あらすじ
計画は完璧なはずだった。仲間が仲間を殺すまでは――。那須高原にある保養所に集まった、絵麻をはじめとする10人の男女。彼らの目的は、自分たちを不幸に陥れた企業「フウジンブレード」の幹部3人を、復讐のために殺害することだった。計画通り一人目を殺した絵麻たち。次なる殺人に向けて、しばしの休息をとった彼らが目にしたのは、仲間の一人の変わり果てた姿だった――。裏切り者は誰なのか? そしてその目的は? 史上最悪の復讐劇が今始まる! クローズドサークルの名手が挑む、予測不能の本格ミステリー!
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Posted by ブクログ
家庭用風力発電機に人生を狂わされ、贖罪を果たさない企業に恨みを持つ10人の男女が企業幹部の3人を殺害する為に集まった。一人目の復讐が企業の保養所で無事終わった直後、仲間の一人が首にナイフを刺された状態で発見され、次の事件も起こる。死体のある保養所に警察は呼べない。所謂クローズドサークルの中、誰にその機会があったか?と会話主体のロジックで真相に迫っていく形式はやっぱり面白い。ただ誰の発言か理解するまでに時間かかったしどうも話の展開が都合良すぎる気がする。そして復讐の行方はそこで終わり?一番いい場所での結びだとは思うけどもやもやが残る。
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風力発電機で低周波被害を受けた者たちが製造会社フウジンブレードの幹部を殺害する目的で、その会社の保養所に集まって、まず部長の笛木を殺す.彼ら10名が作戦を練っている段階で一橋が殺害される.さらに吉崎と菊野も殺され、残ったメンバーが犯人追求と今後の計画について議論を重ねる.中心になったのは男性の雨森と江角だが、絵麻、瞳、沙月、千里、亜佳音の女性群も活発な意見を出していく.瞳が会社幹部の妻であることが判明し、話は複雑に展開する.江角も殺され、雨森が推理を展開する最終場面が面白かった.
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復讐のために一致団結し、三人の人間を殺すことに決めた十人の男女。無事一人の殺害を終えた後、なぜか殺害された仲間。犯人はなんのために殺したのか、そして練りに練った復讐計画は無事成し遂げられるのか。ひりひりするような緊迫感が漂うミステリ。
盤石の計画と強い絆に結ばれた仲間、のように見えた彼らの関係が、疑心暗鬼から瓦解しそうになっていくのがとても危うくてはらはらさせられます。まさしく崖の上。どんどん人数が減っていく中、誰が敵なのか誰が味方なのか。いやいや、誰一人信用できないぞこれは!
犯人が誰か探し当てる部分はオーソドックスなミステリかと思いきや。プロセスはオーソドックスでも思考回路が……まずは復讐計画ありき、で事態を収束させようとするという手法が既に異様で理解不能。というか、理解はできても共感がついていきません。大丈夫かこの人たち。最初はまともそうに思えたあの人もこの人も、とても邪悪……復讐って恐ろしい。
Posted by ブクログ
2018年133冊目。特殊な状況を作り上げ、その状況に即した論理を展開していくことでは右に出るものはいない。復讐者だからこそ生まれる感情が、見事な論理で明らかになっていくのは素晴らしい。その上で、ストーリーにもう少し深みが欲しかった。
Posted by ブクログ
誰も来ない閉ざされた保養所に、復讐のために集まった10人の男女。対象者の一人を殺したが、その後仲間の一人が殺される。
犯人は誰か。
それぞれが疑心暗鬼にかられる中、再び仲間が殺される。
ひとり、ふたりと殺されていく展開は珍しいものではないが、興味深く読んだ。
Posted by ブクログ
復讐ものを読むのが好き+著者の作品「三階に止まる」を読んで、面白かったので別作品を読もうと思いました。
今回のも楽しく読めて一気読みでした。
最初の2、3ページから一気に登場人物が10人くらい登場してびっくりした!(笑)相関図みたいなメモを取りながらじゃないと、誰がどんな人だったか忘れてしまい、お話についていけなくなりそうでした。
設定では、場所が那須高原にある保養所。ゴールデンウィークでの出来事なので5月に読む本としてぴったりでした。
後半が一番盛り上がってお話の展開が加速した気がする。
仲間の中に裏切り者がいて、その裏切り者が誰なのか最後までわからない。
表紙のイラストが美しすぎて何度も見入っちゃう。
Posted by ブクログ
タイトルから火曜サスペンス劇場的な物語を想像していましたが那須高原にある保養所内と言う閉ざされた空間の中で起こる連続殺人事件を解くミステリーでした。
「フウジンブレード」の幹部三人を殺害する目的で集まった10人の男女。
三人のうちの一人の殺害に成功するも、今度は仲間だと思っていたはずのメンバーが一人、二人と殺されて行きます。
結局ラストまで犯人の目星も動機も解らず終盤は一気読みでした。
殺人の凄惨さと登場人物達の淡々とした立ち振る舞いの落差があり過ぎてリアリティーは全くないが、ただの復讐物で終わらないラストが怖い。
Posted by ブクログ
人がバタバタ死んでも大して動じない人たちが、なるほど著者の作品だよなと、他のレビューを読んで思った。あくまで冷静。そういうところにいつも落ち着かない感じを覚えるのかな?でもなんか読んでしまう。
仲間うちに犯人がいることは知りつつ、表向きは普通に和やかに、協力しながら過ごしていくという不思議な状況。冷静に犯人を解き明かしていく探偵役も、最後はめちゃくちゃ冷徹だよなぁ。このあとどうなるのかも興味深い。
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クローズドサークルの構築法が独特なのは平常運転。「一人殺したからもう一人殺しても変わりない」とある種エゴを満たすための快楽殺人に近しい動機での連続殺人。相変わらず倫理観の欠如が激しい。さらに、探偵役も既にそれに加担している以上、その罪を咎めることが自己否定になるという矛盾を抱えた挙句、犯人を特定した後の着地点が面白い。ホームズ&ワトソン形式で読者に寄り添う目線があるおかげで思考する余裕が出るのも相変わらず配慮があった。
Posted by ブクログ
復讐のために集まった10人の男女。1人を殺し終えたところで、次々と仲間が殺されていく…。仲間のうち裏切り者は誰なのか…??
