石持浅海のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ水族館に届けられた携帯電話。非通知で送られてくる謎のメッセージ。開館中の水族館で起こる悪質な悪戯。それは3年前に起こった職員の死と、不可解な設備異常を連想させるものだった。
犯人からの短いメッセージは、一見海洋汚染を訴える文章だが、悪戯を仕掛けたエリアと内容を巧みに盛り込んでいる。しかし目的が分からない。
中盤で職員が一人死に、悪戯が薄気味悪さを伴うようになった。
水族館という舞台設定もそれを助長したように思う。夏休み中の水族館は、騒々しくきらびやかな場所だが、裏側はそうではない。表には置けない飼育道具や予備水槽、パイプが並び、水槽を稼働させる装置音が常に鳴り響く。小説の読み手は、その裏側を見る者である。よく知るイメージとは異なる場所。もともとは薄暗く静謐で神秘的な雰囲気を持つ水族館である。薄気味悪さを自動的に演出してくれる効果があった。
ミステリーとして、先が気になる展開(犯人の目的は何か?なぜ一連の悪戯を計画したのか?)は非常に面白かった。
読み手は古賀という一職員の立場で犯人探しをしていくわけだが、分かりやすい伏線が多く、真犯人や死因の追及は良くも悪くも難しくはない。
また、賛否両論あるだろうエンディングだが、まさか本当に事件を隠蔽するとは思いもよらず、唖然としている間に大団円を迎えた印象だった。読者の意表を突くという意味では、良いんだろうか?
古賀の立場で物語を追ってはいたものの、登場人物たちに感情移入できるほどの親しみはなく、終盤に古賀の友人で探偵役となる深瀬が涙を流すシーンは、ドラマチックさの演出としか思えなかった。
結論。水族館という舞台設定も相まってミステリー展開は面白かったが、結末が近づくにつれ、読み手が置いてけぼりにされていった印象は否めない。身内で盛り上がっているのを傍目で見ている感覚。
エンディングの貴子女史はよかった。 -
Posted by ブクログ
ーこの館に、業を抱えていない人間が来てはいけないんです。ー
この本の表紙をめくると、こんな一文が目に飛び込んでくる。
パッとは分かりづらい文章で、妙にひっかかる(わざとかな)。「抱えてない人は来てはいけない」つまり、抱えている人だけ来てもよいということか。
『業』というと、内に抱えた恨みや憎しみ、自分ではどうしようもできない運命や生まれつきの悪しき心など、おどろおどろしいもののようなイメージがある。そのようなものを抱えて、館に逃げ込んでくる人の話なのだろうか。
札幌市の中島公園近くにある大きなお屋敷に、偶然足を踏み入れることになった通りすがりの7人による7つのお話。短編仕立てだ。
そのお屋敷の立派な門には、近くにある公園と同じ『中島』という表札がはめ込まれている。家主であろうと思われる中島夫婦とその娘と思しき碧子ちゃん、見目麗しい容姿の北良さん、執事(らしき存在の)木下さん、メイド風情の菖蒲ちゃん。彼らのテンポのよい会話や振る舞いのおかげで、後味が悪い話ばかりなのだが不快な気持ちにならずに済むような気がする。
いい意味で予想を裏切る面白さだった。
この著者の本を読むのは3冊目だが、ミステリーとはいえ、証拠やアリバイがどうのというものではない。人の行動や言動から心理を読み取り、真実を導き出すというのものなので、長編だと読み疲れがして辛いものがある。だからわたし個人の意見では、こういう短編が合うと思う。
この屋敷は現実には存在しないんじゃないのかな。
中島公園内には菖蒲池があり、木下成太郎の像がある。あのお屋敷と一緒だ。
業を抱えた人間が救いを求めて迷い込む不思議な館。
でも『北良』という何かは存在しない。 彼は果たして何者なのだろうか。または何を象徴する存在なのだろうか。はたまた彼だけが、実在する人物なのだろうか。
-
Posted by ブクログ
#rのつく月には気をつけよう賢者のグラス #石持浅海 #読書記録
装丁がとにかく可愛い飯テロ系ライトミステリ。
一話目はうむ、軽すぎてイマイチ、と思いつつも、食事とお酒の描写がうまくて読み続けると、だんだん慣れる。
そして最後はよくあるアレですね。
なんかおかしいな、と思ってましたが、そうか!なるほど。
コロナ禍でなければ、すぐにでも飲みに行って美味しいもの呑み食いしながら読みたい本でした。
もう、食とお酒の欲が湧く。
そしてこれ続編だったんすね、と読み終えてから気づく。
美味しいもの目当てに、一冊目も読んでみよう。
目次の絵も素敵。
#ryuitadani -
Posted by ブクログ
「覚醒」した女3人を殺害する
という明確な目的の元物語は進む。
主人公の自己紹介は無く、読者は覚醒の意味やターゲットの素性を知らされない。何故殺されるのか、何故殺すのかまでも謎のままだ。
何が始まるのだろう。覚醒とやらをした誰かを殺す、の情報のみで頭にハテナとワクワクを募らせながら読み進めていた。
覚醒の意味がわかり心がそれを許容するも、覚醒者の立ち位置がどうも曖昧だ。説明は無い。
アルラウネを引き抜くにはその声を聞かなければならない。聞くと死ぬ。聞かないように耳を塞いで夜を走っている内.... 。
問いかけに対しての答えでは無いように感じるが、主人公の壮絶な物語は面白かった。 -
Posted by ブクログ
幽霊か?はたまた超常現象か?
ある企業の研究者・小泉が、同僚や上司、部下などから持ち込まれる不可思議な現象に挑むミステリー、短編6篇。
ひとつひとつは、たわいのない些細なことですが、謎を追うたびに、奥深い黒い闇が...
不可思議な現象そのものは追求せず、なぜその現象が起こったのか?という、whatではなく、whyを明らかにするミステリー。
『一歩ずつ進む』
家に帰ると、スリッパが少しずつ奥の部屋へ移動する。なぜ?
『二歩前を歩く』
向こうから来る人が驚いて自分を避ける。なぜ?
『四方八方』
若くして亡くなった妻の遺髪を、部屋の壁紙の裏に貼り付けた男の身に何が...
『5ヶ月前から』
朝、消したはずなのに、浴槽の電気が付いている。なぜ?
『ナナカマド』
いつのまにか、車のガソリンが増えている。なぜ?
『九尾の狐』
彼女のポニーテールの髪が左右に分かれ、まるで意志のある様に...