あらすじ
科学技術の粋を集めた最新鋭潜水艦ノーチラス号! 超絶の能力を備えたその潜水艦を自在に操るのは奇妙な影を湛えた謎の人物、ネモ船長。彼はいったい何者なのか。そしてその目的とは? 世界の海での冒険行を余儀なくされた、教授たち3人の運命は……。19世紀の最新科学の知見をふんだんに取り入れたヴェルヌ渾身の原文を忠実に翻訳、刊行当時のイラストもすべて収録した完訳版。
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Posted by ブクログ
第二部となる下巻は、第一部と比べて物語の展開や登場人物の感情が激しく動いていた印象で非常に読み応えがあった。特に後半は、観察眼がありつつも意外と感情の上下があるアナロクス博士の視点から見える状況にハラハラさせられた。
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19世紀のBBCアース、その圧倒的な物語。
影響を受けた物語や映像は数知れない、超名作。
地球にある海はつながっているという事実を再認識するような壮大な行程の中で、生物・鉱物・地形、それらがガイドブックのような詳細な記述で当時の解釈や想像の中から生み出されて、まるでノーチラス号の小窓から見ているような描写が出来上がっている。
一方で、ミステリアスな書き出しや、偶然から同乗した教授たち三人の置かれた状況、ネモ船長たちの謎、航海が進むにつれて被ったり挑んだりするノーチラス号の冒険の様子など、読み物としての魅力も圧倒的。
文字通りのサイエンス・フィクションであり、決して子供だけの物語ではないことを明らかにするという、新訳の試みは成功した。
Posted by ブクログ
ジュール・ヴェルヌの海底冒険ものに圧倒された。巨大タコやサメとの壮絶な戦い、南極での酸素不足、敵艦からの襲撃等旅行中の修羅場が多数あり、手に汗握る。読書による映像がバーチャルリアリティー化のように思うほどの描写力に作者の想像力が卓越していたんだろうと思う。ネモ船長がなぜ人間社会から隔絶し復讐に燃えていたか?ネモ船長の発明品を世に知らせるためにアロナクス教授を受け入れ海底旅行を続けた。ネモ船長が人間社会に諦めを感じただけではなく、自分の発明品が正しく使われる日が来るのを夢見ていたのだろう。男のロマンだね。⑤
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今でこそ光の届かない深海を探る手立てがあり、深海の生態系について(僅かでも)知ることができている。それはつい最近の出来事であると、無生物な荒涼とした深海の描写で思い知らされる。深海1万メートルにもヨコエビの仲間が生息しているらしい、と判明したのはつい最近の研究によるもの。
大西洋に海底ケーブルが敷設され、地球上を循環する大海流の存在が判明していても、150年前の海中はまだまだ未知の世界。漁師や船乗りの話、貴重な標本から判ることにも限りがある。それは海にはロマンがあっただろう。
今でも、「地球最後のフロンティア」と呼ばれる深海にはまだまだロマンが潜んでいる。いつかは私も、アロナクス教授のようにこの目で見てみたい。
また、読んでからディズニーシーの海底二万マイルに乗るとなんとも趣深いというか、ネモ船長の解釈違いで体が痒くなるのもまた一興。もっと陸の人間を蔑んで欲しい。
Posted by ブクログ
この作品を通してネモ船長の存在感が凄まじい。
海や海洋生物、また機械工学など幅広い知識を持つ「ノーチラス号」の船長。
「人間」を嫌う人間社会とは切り離された世捨て人のような人物。
ある時は冷静に、またある時は情熱的に。
アロナクス先生が、最後に会いたい気持ちと会いたくない気持ちが葛藤していた気持ちが分かる気がする。
尊敬と嫌悪。
謎に包まれたままの「ネモ船長」。
まさに「誰でもない人」。
最後、ネモ船長率いるノーチラス号があの事件で航海は終わってしまったのか、まだ航海を続けているのか、
はたまた、航海が続いている場合、まだ復讐はおわっていないのか、それとも、、、、
っと、余韻が残ってその後のネモ船長、ノーチラス号、その乗組員たちを想像してしまう。
作中にはさまざまな海洋生物の名前も出てきて、知っている名前から知らない名前まで、ネモ船長とノーチラス号に導かれながら未知と遭遇していく旅をしているかのようで、2万里の冒険を楽しめた。
Posted by ブクログ
フランスの古典小説。様々な装備を満載した潜水艦で世界の海を冒険する物語はメカ好きならば惹かれること間違い無し。海底という現代でも良く分かっていない未開の地を渡り歩く様は未知との遭遇の浪漫を感じさせる。また、海洋生物に関する細かな描写もあり当時は科学雑誌にて連載されていた形跡が見て取れるのも面白い。
Posted by ブクログ
積んでたけどやっと読み終わった!
