じ悪いかなあ。
3つ目の「残された者たち」は若干変化球。直接殺しの場面が描かれず、会社で同期の二人がそれぞれ相手が犯人ではないかと疑心暗鬼になるお話で、ブラックなユーモアが効いている。
こういう基本パターンから抜け出た流れのほうが、理屈っぽさも緩和され面白く読める。
続く「花を手向けて」は鴻池に来た“死体に椿の花を添えて欲しい”というオプションがついた依頼で、これもなかなか凝った作り。
最後はこれまでの二話分の頁がある表題作「夏休みの殺し屋」。
ある高校のある事件の異なる関係者に対し、それぞれに殺しの依頼が入ってきて…という展開。今回もここで二人が交錯。
同じ事件を異なる方向から眺めて同じ結論に行き着くところはよく練れており、面倒臭さは相変わらずも、いつもよりは読み易かったかも。
しかし、あんな殺し方で、今の防犯カメラだらけの街中から逃げ出せるものかね……。 -
Posted by ブクログ
読書系YouTubeの「ほんタメ」で紹介されていたミステリー小説。
面白そうだなとおもったので読んでみた。
中身はタイトルの通り、密室殺人のお話。なんだけど、最後まで現場の扉は閉ざされたままで進んでいくという変わったストーリー。そもそも現場である部屋の扉が開いていないので、死体すら発見されていない。いや、むしろ「ただ中で寝てるだけなんじゃないの」と思ってダラダラする時間が結構長い。異色のミステリーだ。
登場人物は大学時代のサークルの仲間たち。卒業からしばらく経ち、数年ぶりに同窓会を開くことになる。舞台はサークル仲間の祖父が所有していた、豪華な洋館。現在は仲間の兄がレストラン兼ペンションとして利用しているが、兄が海外に行くためその間に自由に使えるとのことで、同窓会の場所として選ばれたという設定。建物やその内装自体が芸術的価値をもっており、とても贅沢な舞台となっている。
セキュリティーはバッチリで、その中で行われる殺人と言うこともあり、ゆるーいクローズドサークルになっている。ただし、殺人現場は閉じられたままであり、外形的には「ただ起きてこない者がいる」という状態のため、緊張感はあまりない。(後半は徐々に高まってくるけどね。)
物語の冒頭、犯人が判明する。そう、この犯人自身が主人公なのである。
事故に見せかけた犯行が成就するかどうかを、読者はハラハラしながら読んでいくのだ。集合時間になっても部屋から出てこない仲間を心配する皆に対し、「疲れてただ寝ているだけ」という楽観的な結論に至るように、場をコントロールしていく主人公。自分が殺しているのだから、起きてこないのは承知しながらも、心配と楽観をバランスよく調整する主人公の苦労がしみじみと伝わってくる。
しかし、そこで出てくるのが探偵役の女性。サークル仲間の女性の妹であり、すこぶる頭がいい。仲間のみんなとの面識はあるが、本来はサークル仲間ではないので、少し特殊な存在としての探偵役がはまっている。(もちろん美少女設定)
ちょっとした違和感から、最終的な結論にまで達する洞察力は、読んでいてすごいと思った。ただ、キャラクターとしてはちょっと掴みづらいところはあるかと思ったので、別の作品も読んでみようと思う。
この作品の一番の謎は、犯人はなぜ被害者を殺す必要があったのか?いわゆるホワイダニット(動機)が謎のままで進んでいくところだ。数年ぶりに会ったサークルの仲間を殺す動機なんてあるのかな?と疑問に思ってしまって、最後まで読まされた。しっかりとした動機が描かれているが、それで殺されてしまった被害者は可哀想だなとも思った。殺されるほど酷いことはしてないんじゃないか、と少し同情する。まあ、主人公の犯行動機がわかるのでスッキリと終わることはできるけど。
この作者のミステリー作品はどこか一風変わった仕掛けがあるようなものが多そうなので、別のものも読んでみようかと思う。 -
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◼️ 石持浅海「夏休みの殺し屋」
経営コンサル、ネット販売業、副業は殺し屋の、男と女。
石持浅海さんは日本推理作家協会賞候補になった「月の扉」を読んでから、だいぶ久しぶり。著作は気にしていたものの、読む機会がなかった。今回は殺し屋シリーズの4作めのようだ。
