【感想・ネタバレ】御子を抱くのレビュー

あらすじ

埼玉県越谷市某町―絵に描いた様に平和な新興住宅地であるこの町の住民の多くは、ある人物を師と仰ぐ集団の「門下生たち」によって占められていた。彼らは師亡き後も、その清廉な教えに恥じぬよう行動し、なんとか結束を保っていた。目覚めぬ遺児「御子」をめぐり牽制し合いながら…。しかし、かつて御子の生命を救った異端の研究者の死で、門下生たちの均衡は破れた。「私たちこそが、御子をいただくのにふさわしい」三つに分裂した各派閥によって始まった、熾烈な後継者争い。立て続けに起こる、凄惨な第二の死、第三の死。驚愕の真犯人が、人の命と引き換えてまで守ろうとしたものとは!?奇抜な状況設定における人間心理を、ひたすらロジカルに思考するミステリー界のトリックスター、石持浅海が放つ渾身の書下ろし長編。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

石持氏は、いつも、ものスゴク現実的なのにあり得ない話しを書いてくれる。
これもそんな面白味が駆け抜けていった。

大勢の門下生に慕われていた「星川氏」、その理由というのが一番の謎だ。

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2014年08月28日

Posted by ブクログ

とても石持浅海らしいテイストのミステリ。面白かった!

ありふれた街に紛れこむ、カリスマ性を持った人物と、コールドスリープという異物。かなり無理ゲーだろうに、そこを読者にうまく説明しちゃうのはさすが。

そして今回の探偵役は、ホームセンター店員。これがまた座間味くんみたいなキレキレなので、読んでいて爽快。でも今回珍しく、2人目が殺されるあたりで犯人わかっちゃった。

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2014年08月15日

Posted by ブクログ

タイトルと帯を見て、てっきり新興宗教の話だと思ったのだが、そうではなかった。宗教ではないと何度も文中でも言及されるのだが、じゃああれはなんだったのだろう。
例によって「特殊な状況、特殊な設定、特異な価値観」におけるミステリーをロジックで解決する、という話なのだろうか。人望の篤い星川という人物も謎と言えば謎の存在で、なぜそこまで熱狂的に支持されるのかが今ひとつピンと来ない。さらには「御子」という存在もまた、言葉と実態が一致しないために、登場人物たちの心情に同調しづらい。
しかし、閉鎖的な集団の中では、やはりあんなふうに権力争いが起きるだろうし、人間関係が歪んだりするんだろうな、と思った。そのあたりには普遍性を感じる。
っていうか、その「御子」を抱いたとして、一体どうしたかったのだろうか、という疑問は残るなあ。だって宗教ではないわけだから。
星川も謎だったが、探偵役になった深井という青年もまた謎だったな。

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2014年08月08日

Posted by ブクログ

 数ある石持浅海作品の中でも、長編は石持さんにしか書けない作品が多い。『カード・ウォッチャー』以来の長編作品は、これぞ石持浅海という作品だ。

 誤解を恐れずに言うと、石持作品の中でも長編は、登場人物に共感できない作品が多い。行動や思想、人間性に至るまで、突っ込みたくて突っ込みたくてしょうがない。おかげで肝心の謎が霞んでしまうこともしばしばである。

 それでも石持作品を読むのをやめられない。僕はある時ふと気づいた。登場人物の誰にも共感させないのは、ある種の才能であり、作家石持浅海の持ち味なのだと。いつしか、共感できないほど嬉しくなるようになっていた僕は、間違っているだろうか。

 会う人会う人誰もが魅了されたという、傑出した人物がいた。彼に惹かれるばかりに、「門下生」たちはこぞって近くに家を買うほどだった。その結果、彼の家を中心に「門下生」たちのコミュニティーができていた。ところが、彼が病に倒れ…。

