あらすじ
ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた! 異形の〈怪物〉の目撃譚に人々はおののき噂した。白鯨か? 伝説の怪異か? はたまた超自然現象か? 議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。それが、驚くべき旅の始まりになるとも知らずに──。少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作、新訳。
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Posted by ブクログ
ジュール・ヴェルヌは地理、科学、博物学を元にしてSFを書いてるからなんか知識の幅広さがダーウィンに似てる。ダーウィンは小説は書いてないけど、ビーグル号航海記っていう旅行記が、事実は小説よりも奇なりで小説以上に面白いけどね。
「ジュール・ヴェルヌ
Jules Verne 1828年フランス、ナントに生まれる。ナントのリセを出たあと、 1847年法律の勉強のためパリを訪れる。 48年にアレクサンドル・デュマ父子と出逢い、劇作家を志す。地理や科学、博物学の広範な知識と、豊かな空想力を駆使して数多くの作品を発表した。空想科学小説の父と呼ばれる。主な作品に『地底旅行』『八十日間世界一周』『神秘の島』など。」
「この点をめぐって熱っぽい議論が交されました。私の論文は大きな反響を呼んだのです。支持を表明してくれる人もそれなりの数に上りました。この論文に示した私の見解は人々の想像力に翼を与える態のものでした。人間の精神というのは超自然の生物をめぐって壮大な夢を見たがるものです。そして、海はそんな夢にとってまさに最高のフィールドなのです。象にしろ犀にしろ、とにかく陸生の大型動物を小人同然に見せてしまうほど巨大な生物が生まれ育つ可能性のある唯一の場所、それが海なのですから。実際、海には現在知られる限りで最大の哺乳類が生息しています。ことによると、途方もないスケールの軟体動物、見るも恐ろしい甲殻類、例えば全長一〇〇メートルのオマールエビや重さ二〇〇トンのカニが潜んでいないとも限りません。誰がその可能性を否定できるでしょう? かつて地質年代には、陸生動物、即ち、四足動物、四手獣、爬虫類、鳥類は巨大な規格に合わせて造られていました。神がお使いになる鋳型はとてつもなく大きかったのです。その鋳型は時代とともに縮小していったのですが、もしかすると、海の知られざる深淵には今もなおかつての生命のさまざまなサンプルが息づいているかもしれません。そう、ほとんど絶えまなく変動しつづける地核とは対照的に、けっして変わることのない海の懐の中になら、巨大生物の最後の変種が潜んでいるのではないでしょうか? 海の巨大生物にとっては、私たちの一世紀も一年に、私たちの一千年も一世紀に過ぎないのです……。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「「商談のときはそうだろう。だが、ネッド、数学は違う。ひとつ聞いてくれないか。今、仮に、一気圧が高さ三二ピエ、つまり約一〇メートルの水柱の圧力に等しいものとしよう。いや、実際には水柱はもう少し低いものになる。海水は真水より密度が濃いからね。だが、ネッド、今は一気圧三二ピエと仮定して、その上で君が海に潜るとしよう。すると、深さが三二ピエ増すごとに、君の身体には一気圧相当の水圧が加わることになる。つまり、君の体表に一平方センチあたり数キロの水圧がかかるわけだ。深さが三二〇ピエになれば、水圧は一〇気圧相当になり、深さ三二〇〇ピエなら一〇〇気圧、そして深さ三万二〇〇〇ピエ、つまり水面下約二・五里のところまで潜れば一〇〇〇気圧というわけだ。ということは──もちろん、もし君がそんな深いところにまで潜ることができるとすれば、の話だが──、君の体表には一平方センチあたり一〇〇〇キロの圧力がかかる、という計算だ。ところで、我が親愛なるネッドよ、君は自分の体表面積がどのくらいか知っているかね?」」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「 その結果として「揺り戻し」が生じたわけです。