氷に閉じ込められて窒息死しそうになるシーンが怖すぎてトラウマになりそう……
アロナスク先生とコンセイユのやり取りがかわいい。
挿絵がとても素晴らしくて読書してる!って気分になった。
最後にネモ船長の経歴がわかるのかと思ったら生死も謎のまま終わって消化不良。
「神秘の島」でまた出てくるらしいけど、インド人の元王子でイギリスとの戦争で妻子を失い復讐心を燃やすようになったそう。
Posted by ブクログ
上巻に比べ読みやすく感じた。
ディズニーの海底2万マイルの印象が強かったので、ネモ船長の性格が想像とは違って面白かった。だが残虐な描写が多くて読んでいて辛い瞬間が多かった。
ネモ船長の背景を考えるとまた悲しくなる。
全体的には海底の神秘やロマンを感じて、ワクワクした。
Posted by ブクログ
相変わらずのコンセイユの面白さ。コンセイユ推しです。
下巻はさらにワクワクの探検が重なります。
その中でネモ船長の心の内が垣間見えて悲しい人だとわかるのですが、彼の曲がった正義感がなんとも言えないモヤモヤ感を残します。
このあとネモ船長たちはどうなるのでしょう…。考える余白を多く残したまま物語が終わりました。
登場人物が少なく、ストーリー展開は複雑ではありません。
多くの知識が込められたSF小説ではあるものの、登場人物の考え方 — 知への欲求、自然への挑戦、自由と自己実現など、現代と全く変わらない不変のテーマに基づいていて、全く古さを感じません。
だから名作と呼ばれるのでしょうね。
Posted by ブクログ
知的好奇心をくすぐる壮大な冒険活劇!
とても有名な作品ですが、実は名前だけ知っていた程度で、読むのは今回がはじめてだったのですが、本当に面白かった!
ネモ船長、アロナクス教授が連れていってくれる海底旅行をたっぷり楽しめました
何より特徴的なのは主人公アロナクス教授が語る海底生物の緻密な描写と膨大な脚注!
訳者あとがきにもありましたが、当時の人々にとって写真はまだあまり一般的ではなく、想像力を膨らませながら読んでいたとか…
百聞は一見に如かずと言いますが、本書に限っては色鮮やかな情景がありありと目の前に浮かぶので、教授達と一緒に旅をしてる気分になれます!
また、かなり高い頻度で挿絵が入るので文章についていけなくても問題なし!笑(幼い頃はこういう挿絵が気になってページをめくる手が止まらなかったなぁ…)
ワクワクしながら海底を旅できる、素晴らしい物語でした!
Posted by ブクログ
★★★★ 何度も読みたい
世界各地で目撃される謎の巨大海洋生物。その捕獲をすべく乗り出した教授たち3人は、事故で海に投げ出された際、その巨大生物の上に漂着した。なんとそれは生物ではなく、陸の生活を捨てた者たちが暮らす高性能な潜水艦・ノーチラス号だったのだ。教授たちの奇怪な冒険が今始まる。
といった感じの上巻では、まだ誰も目にしたことのない海底の光景、更にその散策など、海底の冒険に主軸があった。しかし下巻では一転して、ノーチラス号のリーダー・ネモ船長の謎が深まり、不穏な雰囲気が漂う。
上巻では細やかな海底の様子が綴られているが、(下巻でそれらが消え失せることはないが)下巻では海底世界の紹介者としてではなく、人間としてのネモ船長に焦点が当たっている。
個人的に潜水艦での軟禁生活に否定的なネッドと船長の肝心な時には助け合う関係が好きだったので、教授やネッドと船長が仲違いしたままに終わってしまったことは少し寂しい。
Posted by ブクログ
巷にあふれる刺激的な
あれやそれにすっかり
心を奪われて、
現代に生きる私たちは
玩具箱の底にうっかり
忘れてる。
自分たちが住まう惑星
に満ちる壮大な浪漫を。
次々にその興味の対象
が移ろう幼子のように。
それはもう仕方のない
ことだけれど、
いずれ目の前の玩具に
飽きるときがきたなら、
傍らの玩具箱の奥底で
ひっそりと輝き続ける
それを思い出すときだ。
未知なる深海の世界へ、
どこまでも深く我々を
いざなうノーチラス号
のことを。
Posted by ブクログ
前作の続き
なかなか希望が見えない、閉ざされた自由が続く中でそれぞれの心の内は大きく揺らいでいく
より一層故郷への渇望をつよめる者、知的好奇心が勝る者、すれ違っていく人間関係に心を擦り切らす者
より垣間見えてくるネモ船長の暗い過去と何者かに向けられた激しい怒り
そんな不安定な状況の中で自然の脅威までも襲いかかってくる、絶体絶命のピンチや突如として訪れる小さな脱出への道を前にした時にアロナクス博士達が選ぶのは
※
※
上巻に引き続きとても引き込まれる世界観になっています。
これまで無敵に思えたノーチラス号を襲う大自然の脅威、正体不明のネモ船長が見せる激しい感情
物語は静かに、時には激しさを伴いながらクライマックスへと向かっていきます。
アロナクス博士達の冒険の終わりには何が待っていたのか、、、本当に最後まで釘付けの1冊でした!
