石持浅海のレビュー一覧
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箱根会のメンバーが集まって事件を解明していく過程が面白かった。
論理立てて推理を推し進めていく寺田と比呂美。
冷静にその場の流れを作っていく優佳。
その場に応じたやりとりをしながらも、刻々と変化していく犯人の心理。
意外なところに盲点があったことも、それに気づいていながら告発しなかった優佳の様子も楽しめた。
犯人よりも被害者の方が少しだけ上だったということだろう。
何よりも、最後の場面でそのことがハッキリとする。
どことなく雑な感じのする論理も、読みやすさを優先させればそれほど気にならなかった。
短時間で読み終えられる物語は、けっこう都合がいい。
後付のような強引な推理も、それはそれで楽しめる -
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ネタバレリニューアル間もない水族館で、ある職員が急死した。3年後、その命日に水族館に脅迫めいたメールが届く。そしてまた一人、職員の死亡が確認された。犯人は?
……みたいな話。
水族館が舞台の話を初めて読んだので、新鮮でそこだけでも面白かった。
ストーリーも、一日に畳み掛けるようにいろいろ起こって、はらはらドキドキの展開。
途中まで☆4つの感触で読み進めた。
しかし。最後が感心しない。
ヒトが二人も死んでるんだから、やっぱり事件は公にすべきじゃないか。しかも業務用過失致死じゃなくて立派な殺人じゃん。
それを組織的に隠蔽して実現した夢は、果たして本当に達成感のあるものになるの?
死んだヒトの立場は?
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ネタバレ新宿東口の書店、2階雑誌売り場、アウトドアコーナーでの待ち合わせ。短くした髪、涼しげな瞳、すっきり伸びた背筋・・・もうそこを読むだけでワクワクしてくる。
座間味くんシリーズは、お決まりの型を守ることで、読み手の期待を裏切らない。
「心臓と左手」で心を鷲掴みにされ、手に取ったこの作品。今回は座間味くんと大迫警視正に加えて、警察庁科学調査研究所、通称「科警研」の女性研究員、津久井操が加わっての謎解き7編。
前回同様、美味しいものを食べながらのゆる~い安楽椅子探偵ぶりに、扱っているのは警備事件にもかかわらず、和んでしまう。
操のキャラクターも、超エリートなのに嫌味がなく次もこの3人でシリーズ化してほ -
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あるはずのない、あってはならない事故報告書が、会議の場で役員たちの目にふれた。
実際に事故は起きたのか、それとも単なる捏造文書なのか。
もしも本当に事故が起きていて自分だけが知らなかったら…担当役員の思考回路は責任逃れの方向へと傾く。
一方工場管理とは無関係の部署をあずかる役員は、これを機に一気にライバル役員の落としこみを謀る。
会議室で交わされる会話のひとつひとつが、役員としての未来を左右していく。
営業管理部の拓真は、偶然同じ事故報告書を目にしてしまう。
関わらないようにと一旦はその場を離れた拓真だったが、恋人である美雪からのSOSを受け、何が起きているのかを探ろうとする。
万年係長だと思 -
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ネタバレ石持浅海さんを読んでみたくてタイトル買いした。
そしたらハイジャックの話だった。
予想しない事態が次々に起こる展開に引き付けられて一気読み。
意外な人物が探偵役に指名されて、しかも期待以上の推理力を発揮するのもなかなか良かった。
座間味くん、おバカなチャラ男だと思ってたのに(笑)。
座間味くんでシリーズ物になってるらしい。そちらも読みたくなった。
カリスマへの心酔(または信仰)から彼らはハイジャックを犯す。この、動機が「信仰」ってところが、信じてない者からすれば滅茶苦茶に見えるけど、その重さは第三者には図れないだけにズルイ設定だなと思った。
全ての事態の因果関係も明らかにされて、読み手と -
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心酔する「師匠」のために罪を犯し、ハイジャックしてしまう弟子たち。
しかし弟子たちそれぞれにも、それぞれの思惑や動機があって・・・。
突然のアクシデントで混乱する機内は、犯人によって監視状態に置かれていた。
にも関わらず、殺人事件が起きてしまう。
なぜ?どうやって?