まず失望感が乗組員の心を捉え、それが懐疑論への道を開きました。こうして艦内に新たな感情が生まれました。屈辱感が三割、残りの七割は怒りでした。幻に振りまわされるとは「何と愚か」だったか、いや、それより何より腹が立ってならない、というわけです。この一年間、営々と積み上げてきた論拠の山はがらがらと崩れ落ち、乗組員たちはそれまでむざむざ犠牲にしてきた貴重な時間を取り戻そうと、食卓とベッドを離れなくなりました。 人の心というのは変わりやすいもので、エイブラハム・リンカーン号の乗組員たちもその点で例外ではありませんでした。彼らは極端から極端へと走りました。今回の作戦を最も熱心に支持していた者が、最も辛辣な反対論者になり変わったのです。この揺り戻し現象はまず船底で生じ、石炭繰り水夫の持ち場から上層部の食堂にまで及びました。そこでもしファラガット艦長が並はずれた頑固さで立ちはだからなかったとしたら、フリゲート艦はきっぱりと船首を南に向けていたでしょう。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「私たちが助かるも助からないも、ひとえにこの乗り物を操っている正体不明の操舵手の気分次第でした。もし操舵手が海底に潜ろうなどと考えれば、それで一巻の終わりなのです。もっとも、その危険を別にすれば、私はかならず内にいる連中と連絡が取れるはずだと信じていました。というのも、彼らが自分たちで空気を製造しているのでない限り、ときどき海面に浮上して酸素を補給しているにちがいなく、そうであれば、かならずどこかに船の内部と外部を繫ぐ開口部があるはずだからです。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「私たちが助かるも助からないも、ひとえにこの乗り物を操っている正体不明の操舵手の気分次第でした。もし操舵手が海底に潜ろうなどと考えれば、それで一巻の終わりなのです。もっとも、その危険を別にすれば、私はかならず内にいる連中と連絡が取れるはずだと信じていました。というのも、彼らが自分たちで空気を製造しているのでない限り、ときどき海面に浮上して酸素を補給しているにちがいなく、そうであれば、かならずどこかに船の内部と外部を繫ぐ開口部があるはずだからです。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「「諸君、私はフランス語も、英語も、ドイツ語も、ラテン語も話せます。ですから、あなた方と初めて顔を合わせたとき、すぐに言葉を交わすこともできたのです。ただ、私はまずあなた方のことを知りたかった。そして、よく考えてみたかった。四つの言語によるあなた方の話は、大筋において完全に一致していました。おかげで、あなた方の素性も明らかになりました。今や私は、偶然の導きにより私の前に現れたのが、パリ博物館博物学教授にして国外科学調査担当官のピエール・アロナックス氏、その召使いのコンセイユ、そしてカナダ出身でアメリカ合衆国海軍保有のフリゲート艦エイブラハム・リンカーン号に乗船していた銛打ちのネッド・ランドだということを承知しています」」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「「艦長、あなたは海を愛しておられるのですね」「そう、愛しています! 海こそすべてです! なにしろこの地球の十分の七は海に覆われているのですから。海の息吹は清らかで健康的です。この海という果てしない砂漠で、人はけっして孤独にはなりません。つねに身近に生命の胎動を感じるからです。海は超自然的かつ驚異的な存在を回遊させています。まさに運動と愛の化身、あなた方の詩人の一人が言ったように、生きた無限に他なりません。教授、海には自然の三界、つまり鉱物界、植物界、動物界の三つが揃っています。海の動物界を代表するのは四種類の植虫類、三綱の体節動物、五綱の軟体動物、そして三綱の脊椎動物、即ち哺乳類、爬虫類、それに数多くの魚類です。魚類の数はまさに無限で、じつに一万三〇〇〇以上の種に分かれていますが、淡水に棲むのはその十分の一に過ぎません。海は自然の巨大な水槽です。この地球はいわば海とともに始まり、そしておそらく海とともに終わるのです。海には至上の安らぎがあります。