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時を隔ててわかる、愛するということ、家族であること
“森沢文学”の真髄!心が静かに癒される、珠玉の家族小説
趣味の釣りをきっかけに、週末を桑畑村で過ごすようになった忠彦。現地でできた親友の浩之をはじめ、温かな人々や美しい自然に囲まれた桑畑村は、彼にとって「第二の故郷」と呼べるほどの場所だった。しかし、数年後、自身が勤める建設会社が桑畑村でリゾート開発を進めていることを知る。その事実を知った忠彦は浩之に会いに桑畑村へ向かうが、そこで人生を揺るがす出来事に遭遇してしまう。その日を境に、忠彦と家族の運命は大きく変わり出していき……。
不器用ながらも自分の信念を貫いた男と、その家族の絆を描いた感動の物語。
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Posted by ブクログ
さすが、森沢明夫さん。素敵な物語でした。職場なのに泣いちゃったよ。
第1話 建設会社のサラリーマン山川忠彦は真澄川で釣りをしていた。ヤマメとイワナを3匹づつ釣り上げる。小さいのは川に返した。檜山浩之は2匹づつ。
浩之の趣味は写真。300年の樹齢の桜を囲んで桑畑村の面々が花見をする様子を撮る。
第2話 山川の息子の建斗は4歳になった。妻の麻美はつわりでダウン中。山川が妻と出会ったのは腰痛で訪れた整体院。食事を一緒にして距離を縮めた。浩之から電話があり、桑畑村にレジャー施設ができると教えられる。真澄川も部分的に堰き止めて大きな池を作ったり公園を作ったりする大規模計画らしい。住民説明会も終わっているが、安全性に疑問があるらしい。
第3話 松下麻美は夫と別れて整体院を営んでいる。ママ友多佳子の姪で女優の伊原モナの往診を頼まれる。
忠彦は失声症と鬱病になり会社を辞めた。樹木医になりたいと言っていたが、まず受験資格のハードルが高くて無理だった。そのうち桑畑村に桜の植樹を始めた。ただでさえ回っていない家計に響いた。
女優のモナは言う。離婚の原因は大抵、浮気、子供の教育、お金の問題だと。
第4話 忠彦の娘の里奈は20歳も年上の鍋田と不倫している。そのキスシーンを兄の建斗に見られた。以前も不倫をしていて奥さんに乗り込まれたことがある。ついでにいうと、その後も別の男としていた。建斗はファザコンなのではないかという。そろそろ里奈もなんとかしないといけないとは思っていた。
第5話 松下建斗は公益社団法人日本整地緑化推進協会という天下りに便利に使われる組織にいる。高桑村の檜山から電話がある。父の訃報だ。葬儀に出るかどうか尋ねられたが、家に持ち帰ることにする。死因は心筋梗塞。母は行かない、里奈は行くとの答え。建斗も出ないと言い、全員が出ないことになった。
父は同い年の時に声を失っていた。里奈がお墓参りに行きたいと言う。バイクで行くことになった。檜山さんが出てきた。忠彦と釣りの約束をしていたから、家族はダメでも自分は助かったのだと。開発でダメにされる前にと桜の巨木は移植されていて、まばらに花をつけていた。父の植樹した桜並木をみにいく。
Posted by ブクログ
毎度毎度森沢さんにはじ〜んとさせられます。
子供にとっては父の想い、妻にとっては夫の想い…それぞれが心に亡き父の…亡き夫の想いを秘め、受け取り、それぞれの心に静かに納めていく様が見事に描かれているなぁ。
当たり前だけど夫として捉えた妻、父として捉えた健斗と里奈…抱えた想いはそれぞれで、感じ方も理解も違って当然なのだ。
でもきっと母親的には頭の中では子供にとってはどんなで形であれ父親で、唯一無二の人と分かってはいても心情的には自分と同化してしまっていたんだろうなぁと…。
捉え方が違えば湧いてくる感情も違って、子供達と自分とは「忠彦」の存在が違った感情で心の中にいることにきっと戸惑ったであろう。
夫が残した「花の森」や「壁のアルバム」に麻美が長年抱えた想いをほんの少しでも解放出来ていたらいいな…。
頑なな母の姿は見ていてあまり心地の良いものではないかもしれないけれど、麻美の気持ち…分かるなぁ。
この先少しネタバレ要素あり!
それと同時に目の当たりにしてしまった大好きな場所の…大好きな人の惨劇のショックとそれにより起こった失声症、人生観が変わり、始めて抱えた自分の気持ちをうまく家族にも伝えられず追い詰められ家族の側を離れた忠彦の真意にもなんとなく心を寄せてしまう。
ほんと、いつも、森沢さんの小説は心にくるものがあって考えさせられる。
とても良かった!
風鈴…出てこなかったなぁ…
Posted by ブクログ
始まりは遺体の発見、あれっ、まさかのミステリーだろうか。
人は贖うことができないのだろうか?自然災害や大きな権力、局所的な視点だと不可能に近いのだろう。宇宙規模、地球規模で考えると因果応報が世の常のように思える。ましてや局所的な時間や場所では・・・。
さて、題名の意味するところはなんだろう。イメージは一時的な栄華は終わっても、またその時期がやってくる、ただ短い間だけれど。といったところだろうかとページを捲る。
主な登場人物は辻村宏樹、山川忠彦、松下麻美、松下里奈、松下健斗、松下春菜。それぞれの視点で描かれている。建設会社の総務部に所属する山川忠彦の葛藤、友人浩之の思いか政治と繋がった企業の思いか。
家族の絆や親友との関係はどうなっていくのかが、この作品の主題であろう。
さて、プロローグの出来事の回収はどうなったのか、これも繋がってくる構成は、さすが森沢明夫さんだと唸らずにはいられなかった。この感想の起で書いた題名に関する予測は全く違っていた。恥ずかしいくらいに。
忠彦の苦悩は家族への思いや自責から、それは時を経て残されていく。離婚の原因は3つに集約されるそうだ。浮気、子ども、お金、そしてお金が理由の時、家族の将来への不安が真因となるのだろう。人の思いはその人の紡がれた人生に寄るところが甚大だと思う。その価値観の重さを重心をどこに置くかによって、すれ違いは起こりやすくなる。家族の花、紫花菜が桜の元で風に揺れる。文章で語らずとも行間に込められた森沢明夫さんの優しさが、わたしの中で顕在化した時、心の奥底から溢れ出す雫を誰が止められようか。
(紫花菜の花言葉を調べてみた。「希望」「永遠の幸せ」。ライカに刻まれたイニシャルと共に。)
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