ハイジャック犯からの指名により、不可能犯罪を解き明かしていく(通称)座間味くん。
愛する子供への愛情は、ときに人を狂わしてしまうほどの強さがあるのかもしれない。
理性では抑えきれないほど心が壊れてしまったときに、人は愚かな行為に及ぶのだろう。
犯人の動機には共感はできない。
でも、素人である座間味くんが論理的根拠に基づいて解き明か -
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やる気のない運営が目立つ水族館を変えた1人の職員がいた。彼が深夜の水族館で1人謎の死を遂げてから3年後。
3年前のことを彷彿とさせるかのように水槽に何者かが攻撃を仕掛けてくる。職員の動きを狙い澄ましたかのように起きる、それでいて水槽内の生物には大きな痛手のない絶妙な攻撃。職員の中に動揺が広まる中、ついに殺人が起きる…
水族館の背景が細かく設定されていて、それが事件の内容にも関わってくるのでその描写が巧みだな、とまず感じた(「チーム・バチスタの栄光」のように、専門的知識に基づく作品は私の中で評価が高くなる)。
というより、トリック云々より頭に残るのはそっち。
話が進むにつれて心理戦が展開され -
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理詰めの石持さんがオカルトを書くのだから、どうなるのか不安と期待が高まる。石持さんの持ち味はそのままに謎に迫ると、ほんのり恐怖が残る感じ。とても面白く最後まで飽きずに読めました。
あらすじ(背表紙より)
ある日、僕は前から歩いてくる人に避けられるようになった。まるで目の前の“気配”に急に気がついたかのように、彼らは驚き避けていく…。(表題作)とある企業の研究者「小泉」が同僚たちから相談を持ちかけられ、不可思議な出来事の謎に挑む。超常現象の法則が判明したとき、その奥にある「なぜ?」が解き明かされる!チャレンジ精神溢れる六編のミステリー短編集。 -
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この作者の本は読んだことがなくてあまり期待していなかった。
でも読み終わってみたら、また他の作品も読みたいと思うようになっていた。
不思議な世界観だった。
座間味くんが『心臓と左手<座間味くんの推理>』という短編集に出てくるというのでそちらも読んでみたい。
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沖縄・那覇空港で、乗客240名を乗せた旅客機がハイジャックされた。犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで「連れてくること」。ところが、機内のトイレで乗客の一人が死体となって発見され、事態は一変ーー。極限の閉鎖状況で、スリリングな犯人探しが始まる。 各種ランキングで上位を占めた超話題作が、ついに文 -
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これまで読んできた石持作品に私が持っていたイメージは、「根っからの悪人が描かれない」ということでした。
殺人者が犯行に及ばざるを得ない状況をこと細か〜く説明して、読者に同情の念をこれでもかと持たせる話の多いこと山の如し(盛
10年前の私だったら「そんな犯人の背負ってる重い過去なんて興味ないし!謎!謎たくさん書いてよー!」と粋がってたタイプですよ…( ˘ω˘ )粋?
本格推理小説では人物の造形なんて二の次三の次、そこに注力されたら本筋である謎の提起の部分がおざなりになってしまう、なんて生意気にも思っていたんです。
要するに、推理小説の登場人物に感情移入する必要性は全く感じていませんでした。 -
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石持先生が書く人間にはあまり悪人らしい悪人がいない、と言うのが、5、6作読んでる現時点でのイメージです。
犯人に同情の余地を残す、と言うより、「残し過ぎる」、そんな心理描写が印象的な作品が多いんですよね…。はっきり言っちゃうと、犯人の動機や感情が現実離れしすぎかしらん、ということなんですが←
今作もその石持ルールは遺憾なく発動しています。
読者はいつも通り、倒叙ミステリの本作の序盤で明らかになる犯人の人物像や犯行動機に、「人殺そうとしてるのに悪人じゃねーな」と心を寄せちゃうわけですが。
本作で特筆すべきは、読者のみならず、「被害者自身」までもが犯人を応援していることです。
何だったら、い