世の専制君主どもに支配されていないからです。たしかに海の表面では、専制君主どもが不公平な権利を行使したり、争ったり、むさぼりあったりすることもあるでしょう。陸のおぞましいものをすべて持ち込んでこないとも限りません。ですが、水中に一〇メートルも潜れば、もう彼らの力は及びません。彼らの影響力、支配力は霞んで、無に帰します。ああ、教授、どうか海の懐に抱かれて生きてみてください! ここでは、そう、ここでだけは、人は独立を保てるのです! 私は誰にも支配されていません! 私は自由です!」」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「読書するときに本を置く書見台もいくつかありました。自由に閉じたり開いたりすることのできる軽量の書見台です。部屋の中央の大きなテーブルは仮綴本の山で覆われていて、本の隙間からずいぶん昔の新聞が数紙覗いていました。そのすべてが調和のとれた雰囲気を醸し出していて、そこに電気の光が降り注いでいました。光源は、天井の渦巻き装飾の中に半ば埋まるようにはめ込まれた四つのつや消しガラスの電球でした。私は心の底から驚嘆しながら、目を疑ってしまうほどみごとにしつらえられた部屋を見まわしました。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「私はどの植物も表層の粘つきによって地面に付着しているだけだということに気づきました。つまり、地中深くに根をはっていない、という意味です。また、植物は何らかの固形物をいわば足場代わりにすることはあっても、そこから生命力を汲みとってはいませんでした。植物にとっては、足場になってくれるものが何であろうと──砂だろうが貝殻だろうが、ウニの外皮だろうが小石だろうが──、そんなことはどうでもよいことでした。ここでは植物はいわば自力で生きていて、水にだけ生命を依存していました。そうです、植物を支え、養っているのは水だけだったのです。大半の植物は葉の代わりに薄い膜のようなものを付けていました。薄い膜の形は千差万別でしたが、それを彩る色彩は数が限られていて、ピンク、深紅、緑、オリーブ色、淡い黄褐色、茶色くらいのものでした。ノーチラス号の艦内に展示されていたのと同じ種類の植物もありました。もちろん、ここでは艦内にあるような乾燥した標本ではなく、生命の通った植物の姿を目の当たりにすることができたわけです。その例をいくつか挙げておきますと、風を呼ぼうとするかのように扇形に広がったクジャク・ウミウチワ、緋色のイギス、食用の新芽を伸ばしたコンブ、細い糸のように曲がりくねったブルウキモなどがありました。このブルウキモというのは長さが一五メートルもあって、先端が大きく広がっています。他にも、茎の先が膨らんだカサノリの束など、数多くの外洋性植物がありました。ただし、花を咲かせているものは一つもありませんでした。「興味深い異常現象であり、不可思議な世界と言うべきだ」と一人の才気ある博物学者が言っています。「動物界が花を咲かせ、植物界が花を咲かせないとは!」」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「た。「海には正真正銘の循環系が備わっています。創造主はそのシステムを作り出すのに、ただ海水中の熱素と塩分と微小動物を増やすだけでよかったのです。実際、熱素は密度の違いを生み、それが海流と反流を引き起こします。北極圏ではまったく認められず、赤道地帯ではきわめて盛んな現象、即ち蒸発という現象が、熱帯の海水と極地の海水を絶えず交流させるのです。さらに、私はこの目で見たことがあるのですが、海面から海底へ、また海底から海面へと向かう潮流もあるのです。これこそまさに海の『呼吸』と呼ぶべきものでしょう。海面で熱せられた水の分子は深海に沈み、氷点下二度で最高の密度に達しますが、さらに温度が下がると、今度は軽くなって海面に浮上します。この現象がどんな結果をもたらすか、それはあなたも極地で実際にご覧になるでしょう。そして、実際にご覧になれば、この思慮深い自然の法則のおかげで海が水面しか凍結しない理由もお分かりになるでしょう」」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「一月二日、私たちは日本の近海を出発してすでに一万一三四〇マイル、つまり五二五〇里を踏破していました。