森沢明夫のレビュー一覧
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私は最近愛犬を失いました。
元々涙腺が人より緩い自覚はありましたが
愛犬との別れによって更にガバガバになった涙腺と薄皮さえも剥ぎ取った剥き出しの感情に沁みた物語
"とても古いモノや人の気持ちを一心に浴び続けたモノには魂が宿る"
そんなファンタジーに現実を生きる日々の見方を
ほんの少し優しくしてくれるた作品
声を聴けなくても必ずそこには想いがある
私達は想像してそこに在る想いを受け取らなくてはいけないのだと感じました。
頭では分かっていても今の現状に優劣つけてしまう
屁理屈を並べてお腹を満たす方へ逃げてしまう
改めて幸せは遠くに探しに行くものではなく
足元にギュ -
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読みやすくて、とても心温まる物語でした。
物語の舞台は、海辺の町の商店街にある
「江戸前 夕凪寿司」
このお店をこよなく愛す人たちの物語。
主な登場人物は、
夕凪寿司の大将 江戸川さやか
さやかの祖父 江戸川伊助
夕凪寿司店員? 遠山未來
未來の友達 作田まひろ
登場人物はそれぞれ他人に話し難い過去がある。けれど、夕凪寿司はそれをとても温かく包んでくれる安心できる場所のようだ。それはきっと大将の人柄も影響しているだろうと思う。
そうやって自宅以外でホッと出来る場所があるのは、緊張しやすい私にはハードルが高いですが、ちょっぴり羨ましく思いました。
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瀬戸内海が舞台、子供の頃、大三島でひとり相撲を観た。神様と相撲をとるのだ。どこか可笑しくてでも神聖な印象を持った。広島の竹原も小京都があり、地方の良さを感じる。福山は広島県で人口が2番目に多い。そして、広島弁で描かれているのも面白い。
「ぼく」はふたりいる。1人のぼく清のお父さんはバスの運転手、綺麗なビー玉が息子のぼくに引き継がれる。もう1人のぼくは、バスだ。父親とバスの引退は切なさを感じるが、ビー玉の美しさが目の中で輝いている。
それは、人の優しさが輝かせていると思う。森沢明夫さんらしい物語だ。人には舞台に上がる時があれば、舞台から降りる時がある。一度降りても蘇ることもある。周りの人たちに -
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ずっと他人の幸せを喜べる人でいたいな〜
はい、ねこさんの本棚から
ワタクシの大好きな森沢明夫さんのエッセイでごわす
まぁ、ほぼ読んでますからね
森沢明夫さんの小説ほぼ読んでますから、いや小説は全部かな?
読んでないのはノンフィクションとエッセイ
で今回エッセイ初読みです
いやぁなんて言うのかな?
素?大林素子?
森沢明夫さんの小説の素みたいな、出汁の素?うん、これだ
出汁の素を感じることのできるエッセイでした
なんていうか普段から気持ちいいくらいポジティブでほんわかしとるのよね〜
そりゃあ、あんな小説が出来るはずだわって素直に思えました
ほんわか大林素子でした(違う絶対) -
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この本は、岬の上にひっそりと佇む喫茶店とそこを切り盛りしているおばあさんと、さまざまな『事情』を抱えた客との間に織り成される物語です。合間合間で流れる曲と、それに合いそうなコーヒーがすばらしいですね。
こういった小説を読むのは本当に久しぶりのことで、読み始める前はその厚さに正直少し躊躇しましたけれど、読み始めてから中盤以降は面白さに引き込まれる形で、一気に読み終えてしまいました。
この話は岬にひっそりとたたずむ形で運営されている喫茶店を切り盛りするおばあさんと、妻をなくしたばかりの夫と幼い娘、卒業後の進路に悩む男子大学生、やむにやまれぬ事情で喫茶店へ盗みに入った泥棒など―さまざまな『 -
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「誰かと出会えば、必ずいつかは別れがくる。ならば・・・・・どうせなら、その別れの瞬間、涙が止まらなくなるくらいに、出会った人とは深く心を通わせておきたい。」
これは「夏美のホタル」でも心に刺さった言葉。
あかねと弥生の間で揺れ動く明海くんの正直な気持ちがなんとももどかしく、じれったくもあった。
ただの恋愛小説では終わらないのが森沢ワールド。
「きらきら眼鏡をかけたなら、
坦々とした日常は
「とくに不満の無い日々」から「穏やかな日々」に変わる。」
私もきらきら眼鏡をかけて、平凡な日常を少しきらきらにしてみよう。
他作品とのつながりも良かった。
「ざわざわ」
「凛」
森沢ワードで -
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ある本との出会いが5人を円のようにつなぐ物語。
その本のメッセージは、「人生は雨宿りをする場所じゃない。土砂降りの雨の中を楽しんで前進すること。過去の失敗や未来への不安に取り憑かれすぎると、永遠に現在を生きることはできない。」というもの。
5人にはそれぞれ人生の進路について、悩みがある。
それは、親や親友、恋人など一番近い人に対してでさえも告白するのが躊躇われるようなこと。
言おうと思っても言えずに、心の中に石のようなモヤモヤとしたものが残り続けることになる。
それでも、その本のメッセージを通して、5人それぞれが勇気を得て、周囲に悩みを吐露する。それにより、自分が本当にしたいことが少しずつ見 -
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自然たっぷりの田舎の情景が目に浮かぶようだった。
偶然立ち寄った「たけ屋」のヤスばあちゃんと恵三さん。
カメラマンを目指すも壁に当たった慎吾、
そして明るくて感受性豊かな幼稚園教諭の夏美がたけ屋の離れを借り、自然の中で青春を謳歌する。
恵三さんの死、ヤスばあちゃんの死は胸が締めつけられられそうで切なかったけど、雲月さんの作ったお地蔵様やタンポポの花がずっとふたりの想いを繋いでいってくれるんだろうな。
あとがきの「どうせなら、別れがとことん淋しくなるように、出会った人とは親しく付き合っていきたい」の言葉が心に刺さった。
「凛」と鳴る風鈴。
かけがえのない「ありがとう」を大切に。