 おいおい、それってちょっとした新興宗…ゲフンゲフン。どうですか、設定を聞いた時点で既に共感できない。わくわくしてきたぞ。さて、教祖(違うってば)が死ぬと何が起こるか。そう、残された信者たち(だから違うってば)による勢力争いですね。

 で、タイトルにある「御子」って何? と思ったあなたは鋭い。教団(違うって言ってんだろ)の主導権を握るには、「御子」の確保が重要なのだ。いやあ、びっくり。まさかあっちの世界に行ってしまうとは、さすが石持浅海は我々のはるか先を行っている。

 謎を解くのはまったくの部外者だったりするのも石持作品らしい。設定的に『月の扉』を彷彿とさせるが、探偵役がまったく目立たない点で本作の方が完成度(?)が高い。「門下生」ではないはずの彼もまた、作品世界に同化しているのだ。

 僕自身、この技術に関心はあるが、はてさて。

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2014年08月01日

Posted by ブクログ

2024-1-10-1
こういう集団って一般からは忌避されがちだけれど、そこには他人には知り得ない事情や思いがあって、他から干渉されない権利があると思う。集団指導体制っていつの世も難しいってことか。

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2024年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中から主人公っぽい、クールな女性医学者さんが、石持さんっぽい。(けど、碓氷嬢ほどは冷たすぎずかわゆい。)
探偵役さんが、ちょっと座間味くん風味で素敵。しかし登場時のその場にいたのはよかったのか?そこに実はふかーい伏線があったのか?

御子、がどんなことになっているかは案外予想がついてしまったので(某箱に入った少女を連想)そこが全然見えないとまた着地した時の衝撃も違うのかな。

某ショッピングセンターへ、出産祝いを買いに行く話、があって、ひとりでひやりとする。パラレルワールドなのかしら。

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2016年08月29日

Posted by ブクログ

これまで読んできた石持作品に私が持っていたイメージは、「根っからの悪人が描かれない」ということでした。

殺人者が犯行に及ばざるを得ない状況をこと細か〜く説明して、読者に同情の念をこれでもかと持たせる話の多いこと山の如し(盛

10年前の私だったら「そんな犯人の背負ってる重い過去なんて興味ないし!謎!謎たくさん書いてよー!」と粋がってたタイプですよ…( ˘ω˘ )粋?

本格推理小説では人物の造形なんて二の次三の次、そこに注力されたら本筋である謎の提起の部分がおざなりになってしまう、なんて生意気にも思っていたんです。
要するに、推理小説の登場人物に感情移入する必要性は全く感じていませんでした。いえ、今も基本的には考え変わってませんけど←

そんな今より一際尖ったミステリ観()を持っていた時に出会った石持作品は衝撃的でした。

犯人にめちゃくちゃ感情移入してしまったのに、飽くまで物語の核は人間ではなく「謎を解く」こと。
人間の内面葛藤の描写にかなりページを割いてるのに、「ミステリである」という設定の根幹を邪魔してないんですね(ここ後で書直そうなんか変)。

「普通は許すべからざる」殺人犯を、積極的に応援してしまいそうになるというコロンボ展開も、パズルミステリしか読んでない私にはものすごく新鮮だったんです。

日本の推理小説は新たな次元に入ったのかもしれないわー!と当時感動したことを今でも覚えています。

ですが、石持作品を数作読むうちに、少しずーつ考えが変わってきたんですね。

どうも、石持作品の根幹にあるのは、人間の善良性とか、決してそんなポジティブなものじゃないんじゃないかって。

作品の多くに登場する、「素晴らしい人格者」 に象徴される「否定を許さない善性」が、石持作品の中では専ら殺人という大罪の免罪符に使われまくってる気がして仕方なくなってきたんですよね(汗)。
なんか、まわりくどい言い回しだけど、今感じてるイメージに近い言葉はこれなんです、すみません。

めちゃくちゃ前置き長くなったので本編感想はサラッと…どころか以下略でいきたいと思います←

とにかく、今作も上記で述べたように石持ワールド全開でした。素晴らしすぎる故人を偲ぶ人々が、故人とその子供をめぐって葛藤しまくりです。
人間の欲望を剥き出しに権力争い…なんて展開はもちろんありません。
あわや欲をかき、疑心暗鬼に陥りかけた時は、みんなでそろって

あゝ、彼(故人)が今の俺たちを見ればどう思うだろう。
こんなことではいけない!
彼の意志を継がねばならないという点で、いがみあっていても俺たちの心は1つ!