ノーチラス号の衝角の前には、オーストラリア北東の海岸線に沿って広がるサンゴ海の危険な海域が待ちかまえていました。私たちは恐ろしい暗礁が潜んでいる一帯──一七七〇年六月十日にはかのクック船長率いる船隊をもう少しで沈没させかねなかった難所──からわずか数マイルのところを進んでいきました。クック船長の船が岩礁に衝突しても沈没しなかったのは、ぶつかった衝撃で剝離したサンゴの塊がたまたま船体の裂け目を塞いだからに過ぎません。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「あいかわらず海は荒れていて、雷鳴を思わせるような凄まじい波が長さ三六〇里に及ぶ長大なサンゴ礁に打ち寄せていました。私はぜひともそのサンゴ礁をまぢかに見てみたいと思っていたのですが、ノーチラス号が傾斜翼を傾け、私たちを深い海の底に連れていってしまったので、巨大なサンゴの壁を眺めることはできませんでした。そのため、私はせめて漁網にかかった魚類のさまざまなサンプルを眺めて楽しむことにしました。とりわけ目を引いたのは、サバの仲間で、マグロのように大きなビンナガでした。その青みがかった脇腹に入った横縞は、命とともに消えてなくなります。ビンナガは群れをなしてノーチラス号のお供をしてくれた上に、極めて繊細な魚肉を私たちの食卓に提供してくれました。ビンナガの他に、ヘダイの仲間もたくさん網にかかっていました。これは体長五センチほどの魚で、まさにヘダイと同じ味がしました。また、海中のツバメとも言うべきニシセミホウボウも獲れました。ニシセミホウボウは暗い夜、体から燐光を放って空を飛び、水中と空中に弧を描くのです。軟体動物および植虫類としては、いろいろな種類のウミトサカ、ウニ、シュモクガイ、ニチリンサザエ、クルマガイ、オニノツノガイ、カメガイなどが引き網の網目に引っかかっていました。植物相はと言いますと、小孔から滲出する粘液にまみれたコンブやマクロシスティスなどの美しい浮藻が主な収穫物でした。その中に、私はみごとなネマストマ・ゲリニアロイドを見つけました。世の博物館で珍重されるものの一つです。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
「もっとも、カナダ人はそうしたパプアの植物相の美しいサンプルには見向きもしませんでした。目を楽しませるものよりも腹の足しになるものの方が大事だったのです。彼はココヤシの木を見つけると、さっそくその実をいくつか叩き落として割りました。私たちはココナッツミルクを啜り、果肉を食べて、ノーチラス号の日々の食事に覚えるのとは別種の満足感を覚えました。「こいつはうまい!」ネッド・ランドが言いました。「じつに美味です!」コンセイユが応じました。」
—『海底二万里 上 (角川文庫)』ジュール・ヴェルヌ, 渋谷 豊著
Posted by ブクログ
いつか読んでみたいと思っていた作品。読んでみました。
題名は『海底2万里』です。原題に書かれているフランスの単位「リュー」と日本の「里」が両方とも約4キロメートルなので、2万里と意訳されたそうです。深さではなく、北へ南へ行きながらの航行距離8万キロメートルのお話です。(地球1周は約4万キロ)
最初の方は北緯・西経の位置を地球儀で確認して何処辺りを航行していているか調べていたけれど、徐々に手を抜いて参照を見ずにとりあえず前に読み進めていきました。
この本が書かれたのは1869年。まだエッフェル塔がなく、蒸気船が全盛期の時代に、これだけ調べ上げ、生物や産業知識を詰め込んだ著者に尊敬の念以外ありません。
今読んでいる私でもこんなにワクワクしていのに、当時の人はどんな思いで読んでいたのでしょう。
ネモ船長の年齢が35歳から50歳?フランス人ではないよう?…航海の日にちの流れを感じつつ、こういう設定にできるのは、本ならでは。
『地球に必要なのは新しい大陸ではなくて新しい人類です!』と言うネモ船長。
なぜ現世を捨て潜水艦に住んでいるのか。潜水艦の乗組員は何者なのか?宗教観は?厳かな雰囲気で下巻に続きます。
Posted by ブクログ
ディズニーシーの海底2万マイルの世界観を知りたくて手に取った。本当にスゴイ!
