石持浅海のレビュー一覧
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ネタバレ書店で見かけると、つい手に取ってしまう。約1年ぶりと、石持浅海さんにしては長いインターバルを経ての新刊である。相変わらずの石持節なのであった。
史上最悪の復讐劇が今始まる!などと帯には書かれているが、『凪の司祭』の方がはるかに最悪だ。『凪の司祭』が不特定多数への復讐なら、本作は企業を相手にした復讐を描いている。復讐に至る心理自体は、少なくとも理解できる。
企業に対する集団訴訟は現実にも耳にするが、あくまで司法の下での戦いである。本作は違う。相手企業の社長ら幹部3人を、殺そうというのだ。それぞれ人生を壊された面々に同情はするものの、これだけの賛同者が集まるとは。まさに石持作品。
憎 -
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実行犯と支援者。ふたりの天才が繰り広げる極限のの推理劇。はたして復讐は……!?
内容は、大学院3人が大学のお金を横領したある男の、事件には関与していない妻が濡れ衣で自殺に追い込んだ大学に対する復讐のために、その復讐に必要なお金を稼ぐためベンチャー企業を立ち上げて…というお話。
最初は復讐に燃え、会社はその手段でしかなかった3人。しかし、会社の経営者として働いているうちに、経営者として、会社の事を考え始めるというシーンがありますが、その辺りはかなりリアルだなぁと感じました。
ただ、推理劇ではありますが、推理と呼ぶにはあまりにも超人じみています。主人公田島は、自分の会社を支援する小池とい -
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石持カラーここに極まれり!
殺人者は己の正義を通す為に罪を犯し!
真の意味での悪人は善人のモノローグの中にしか登場せず!
出てくる人々は皆、善人!!
読者に最悪の結末を予想させておいて、斜め上な結末で収束させる。
うーーーーーん、ONE OF いつも通りです!!←褒めてる
でも、舞台設定は初期の碓氷優佳シリーズを彷彿とさせて嬉しかったなー。【日常の中に不意に現れた閉鎖空間】で、【事件が起こってるんだか起こってないんだかハッキリ分からない状況下で、理屈をつけて事件を起こったものと仮定】し、【善人達がそれについて議論し真相に辿り着く】。
最近の石持作品では後味というか読み心地のイマイチな -
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碓氷優佳シリーズだ。このシリーズ、好きなんだよね。本当は前作の高校生時代の話を読んでいた方が良かったのかもしれないけど、けっこう楽しめた。成功か失敗かなんて、と思うところはあるけど、エンターテイメントでそういうことを考え始めるのは野暮というもの。高校だか予備校時代に夢を語り合った旧友たちと、その後の時間のとらえ方に対してどう向き合うか、そんな程度に考えたらいいんじゃない?殺人まで行っちゃうのは、まぁミステリだからね、にしてもさ。あいつはいい会社入ってるけど、自分はどうか?とか、そういうのはありがちだろうしね。未読の『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』の本はもちろん、もう一度、シリーズ第一作を読
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スピンオフはあったものの6年ぶりの碓氷優佳シリーズ。
前作のスピンオフの終わりで、優佳の不気味さに気付いた高校時代の友人・小春の目線で描かれる。
予備校の同窓会で起こった恩師の殺害事件。
同級生の一人が一見衝動的に恩師を殴ってしまっただけの事件に思われたが、そこには見えざる殺意があり、その真相に優佳が迫っていく…
事件までの流れはさらっとしていて、話の大部分が心理戦。そこにはマウンティングの要素も含まれ、読んでいて、相変わらず不快になる。それでも、少し言葉を選んだりしているところは、優佳が30代になったことを意識しているからだろう。
次作では、ぜひ優佳の結婚相手も登場させてもらいたい。 -
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3年前に亡くなった職員の命日に届いた脅迫メール。
温室異常と同じ順番で起きる予告と、最期の死体。
一体誰が何の目的で、脅迫してお金を要求してきたのか。
3年前と同じような状態が起こっているわけですが
その情報を知っている人は…という疑いから
外していくと、という驚きまで。
読んでいくだけで、まったく推理も何も
あったものではありません。
何がどうしてこうなった? が知りたいがために
どんどんとページをめくるだけ。
その先には、驚くべき現実が待っているのですが
ミステリーとしては、これでいいのか? と
聞きたい落ちになっています。
いや、ものすごくきれいに、希望に沿う形ですが。
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