と己の不出来を恥じつつライバルの善良性も疑ってないんです何それ怖いよォ←

結論・今回は犯人が一番人間くさかったです。


【内容まとめ:るの疲れた←】

俺たちの敬愛し崇拝する営業部長が、若くして突然病に倒れ、帰らぬ人になってしまった!後継である寝たきりの御子をめぐって、三大派閥が火花を散らす中、派閥争いに無関係を貫いていた営業部長の盟友がこれまた突然の事故死!ストッパーとも呼ぶべき彼がいなくなって、俺たち一体どうなっちゃうの〜?!
次回、【昨日の敵は今日も敵!】
俺の腹心だけは死にませんように!


以上です。
いつになく酷い自覚はありますごめんなさい。

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2016年06月30日

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石持浅海による、宗教サークルミステリ。
教祖的に崇拝される人物が亡くなり、休眠状態にある彼の息子を巡って起こる連続殺人事件の話。
クローズドサークルでもないのに緊張感を維持している感じや、感情的な要素もロジカルに噛み砕く点は、相変わらず秀逸。
テーマとしては、そういった著者の作風にとてもマッチするものだったと思うので、もう少し頑張って欲しかった、というところ。
しかし、この人はかなりドライな描写で淡々と話を進めるのに、なぜかよく青春・恋愛要素を盛り込む。今更ながら、ミスマッチのようで科学反応起こしてるような、不思議な感じがする。
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2015年05月11日

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もっと宗教色が強くてどす黒いはなしかとおもったら、思いのほかライトだった。だからこそ、最後までページを繰ることが出来た。

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2015年04月30日

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石持さんらしい作品。私には設定そのものが理解しがたかったので、作品に入り込めず。もやっとしたまま終わりました。

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2015年01月06日

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犯人は何故被害者を殺さなければならなかったのか・・・うまい具合に読者を誘導していた。
殺意の前提をうまく隠していたのは見事

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2014年11月28日

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石持さんらしいな~って話でした。宗教色?洗脳?ぽっさがやっぱりあった。
悪者いない、っていうかだから怖いみたいな。

私も「部外者」だから犯人はなんとなくわかったな。
トリックもいまいちだった気がする。

一つ言えるのは本当に星川さんがいたら私も会ってみたいわ。

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2014年11月20日

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初期作品の作風に戻り、期待したのだが、もう一つ練りこみ不足というか食い足りない。説得力、意外性、どんでん返し、もう二つ三つ作れたと思うが。6.5

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2014年11月09日

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一人の人物を「師」と仰ぐ奇妙な団体で起こった殺人。設定が面白いですね。宗教っぽいけど、宗教ではない。いっそ宗教団体でもトリック破綻しなかったような気もしますけど、それだと読み終わった後の印象が平凡になってしまうのかもしれないし。。。

しかし実際にこんな感じの理由で人は人を殺すものなんだろうか?犯人が「狂って」いたとしちゃうのも安直な気もするし。。。

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2014年10月15日

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石持ファンなら受け入れられる設定かな。でもミステリー要素としては、あまり意外性なかったなあ。
石持初心者の方には、短篇集等で慣れてから読むことをおすすめします。

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2014年09月27日

Posted by ブクログ

不思議な設定
宗教ではないと言いながら
ほとんど宗教の成り立ちと変わらない
教祖が亡くなってしまった後に
どのように組織を存続させるか

さてさて、この後、存続するのかなぁ?

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2014年09月21日

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