石持浅海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
卒業旅行代わりにトレーラーハウスでのキャンプに出かけた大学生の男女9人。
楽しい旅行になるはずだったのだが、何者かによりトレーラーハウスに
閉じ込められ、友人の一人が死に、さらに他にも罠が仕掛けられていて、、、
一体誰がなんのためにこんなことを!?
罠とともに置かれた犯人からのメッセージを頼りに推理を進め、なんとか
脱出を図ろうとするのだが・・・
といったクローズドサークルなミステリ。
ちょっと後味が悪いところも含めて、石持さんらしい一冊だったなぁ。
犯人の思惑通りに行き過ぎた感もあるけど、なかなか読み応えのある一冊。
大どんでん返しのあるものと違って、少しずつ少しずつ推理を進めて
真相に近づいていくのが好きな人に特にオススメです。 -
Posted by ブクログ
タイトルと帯を見て、てっきり新興宗教の話だと思ったのだが、そうではなかった。宗教ではないと何度も文中でも言及されるのだが、じゃああれはなんだったのだろう。
例によって「特殊な状況、特殊な設定、特異な価値観」におけるミステリーをロジックで解決する、という話なのだろうか。人望の篤い星川という人物も謎と言えば謎の存在で、なぜそこまで熱狂的に支持されるのかが今ひとつピンと来ない。さらには「御子」という存在もまた、言葉と実態が一致しないために、登場人物たちの心情に同調しづらい。
しかし、閉鎖的な集団の中では、やはりあんなふうに権力争いが起きるだろうし、人間関係が歪んだりするんだろうな、と思った。そのあたりには普遍性を感じる。
っていうか、その「御子」を抱いたとして、一体どうしたかったのだろうか、という疑問は残るなあ。だって宗教ではないわけだから。
星川も謎だったが、探偵役になった深井という青年もまた謎だったな。 -
Posted by ブクログ
数ある石持浅海作品の中でも、長編は石持さんにしか書けない作品が多い。『カード・ウォッチャー』以来の長編作品は、これぞ石持浅海という作品だ。
誤解を恐れずに言うと、石持作品の中でも長編は、登場人物に共感できない作品が多い。行動や思想、人間性に至るまで、突っ込みたくて突っ込みたくてしょうがない。おかげで肝心の謎が霞んでしまうこともしばしばである。
それでも石持作品を読むのをやめられない。僕はある時ふと気づいた。登場人物の誰にも共感させないのは、ある種の才能であり、作家石持浅海の持ち味なのだと。いつしか、共感できないほど嬉しくなるようになっていた僕は、間違っているだろうか。
会う人会う人誰もが魅了されたという、傑出した人物がいた。彼に惹かれるばかりに、「門下生」たちはこぞって近くに家を買うほどだった。その結果、彼の家を中心に「門下生」たちのコミュニティーができていた。ところが、彼が病に倒れ…。
おいおい、それってちょっとした新興宗…ゲフンゲフン。どうですか、設定を聞いた時点で既に共感できない。わくわくしてきたぞ。さて、教祖(違うってば)が死ぬと何が起こるか。そう、残された信者たち(だから違うってば)による勢力争いですね。
で、タイトルにある「御子」って何? と思ったあなたは鋭い。教団(違うって言ってんだろ)の主導権を握るには、「御子」の確保が重要なのだ。いやあ、びっくり。まさかあっちの世界に行ってしまうとは、さすが石持浅海は我々のはるか先を行っている。
謎を解くのはまったくの部外者だったりするのも石持作品らしい。設定的に『月の扉』を彷彿とさせるが、探偵役がまったく目立たない点で本作の方が完成度(?)が高い。「門下生」ではないはずの彼もまた、作品世界に同化しているのだ。
僕自身、この技術に関心はあるが、はてさて。 -
Posted by ブクログ
とってもロジカルな展開での謎解きを得意とする石持浅海さんですが
今回はそこに恋愛の要素をたっぷりと。
章ごとの謎あるいは事件を解決する主人公は会社員の直幸。
ある日、彼は偶然訪れた大型書店でかなりの美人を見かける。
そんな彼が、今は別の会社に就職した元同僚にその話をしたところ、
元同僚とその彼女が勤める会社の先輩であることが判明する。
それをきっかけにふたりは知り合い、関係を深めていくのだが、
美人の彼女にはなにか暗い秘密があるようで・・・といったお話。
今回もまたかなり論理的な思考から真相へと辿り着くミステリと
なっています。日常からそれほどまでに考える人はいないだろうと
ツッコミを入れたくなるほどに。
主人公が気づいた真相は救いのないものだったり、逆に救いになったり、
あるいはただの推測でしか無いものだったりと必ずしも読後感は
爽やかではないけれど、それでもこれはハッピーエンドなんだろうな。
直幸が、そして、直幸に関わった人たちが、
これからまっすぐに幸せへ向かって進んでいけてたらいいのにな
って思いながら読後の余韻から覚めたのでした。