Posted by ブクログ
児童文学ということで気楽に読み始めたものの、予想以上に想像力が必要だった。
序盤〜中盤は、海洋生物を列挙することに大半のページが使われており、多くの生物は分類学上でどこに位置するかが書かれているのみ。文をさらっただけではピンと来ないことが多かった。
あまり細かいことは考えず、ふんわりと想像しておくのが良いのかもしれない。
Posted by ブクログ
どこか不穏なネモ船長のすべての謎を残したまま、物語はクライマックスへ。無期限にノーチラス号に閉じ込められるという極限状態は、ロックダウンの時になんとなく似ている。しかし知的好奇心は、そのような状況も救うのだ。
Posted by ブクログ
ちょいちょい入る海の生き物の名前列挙するやつ、全部読み飛ばしたけど、すごい知識量、勉強量だなーと思った。二万里なのか二万マイルなのか二万海里なのか、よくわからないまま生きてきた。そして、どれでもないということがわかってよかった。どうやら正解は2万リューらしい。リューと里でたまたま音が似てるし、たまたま距離も近くて2万リューで8万km(2万里は約7.8万km)らしい。これからは、堂々と「二万里」派を表明して生きていける。あと、数字の前に「海底」という単語がくっ付くせいで、海面から下方向に向かって2万里だと思ってたけど、これも違った。
Posted by ブクログ
下巻の途中からトラブルが起こったりネモ船長の秘密みたいなのがわかってきて急激に面白くなった。最後の終わり方も完璧やったな〜。また読みたくなるわー。ネモ船長の毒舌がおもしろい。
専門的な人もそうでない人も楽しめる作品でした。
Posted by ブクログ
リアリティが凄い。
本当に教授の手記なんじゃないかと思ってしまうくらい、現実と空想のギャップがない。
上巻が続く海洋冒険ロマンから、少しずつ不穏な空気が漂い始めてからラストへ至る勢いもとてもよかった。
謎が謎のまま終わったところが、むしろ読後のドキドキ感を残してくれた気がする。
現代技術なら、ノーチラス号は再現できるのだろうか?
Posted by ブクログ
私のSF好き(というほどでもないが)の原点ってなんだろう、と考えてみたら、たぶん子どものころ母に薦められて読んだ『海底二万マイル』ではないかなと。はじめは書名を口頭で聞いて、「海底に"まんまいる"か(知らない動詞だな)」と思った記憶がある。ちなみに今回私が読んだ翻訳本の訳者の解説によると、マイルという訳はあまり適切でないらしく、英訳でも使われていないとか。でも私のなかでは二万マイルだ。
小学生のときも面白かったのだし、名高い古典だし、いま読んでもきっと、いやよりいっそう面白いだろうと思って読み直したところ、やっぱり面白かった。でも、歴史や科学の解説的な部分は、読んでいるときの気分に応じて面倒くさいときは躊躇わず飛ばし読みしたので、まだまだしゃぶったら美味しいのに残している部分はありそうだ。
(いつも通りあらすじなど紹介せず感想だけ)
・語り手であり主人公のアロナクス博士は、立派な学者先生ということで一応みんなから敬意を払われているし常識的で善良な人物だが、胆力みたいな点では誰よりも"ふつう"で、"ふつう"にビビったりヒヨったりキョドったりするところが好き。英雄的でない主人公いい。
・ネモ船長の秘密が明かされるようで明かされない感じとか、うまい。作品の普遍性の秘密はこういうところなのか。
・フランス人である語り手のアロナクス博士(時にその従者のコンセイユ)に、「カナダ人はほとんどフランス人」「いつも冷静なフランドル人」「毎日ステーキでも構わないようなサクソン人」「答えに窮することなどあるとは思えないアメリカ大陸の住人」などと言わせているところが興味深い。同じ関西人でも大阪と京都では気質が違うーみたいなステレオタイプ、を遊ぶ感じ、の19世紀バージョン、みたいな。21世紀バージョン知らんけど。○○人て括るなよ、という理性が全く感じられない。
Posted by ブクログ
上下巻、ちがう出版社(翻訳者)のを読んでみた。
下巻の方が好き。
色々感想はあるのだけど、登場人物が少ないのにドラマチックな物語だった。
船長は謎めいていて、本当はいい人なんだろうなと思える場面がいくつもあった。
きっと、すべては謎のままのほうが、いい作品なんだろうな。
衝撃を受けたのは、150年前の時点で、乱獲により絶滅してしまうであろう海の生物が書かれていたこと。
ラッコ、マナティー、など
今もいるけど、確かに少ない。
全編にわたって、かなり詳しく海の生物のことが書かれていて、残念ながらそこは退屈で、読み飛ばしたりもしたけど、海底の旅行はドキドキした!