最初は登場人物を把握するのに結構時間がかかった。読んでいくうちに慣れていくけど。最終的にロジカルに犯人が誰なのかが展開されていくので、その過程はなかなか面白かったけど、このメンバーの目的の復讐劇がどんな結末を迎えるのか…。すごく気になるところで終わる。逆にそれがいいのかもしれないけどね。
Posted by ブクログ
屋敷の中の男女10人がそれぞれの理由で恨みを持った3人の人間を殺そうと計画し、まずは1人目の殺人を実行をする。が、その後共犯の仲間が誰かに殺されてしまう。犯人は誰なのか?石持さんお得意の1つの屋敷の中での連続殺人事件、そして探り合う会話劇。今回は人数が多いので覚えるのに多少苦労した。人数が多いせいか話を進めるためとは言え、ちょっと強引かなと思う点もあるし、会話で話が進むことが多いので殺人が起きてもわりと淡々としている感じがした。と言っても毎度、石持さんらしい推理小説だよなと思って読んでしまうのだ。それも本を読んでいると言うより、舞台を観ている感じがいつもするのだ。
Posted by ブクログ
トリックがどうこうって話でも無く、状況から推理を積み重ねていって犯人を特定する…という感じだけど、最初10人から始まって名前も覚え切れない内にどんどん死んでくので感情移入とかは出来なかったw
そもそもが復讐のために集まったメンバーだから「復讐の実行」が大前提で他の色々は二の次って感じなのが新しい。
最終的にどうなるんだろう?と考える余地を残されて、それを想像するのが楽しいんだろうな。
色々な解釈を聞きたい。
Posted by ブクログ
石持さんらしい話。「私たちは正義のためにやっている。この殺人は正しいこと」から始まる。
相変わらずねと思いながらどんどん読んでしまう。
終わり方はなんとなくふぅーんって感じだけど、面白かったです。
Posted by ブクログ
石持浅海さんのいつもの分野。
企業などへの恨み、クローズドサークル、連続殺人、論理的とキーワードが浮かぶ。それでいてマンネリ化せず伏線を回収して最後まで読ませるのは凄い。
まぁ「何も今やらなくても」と感じるのは確かだし、意外性には乏しくなって来た。
Posted by ブクログ
今回も盤石な石持作品でした。特異な状況下での連続殺人と、仲間が次々死んでも焦らずに沈着冷静な人達と、何となく納得させられてしまう真相。もう、著者名を隠して読んでも石持さんだと分かる構成です。
こういう似たパターンが続いても飽きずに読めるのは、シチュエーションの巧さだろうなあ。もはや老大家並みの安定感だね(^-^)。
Posted by ブクログ
書店で見かけると、つい手に取ってしまう。約1年ぶりと、石持浅海さんにしては長いインターバルを経ての新刊である。相変わらずの石持節なのであった。
史上最悪の復讐劇が今始まる!などと帯には書かれているが、『凪の司祭』の方がはるかに最悪だ。『凪の司祭』が不特定多数への復讐なら、本作は企業を相手にした復讐を描いている。復讐に至る心理自体は、少なくとも理解できる。
企業に対する集団訴訟は現実にも耳にするが、あくまで司法の下での戦いである。本作は違う。相手企業の社長ら幹部3人を、殺そうというのだ。それぞれ人生を壊された面々に同情はするものの、これだけの賛同者が集まるとは。まさに石持作品。
憎き相手企業の保養所に集まり、まずは首尾よく1人目を始末した復讐者たち。ところが、メンバーの1人が殺された。同じ目的で集まったはずなのに、妨害行為か? 石持作品にはお馴染みの、クローズド・サークルに突入である。
既に1人を殺し、これからさらに殺す予定なのだから、もちろん警察など呼べない。それらしい動機と犯人を推理してみるものの、どれも決め手に欠ける。こんな非常事態にあっても、復讐の延期はまったく頭にないのか、この人たち。次は自分が殺されるかもしれないのに。
毎回、設定には工夫を感じるし、今回も興味深い設定ではあるけども、クローズド・サークルにおける堂々巡りの議論は毎度毎度であり、デビュー当時から変わっていない。それが持ち味ではあるのだが…。今後も変わらないのだろう。それでも読んでしまう何かが、石持作品にはあるのか。
その「何か」がわからないから、知りたいから、自分は石持作品を読むのだろうか。『凪の司祭』に激怒したのに、結局読み続けている。いつもすっきりしない幕切れだが、今回は悪くない気もしないでもない。いや、すっきりはしないけれども。
ところで、『二千回の殺人』という幻冬舎文庫が出ていたが、『凪の司祭』の改題でした。