100年以上の時が経っても色褪せない冒険。
そして、スキューバダイビングをする自分にとっては表現される海中世界が時にくっきり浮かび、ワクワクしながらページを繰った。次は下巻だか、しかしアロナクス教授たちは本当にもう今まで住んでいた世界には戻れないのか?
もちろん後半は、もっと沢山の海を冒険する話を読みたい反面、最後はどうなるんだろうかと早くも気になる(笑)
何でもできちゃう、超エンジニア、ネモ船長凄すぎ。下巻読んだらディズニーシーに行って海底2万マイルにまた行きたい。新たな視点で楽しめるだろう
Posted by ブクログ
ジュール・ヴェルヌの本はロマンと神聖さを感じる。アロナックス教授が青年・コンセイユ、銛付き・ネッドと一緒に巨大深海魚を探す。船が何らかの巨大物体と接触し3人が海へ投げ出される。巨大物体は潜水艦(ノーチラス号)であり、ネモ船長に囚われの身となる。この潜水艦の技術は最強で、ネモ船長の監視下で海底旅行をする。挿入絵が理解を深め、さらにその神秘さとワクワクが増す。イカの大群、珊瑚群生などは圧巻。また、とある島に上陸し、土民との戦いがあり笑ってしまう。色んな感情を引き起こしながら、ネモ船長との旅、下巻が気になる。⑤
多くの方々の感想、四畳半神話大系の主人公の愛読書?そうなんだ!
Posted by ブクログ
日常生活からの隔絶され、生死の手綱を他人に握られた人々は何を思い行動するのか
故郷への渇望、まだ見ぬ世界への知的好奇心、置かれた状況への淡い期待、絶望
自分達の命を握る潜水艦の主ネモ船長
脱出が許されない以外は最大限の限られた自由を与えてくれるが、時折激しい一面も見せる
突如として閉じ込められた非日常の中で人々はそれでも強く生きていく
※
※
まだ見ぬ、誰も知らない海の世界を旅する
それだけでもワクワクしてしまう世界観に限られた自由やネモ船長の見えない心の内
置かれている状況はいわば監禁だが、誰も見た事がない世界への好奇心が溢れ出す
そんな中での仲間との信頼や衝動、時折のぞかせるネモ船長の心のうちがただでさえ面白い世界観により一層の深みを与えてくれていると思います!
Posted by ブクログ
電車を乗り過ごしたほど!
理系男子向けの本かと思っていたので、私には面白く感じられるかなと半信半疑でした。
美しい装丁からの期待通り、いや、以上の面白さ。
ぐいぐい引き込まれます。
言葉だけでここまで楽しめる、想像をかき立てられるものに久々に出会いました。
20歳までに読んで欲しい一冊。
まだの方は死ぬまでに必ず!
Posted by ブクログ
★はじまりの本★
未知の海底で、奇想天外な大冒険
〈内容紹介〉
1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた。怪物の正体を暴くため、アロナックス教授は召使のコンセイユとともに船に乗り込む。航海の途中、海に投げ出されてしまった彼らが遭遇した怪物の正体とは…。
SF小説作家として有名なジュール・ヴェルヌが描く、ロマンあふれる海洋冒険。
〈おすすめポイント〉
美しく不思議な海底の世界が描かれており、実際に海底にいるような感覚を楽しめます!
Posted by ブクログ
多種多様な水棲生物の列挙を掻き分けながら、潜水艇ノーチラス号で世界中を旅するザ・海洋冒険譚。ノーチラス号とネモ船長の謎、大海原への好奇心を満載して海底へ。
ただ、何しろ古い小説なので、生き物の分類が今と異なる・いるはずのない生き物がいるなど…注意が必要。注釈を読んでね。オオサンショウウオが海を泳いでいた時には流石に笑った。
食べる文化のないはずのナマコが食卓に上がっているのは「sea cucumber(海のキュウリ)」だから…?
