森沢明夫のレビュー一覧
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装画のお寿司はもちろん、文中に出てくるお寿司がどれもおいしそうでした。まわらないお寿司屋さんは、なかなか敷居が高いので、こんな感じのお寿司屋さんがあればいいなと思いつつ読み進めました。
海辺の町のお寿司屋さんは、やっぱり優しい人達が集う場所でした。幼いときから心に傷を抱えていたまひろを受け入れてくれたのは、江戸前夕凪寿司の人達、そして常連さん。大将のさやかさんのほわっとした感じ、祖父の伊助さんの自然体の姿に、本当に実力のある人は、いい感じに力が抜けた人だと思いました。
成金ウメちゃんの出来事は、最後に胸がスーッとしました。知ったかぶりと偏見で自分を大きく見せたがる人って、いますから。こうい -
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表紙のほのぼのとした絵が気に入って購入。
不倫の末に職場に妻が乗り込んできて修羅場、みんなにバレて鬱になり仕事も住む家もなくなった25歳のエミリ。両親はいるが、離婚していて父親は新しい家族と幸せに暮らしているし、母親は自由奔放で男をとっかえひっかえして今は年下の恋人と暮らしている。頼れるのは15年会っていない田舎の海辺に住む母方の祖父の家しかなく、祖父との生活が始まる。生きることに失望したエミリの心を、毎日をきちんと真面目に正しく淡々と暮らす祖父の手料理と、田舎町の心の優しい人たちが徐々に癒やしてくれる。
噂好きなおばさんたちや、毒吐きの元親友もいて悩むエミリだったけど、その人たちとの縁を切 -
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久しぶりの森沢明夫さん。
やはり文体の読みやすさと、脳内混乱を避けてくれる読者への配慮はピカイチ!
『桜が散っても』
森沢文学の真髄!珠玉の家族小説と謳われていますが、私にはそれ以上に、相当重くて辛いお話だった。
理想的な家族が、ある事故をキッカケに、元の関係に戻れなくなってしまう。
誰の目線でこの物語をみればいいんだろう・・・
忠彦、麻美、建斗、里奈
各章には家族一人一人の想いが詰まっているが、
それぞれの想いが痛い程に伝わって来て、
やり場がなく鬱々とした気持ちが膨らみ辛く切ない。
人生を自らの意志で変えた忠彦の生き方は、他人が、どう評価出来るものでもないのかもしれない。
ただ、 -
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仕事もお金も居場所も失った主人公のエミリが、15年ぶりに再会した祖父との暮らしを通して心の再生をしていく物語。
エミリと大三おじいちゃんが自然と距離を縮めていく姿がとても素敵でした。口数は少ないけど大きな愛を持ったおじいちゃんは広い海のような人。おじいちゃん自身の経験から紡ぎ出された「自分の存在価値と人生の価値は他人に判断させてはダメ」、「自分自身を自由に動かせるのは、唯一、自分だけ」という言葉は、心に響きました。
森沢明夫さんの作品は初めて読みましたが、海辺の田舎の情景や登場人物の心情が丁寧に描かれてていて、物語の世界に没入してしまいました。別の作品も読んでみたいです。
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幼稚園教諭の夏美と、写真家志望の大学生慎吾。
恋人同士の二人がツーリング途中で立ち寄った山奥の懐かしい造りの店「たけ屋」には、”ヤスばあちゃん" "地蔵さん”と呼ばれる母子が、ひっそりと暮らしていました。
夏休み、慎吾の卒業制作を撮るために二人は「たけ屋」の離れに泊まり込み、村人たちと親交を深めていきます。
川で見る無数の蛍の幻想的な美しさに圧倒されて、次々とシャッターを切る慎吾。
地蔵さんが教えてくれた川遊びのシーンが清らかで美しく、心に残ります。
物語中に何度も出てくる風鈴の鳴る音に、「凛」という文字が使われていました。
凛、凛……。
まるで本の間からほんとうに聞 -
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タイトル通り、一冊の本がつなぐ五つの物語。
誰一人決定的な悪人はいないのになぜか上手くいかない人達(最近このパターン多い気が、、、)が一冊の本と巡り合い、関わりあった事で人生に前向きに向き合っていきます。唯一感じが悪いのは主人公の一人、作家の涼元先生ですが、彼も心を入れ替えたのか、作品を書き上げた三話目からは余裕のあるイケおじに変貌します。彼が書いた「さよならドグマ」についてはあらすじもほとんど紹介されず、一部をチラ見せする程度なのですが、きっと本編と同じようにハートフルな物語なんでしょう。でももうちょっと良いタイトルなかったのかなぁ。
冷静に見ると、筆を折りかけた作家とダメ編集者、書店員とお -
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読みはじめ、いきなりガクッと来ます。
頑張って書いたのであろう文章がなんとも空々しい。なにせ直前に読んだのが名文家-松家仁之の『沈むフランシス』ですからね、比較しちゃうと歯が立たない。
もっとも森沢さんの持ち味は、そんなところじゃ無いですからね。相変わらずやり過ぎレベルの「いい話」にページをめくる手がどんどん止まらなくなります。
キャラの濃い5人の大学生の物語。ちょっと意外だったのは、誰にでも愛されるまっすぐで可愛い女の子ではなく、少し口の悪くて派手めの女の子がヒロインだったこと。
とはいえ、いつも通りの、読んでいてかなり照れるほどの森沢節でした。 -
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「幽寂とした闇」
森沢明夫さんのこんな表現を待っていた。
この小説のベースに鳴り響いているのは
種田山頭火の言葉
「風鈴の鳴るさへ死のしのびよる」
森沢さんの凛とも洋子の死とも重なる。
「うれしいこともかなしいことも草しげる」
森沢さんの言う通り、一人旅も、人生も、二つの側面を持つ。淋しいと言えば淋しくなるし、自由だと言えば自由になれる。どちらの側面も真実であり、どちらに寄り添うかで気持ちが変わる。いずれにしても痛みは伴う。
倉島英二は、妻からの二通目の手紙を受け取って、本当の一歩めを踏み出せると思う。
残りの時間を、妻への感謝を胸に大切にしていくだろう。
でも、やっぱり淋しいよな。
夕方