ジュール・ヴェルヌのレビュー一覧
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上巻に勝る、驚きの旅路が続きます。
前人未踏の海底世界へ、ネモ艦長がアロナックス教授らを導き続けます。
ネモ艦長はあらゆる海を制覇しましたが、それは南極点を除いてのことでした。
知的好奇心と冒険心を原動力に、彼らがそれに挑む姿が目に浮かびました。
しかし終盤になり、ネモ艦長は復讐心をもって行動を開始します。
普段の学者肌の男は、もうそこにはいませんでした。
結末は不透明なものとして有名です。
しかし、それがこの作品の魅力だと思うのです。
科学は自然に抗えないのか、科学は自然を支配するのか。
ノーチラス号の存在は、その問題そのものです。
そして、その科学を我々人類がどのように使うかを表現している -
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1864年に発表された本とは思えない、ワクワクの冒険本。岩波文庫独特のフォントとページのレイアウト(余白や行や文字の間隔)が少々苦手な私でも、そんなことを忘れて読んでいました。
登場人物は、何かと心配性でネガティブ思考の主人公、クレイジーで気難しいが優しいところもある研究者の伯父、温厚で寡黙な案内人。どこかで聞いたような人物像と人物の組み合わせですが、むしろこれが原型で、後に作られた物語に影響を与えているのでしょう。
この主人公が嫌々ながら伯父の冒険に同行し、ほとんど最後まで腰が引けているものの、予想外の快挙にそれまでの悲壮感を忘れて舞い上がってしまうところまで、現代の小説と変わりない展開で、 -
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ネタバレただ、時間に迫られながら一人の紳士が自分の発した言葉を実証するため全財産をかけて世界を一周するというだけの話なのに、どうしてこれほどまでに読者を魅了してくるのだろうか。不思議な力を備えた逸品だった。
そう、これは『旅』であって『旅行』ではないのだ。主人公である紳士フィリアス・フォッグは世界を廻る途中、一切観光というものをしない(一部例外を除いて)。代わりに召使のパスパルトゥーがちょっとした空き時間に観光する。だが、彼自身も旅が後半に差し掛かると一目散に道程を進んでいく。そのせいか、この『旅』はどこと無く全体的に計算式のような雰囲気が漂っている。フォッグは常に行程に掛かる日数や交通手段を計算 -
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ネタバレ最近ではこの物語の標題も「二年間の休暇; Deux Ans de Vacances」という著者がつけたタイトルどおりに翻訳された本が多いようですが、KiKi の子供時代にはもっぱら「十五少年漂流記」というタイトルで知られていました。 だから恥ずかしながらこの本が出版されたのを知った時、KiKi 自身はこの物語があの「十五少年漂流記」であることをちゃんと認識していませんでした ^^; ま、それはさておき、子供時代に KiKi が読んだその「十五少年漂流記」は先日ブログでご紹介した「世界少年少女文学全集」の中の1冊で抄訳版でした。 ですから今回が「全訳版」の初読体験となります。
以前、「ロ -
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いままで、ちゃんと読んでこなかった作品のひとつ。以前NHKの番組で洞窟探検のドキュメンタリー番組がありました。その中で、石灰が水中で数十メートルの綺麗な結晶となった後水がなくなって何百本もの巨大な結晶群が洞窟の中に残っているシーンがとても衝撃的で、いつかちゃんと読んでみようと思っておりました。なんという力強い、想像力をかきたてる物語でしょうか。プレートテクトニクス理論はこの作品の50年後にまとめられるため、地球の中心におりていく穴が1本ずっと続いているという設定には目をつぶるしかありませんが、それでも地底の息苦しさ暗闇の恐ろしさなど迫力満点です。う〜ん、なんという想像力。地球空洞説も魅力的なフ