ていうか二万マイルって「水深が二万マイル」なのかと勝手に思っていたら「航行した距離が二万マイル」だった。
Posted by ブクログ
色んな学問の要素が散りばめられているんだけど、読んでて理解に苦しんだり引っかからない。
お陰で物語に没頭できる。
一方で巻末に膨大な注釈があるから、分からないまま終わることもない。
本編と図鑑や辞典を並べて読んだら、もっと深く潜れるんだろうな。
読みながら書かれた時代を何度も確認してしまうくらい、先見の明がある作品だと感じた。
あんなこといいな、できたらいいな、を説得力のある背景と一緒にお出ししてくれるからワクワクが凄く昂ぶる。
まだ半分あるのが嬉しい。
Posted by ブクログ
とにかく美しい!特に船外へ出て海底を散歩するシーンは、恐ろしくも美しく、一気に読んでしまった。
ノーチラス号の構造について描かれているところも、想像力を掻き立てられた。こういうメカメカしいのって、本当にワクワクする!!!
上巻最後の終わり方もとても良かった。下巻へ続く最高の締めかた!!!続きを読むのが楽しみだ。
Posted by ブクログ
今のところ、ワクワク海中大冒険という感じ
船のサロンから見える海中のきらびやかな様子だったり、潜水服を着ての散歩中の鮮やかな風景描写が綺麗。
魚、貝、サンゴなど沢山の名前が出てくる。脚注にて説明があるが、自分はコンセイユと違い分類学者では無いので分からないところも多い。
過去に海を制覇した歴史上の人物の名前や事件の名前も多く出てくる。ネモ船長もアロナクス教授も知識人なので、会話は雰囲気で楽しんでいるが、この船のロマンだけはよくわかる。
Posted by ブクログ
王道はやっぱり面白い SFという名に恥じない作品だった 特別な生物とかは出てこなかったけど、ノーチラス号や生物含めて全ての事物が我々”地上”のスケールとは異なっててめっちゃワクワクした 随所にある蘊蓄もリアリティを増してる
Posted by ブクログ
砕け散る大波の轟きに
炸裂する雷鳴が交錯し
うなる突風が水平線の
あらゆる方角から吹き
つける─
私のベッドはいつしか
嵐の洋上となり、
眠るつもりで読書灯を
落した闇のなかには、
本にしがみつく子ども
たちの姿が、
息を止め瞳を輝かせて
いる子どもたちの姿が
浮かびあがりました。
かつてノーチラス号に
乗船した星の数ほどの
子どもたちが、
微睡みのなかに浮かび
あがりました。
Posted by ブクログ
序盤は、長い!!!!難しい!!と思って読んでたけど登場人物同士の会話が面白かったり、SF展開にドキドキしたりと読み進めていく度どんどん面白い展開になっていき、アニメを見ているような感覚で読めました。
海の説明(?)についてや潜水艦の機能性などの説明が難しく書かれている部分があったけど解説を見ながら読み進めれば割と大丈夫でした。
下巻も買って読んでみようと思います!
Posted by ブクログ
ある日突如海に出現したクジラのような謎の物体の正体を明らかにすべく乗り出した、パリ自然史博物館のアナロクス教授とその助手、カナダ人銛打ちらが体験するミステリアスであり、これまでにないほどの好奇心をそそられる世界の物語。情景描写や固有名詞の細かさが抜きん出ていて、読み進めにくかった部分もあったが、総じて印象的な展開だった。
Posted by ブクログ
1870年刊行当時、最先端の技術・自然科学の驚異と神秘に満ちたこの本に読者は夢中になっただろう!4人しかいない登場人物、それぞれ異なるキャラクター、ノーチラス号の内装、海の恵みの豪華な食事、そして海底探検の描写!