富澤允は事務所を構える若手経営コンサルタント。副業は殺し屋。依頼はフロントの「伊勢殿」が受け、旧友の塚原俊介が富澤に持ってくる。富澤の恋人でマンガ家の岩井若菜は彼氏の副業を知っていて、彼らの作戦会議にも加わる。
鴻池知栄はシングルマザーで中学生の娘・彩花を育てている。主に美術品の通信販売業で、たまに宝石の依頼が入る。それが、殺しの依頼だ。相棒は仕事上の繋がりもある画家・フランス文学翻訳家の本田元で、実行を手伝ってもらうこともある。
互いを知ることもない、単独の2人に同じお嬢様高校の関係者で、それぞれ別人物の殺しの依頼が入るー。(表題作)
全体の構成としては富澤チーム、鴻池チームそれぞれの仕事を描いて最後にコラボという巻。必要な情報を得て、情を絡めず淡々と実行する。
スタイルは読みやすく、登場人物に親和性もある。ターゲットの謎はそれなりに魅力的。特に上記の最終話は引き込まれる。
ただ、謎に対する解き明かし方が憶測を材料としているため少々物足りなさを感じてしまう。この距離感、「見えない」ことを残すのがこの小説の特徴とされていることは分かる気がするのだが・・ちょっと頭で考え過ぎかなと。
さらさら読めるし興味深いことは確かではあった。 -
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仕事だけでも大変なのに、当たり前のように家事・育児との両立が求められる令和のパパ。大変でないはずがない。
女性活躍の必要性が叫ばれるようになり、日本型雇用慣行のもとで、女性が育児と両立しながら働き続けることの難しさは、広く認識されるようになってきた。だからこそ、女性が働き続けるためには男性の育児参画が不可欠だという流れは、ある意味で自然なものだと思う。
一方で、男性にとっては前例のない大きな負荷が課されているにもかかわらず、それが「当然のこと」として求められている側面もある。(かくいう私自身も、夫にそれを求めている一人だ。)
こうした本を通じて、「パパも大変なんだ」「それでも頑張っているんだ」という認識が、もう少し広がっていくといいと思う。
あえて言うなら、長時間働いて疲れ切っている中で、家庭でも責められ、「自分だって頑張っている」と感じているパパ像が描かれたらもう少し共感が得られるのでは、とも思った。 -
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ネタバレ続編も前作と同じ。
殺し屋がターゲットを観察する際、結局殺すんだけど、ターゲットがおかしな行動しているのが気になる・・・というストーリー。
今回はそんな主人公である富澤允に、ライバル出現?
母子家庭で、中学生の娘、彩花と二人暮らしをしている鴻池(こうのいけ)が副業として殺し屋をしている。
元から素質があるのか、高いプロ意識のせいか、腕は確か。
今回はそんな二人が出会い・・・。
・・・と思ったが、今作では出会わなかった。
ただ今作最後の章である「靴と手袋」では、それぞれのターゲットが同じ職場の人間だったことで、お互いに相対してはいないものの「あの時、すぐ近くに腕の良い同業者がいた」とお互いの存在を認識したところで幕を閉じた。
次回作で出会うんだろうな。
楽しみです。 -
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小型風力発電機の工業被害を受けた10人の被害者が結託し、
メーカーの保養所「風神館」で関係者を殺害することに成功した。
残るターゲットは後2人……という所で、なんと仲間の1人が殺されてしまう。
警察にも通報出来ない状況の中、9人の犯人探しが始まる。
限定的な状況で話し合いで犯人を推理していくという、
いわゆる密室劇的なミステリ。
作者の石持さんは、こういう作品を何作も出していて、自分も結構読んでいる。
今回も犯罪を犯した集団が、警察に通報できないまま、しかも計画の途中で
なんとかしないといけないという特殊環境が面白かった。
9人もいたら犯人探しも難航しそうだけど、ばんばん死んでいくことで、
逆に「なぜ殺されるのか?」がヒントになったりと、展開も早く読みやすかった。
最後の終わり方まで含めて、勧善懲悪ではない(そもそも全員で一人殺してる)のも
良かったと思います。舞台劇が好きな人にはオススメ。