Posted by ブクログ
2020年11月24日
倉島英二は63歳で、10歳年下の妻、洋子を53歳の若さで、悪性リンパ腫により亡くします。
英二は富山刑務所の職員で受刑者に工芸を教える仕事をしていました。
妻の洋子は亡くなる前に遺言を二通残し一通目には遺骨は故郷の海に散骨して欲しいという願いが、そしてもう一通は故郷の薄香という九州の町の郵便局に局...続きを読む留めで残していたことを知らされ、洋子と二人で乗るはずだったキャンピングカーで、旅に出ます。
旅先で元高校の国語教師で種田山頭火を愛読する杉野や、「イカめし」販売員の田宮、南原らと出会い数日間、一緒に旅をします。
杉野は元受刑者で、青森刑務所で、出会っていることに英二は気づきますが、英二は最後までそれを口にしませんでした。
杉野が再犯の容疑で、警察に捕まった時、何のてらいもなく、杉野のことを「友達です」と答える英二の人柄は本当に誠実であると再確認しました。
南原の口添えで、薄香に住む吾郎という漁師を紹介され、洋子の遺骨を散骨する場面は胸が熱くなりました。
「散骨してしまえば、墓参りに意味が無くなってしまう」という吾郎の言葉が響きました。
南原という人物の秘密にも驚かされました。
人と人との、縁を感じさせる物語でした。
森沢語録
「他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる」
「人生には賞味期限がない」
「不思議な偶然の出会いは、素敵な出来事の前触れ。三回続いたら、奇跡が起きる」