Posted by ブクログ
森見さん作品にはよく?登場する本書。上巻までの感想。
冒頭の、謎の海難事故の発生から、正体不明の相手を海に捜索する場面は、あらすじをどこかで目にしていたので、何となく予想はついたが、それでもわくわくする展開だった。
ネモ船長と合流してからは、海中の珊瑚や、魚、哺乳類など、様々な生物の固有名詞がずらずら続く箇所もあり、ヴェルヌも大仰に描写しているのだろうが、やや読みくたびれることもあった。それにしても、海洋生物のみならず、科学や物理、哲学などの分野の学者名や、理論の詳細など、広範な知識をもとに、当時としては夢のような装置や技術にしっかり理論づけをして描いている。単なる絵空事というより、当時の現実から地続きの場所にある空想小説ということなのだと思う。
また冒険小説としても面白いが、ネモ船長の謎めいた言動の意味を考えたり、地上の人間への激しい憎悪の背景にあるものは何か、など、下巻ではさらに物語の深度が増すのではと期待できる。
Posted by ブクログ
冒険小説として初めての一冊。
海洋ロマンに溢れた一冊で細部まで描かれた表現力と挿絵が情景を具合的なものへと変化させてくれて読みやすかった!
ネモ船長が陸地を忌み嫌う理由が明かされておらず、下巻を読むのが楽しみです。
Posted by ブクログ
「あなたは不思議の国を旅することになる。」そうネモ船長が告げた通りに、海の幸が並べられた豪華な料理や整った設備の数々、魅惑的な海底の散歩等に惹き込まれていった。
この物語がどう終点するのかを期待し、下に続く。
Posted by ブクログ
上下巻の装丁の繋がりの登録順番を間違えて、再登録しました。いいね登録をいただいており、そちらも削除する事になり申し訳なく思います。
なんか気になってしまって。
1870年 SF海洋冒険小説。
ディズニーシーの「海底2万マイル」のモチーフ。
乗った事も行った事もないけれど。
第一部
1. 逃げる岩礁
1866年世界中の海で、鯨の様な何かが目撃されて、多くの船が接触等で事故に遭う。
2.賛否両論
海洋研究者アロナクスが「海洋の神秘」という研究が認められてアメリカの調査船に乗り込む事になる。
3.旦那様のお気に召すままに
忠実で献身的な召使の若者コンセイユを伴い、エブラハムリンカーン号へ。
4.ネッドランド
フランス系カナダ人の鯨漁銛撃ち名人ネッドランドが、一角獣と思われている奇獣を撃つ為、同乗。
5.行きあたりばったり
他船の船長が、ネッドランドに鯨漁を依頼。きっちり仕留める。日本からアメリカあたりを航海。乗組員達に不満が積もる。
6.全速力で
遂に巨大生物と遭遇。全速力で追跡。最大火力で近づくも、衝撃で海へ投げ出される。
7.新種のクジラ
研究者とコンセイユ、ネッドランドは、海上で鯨の正体が、鉄板でできていると知る。
8.動中の動
三人は、鯨と思われていた潜水艦の中に誘導される。
9.ネッドランドの怒り
食事はでるが軟禁状態の三人。
10.海の人間
潜水艦の持ち主は、ネモ(無名)艦長。三人の生活は、保障するが、地上に戻すつもりは無い。
11.ノーチラス号
潜水艦はノーチラス号。艦内を案内され、素晴らしい部屋、名画、書物に感動。
12.全ては電気で
艦内はオール電化。
13.いくつかの数字
ノーチラス号の優秀さを具体的な数字で表現。
14.黒い川
黒潮の流れに乗り日本の近くを渡航。潜水艦の窓からの海底の驚愕。
15.招待状
ネモ艦長から、森で狩猟ののお誘い。陸に上がれると思いきや、海底の狩猟だった。
16.海底平野を散歩する
潜水服を着用して海底散歩。海底の森へ。
17.海底の森へ
ネモ艦長の所有する海底の森の水中動植物に圧倒。
18.太平洋の海面下を4,000里
太平洋の海底で出会う様々魚類。そして海底に沈むフロリダ号
19.ヴァニコロ島
海底に見る多くの難船。サンゴの墓に眠る。
20.トレス海峡
パプアニューギニアのサンゴ礁の海底を進む。ノーチラス号が座礁か。その間、ボートで島に上陸する三人。
21.陸上での数日
久しぶりの陸地。果物、パンの木、鳥と陸のご馳走に大喜び。
22.ネモ艦長の電撃
島の原地人から襲撃を受ける。電撃手摺で反撃。
潮が満ちて、サンゴ礁から抜けトレス海峡を抜ける。
23.病的な眠り
再び海洋航海。再びの軟禁状態。夕食後、激しい睡魔に襲われる。
24.サンゴの王国
目覚めると乗組員の一人が瀕死の重傷。脳挫傷で助けられない。亡骸をサンゴの墓に埋葬。
まだ潜水艦が実用化されていなかった時代に、詳細な海底の様子などに驚く。
ネモ艦長の正体、この社会を拒絶した生活の意味するところは、下巻へ。
Posted by ブクログ
巨大クジラの様な物体が世界中の船の運行をさまたげてる。乗り気ではないアロナクス教授が調査に駆り出された…
まともな潜水艦が存在しない時代に海底移動する船の話を想像し、具体的な航路を表現していて読者の心を惹きつける。これはたまらん。
Posted by ブクログ
「不思議の海のナディア」の原作ということで海洋冒険物語を期待して読むとかなり期待外れとなりますね。ノーティラス号とネモ船長は登場するけど、原作表示は必要だった? とはいえ、素晴らしい挿絵とともに深海の旅を楽しめる作品でした。
Posted by ブクログ
装丁が綺麗。
雪組のCaptain Nemoを見て、海底二万マイルってまさかこんな話じゃないでしょ?!と気になりすぎて買ってしまった。文学史の中の存在として名前・著者名しか知らなかったけど、勉強になりました。
1869年刊ということで、海底世界の魚や植物の様子、世界中の地形や海の様子を想像しながら冒険旅行を楽しむ物語だったのだろう。
下巻の最後まで読むと、何が原作に描かれていて何が谷先生の創作かが分かってすっきり。
次はパルムの僧院読もう〜
Posted by ブクログ
SFの名作だが、なんか自然現象や海の生物の事典を読んでいるようだった。でも出版時の19世紀後半では一般人には本を読むという習慣はなかったと思うので新鮮だったんだろうな。さて時間はかかりそうだが後半を読みましょう。
Posted by ブクログ
140年前に出版された名作ですが新鮮です!
書店で装画を見たときにワクワクして上下巻共に買ってしまいました。この本は新潮文庫の新訳名作コレクションでしかも刊行当時(1871年)の挿絵をふんだんに収録してあり古典空想冒険小説の新しい装いに気持ちが早くも海底の旅に巻き込まれます。
物語は1866年に世界中を航海する船舶から超大型級鯨が多数目撃される、1867年には大型客船との接触事故が発生し航海の安全と世間の注目からアメリカの軍艦により化け物鯨の退治が実施された。
多くの読者は既知の事と思いますがこの鯨の正体”ノーティラス号”は船長”モネ”によって世界中の海を航海する大型潜水艦でアメリカ軍艦に乗り合わせていた博物学者”アロナクス”とその執事”コンセイユ”、銛打ちの”ネッド・ランド”がノーティラスに拉致されてから大洋を航海する日誌的物語です。
作中には様々な海洋生物や植物が登場し少々うんざり感もありますが、何と言っても未だ見ぬ海底世界がページを繰る毎に目の前に広がりとても140年前の小説とは思えません。やはり名作古典と言われる作品ですね。秀逸なのはモネ船長や乗組員の謎めいた行動や思考が深く暗い海底にシンクロしてこの旅の最初から最後迄目が離せないところです!