とはいっても、私は海があまり好きではないので、少し恐怖も感じたけど。
今度は地底の旅を読もう。
Posted by ブクログ
明治2年から3年に執筆された本ということにまずは驚かされる。当時の科学、博物学に作者の解釈を加えて描かれていると思われるが大筋は今でも通用しそうですね。あらを探さずにミステリーツアーをアナクロス先生目線で楽しむべきです。海洋生物や過去の出来事の羅列には間延びしてしますけど、訳者も書いている通り、当時の読者には未知なる世界の想像の幅を広げるのに役立っていたんでしょうね。ネモ船長や乗組員の正体については度々伏線を張っているにもかかわらす、作者の想像に任せるかたちで少々残念かな。終盤の戦艦撃沈の理由は明確にしてほしいところ。ただ、アナクロス先生が脱出を決意するきっかけとしては必要なので謎のままにしておくべきだったのか。
役者の丹念な翻訳に感謝です。題名が「マイリ」ではない理由もわかりスッキリしました。
また、当時のものをすべて収録している挿絵もとても楽しめました。
Posted by ブクログ
子供の頃手にしたものは多分ダイジェスト版だったのだろう。
再読と言うよりは初読。きっかけは『すべての見えない光』の主人公マリー・ロールが夢中で読みふけっていたこと。ノーチラス号に閉じこめられたアロナクスにマリー・ロールのイメージが重なる。
これは子供向けの冒険小説ではない。文学作品として鑑賞に堪え、現代でも古びていない。
Posted by ブクログ
新潮文庫の上下を横に並べると、ノーチラス号の絵が出現する。その表紙の絵が気に入って購入。
1870年に発表された作品と聞いて少々驚く。
日本では明治3年。大政奉還から3年しか経っていない!この時代に、フランスではこの内容の小説が読まれていた事実に衝撃を受ける。
謎に満ちたネモ船長率いる潜水艦ノーチラス号に偶然乗り合わせた博物学者のアロナクスらが、海の中の驚くべき世界を10ヵ月間冒険するお話。
今から150年以上も前に書かれたものとはとても思えない。それもそのはず、当時は潜水艦なるものはなかった。お話の全ては作者の頭の中にあるもの。
作中にでてくる海底の描写。特に、様々な生き物の描写はカタカナの表記で味気ないものがあるが、全ての生き物がいきいきと描かれ、まるで海の中に宝石が散りばめられているようだ。
今から40年以上も前、中学生の頃にもしこの本に出合っていたなら、あれほど嫌だった夏休みの読書感想文の宿題もさぞ捗ったことだろう。
Posted by ブクログ
一面に広がる氷と雪の白い景色の中、新鮮な空気を取り込もうと肺一杯呼吸する様が読んでいて気持ちがいい。
外界から遮断され、何者にも邪魔されず豊かな生命と共に生活していた中、余りにも虚しい転機であった。
最後まで謎に包まれた人物であったが、オルガンを弾くモネ船長の姿は酷く悲しく感じられた。
Posted by ブクログ
フランスの海洋生物学者アロナクス教授、助手のコンセイユ、銛打ちの名手のカナダ人ネッド・ランドは、潜水艦ノーチラス号の調査に向かったところ、そのノーチラス号の襲撃を受ける。
幸運にもノーチラス号に打ち上げられその船長であるネモに救助された3人は、ノーチラス号の半年間の海中旅に同行する。
終始おびただしい数の生物学名が出てきて少し読みにくかったです。
物語というよりは、絵のない図鑑や百科事典を読んでいるようでした。
ただ下巻は物語にも盛り上がりが出てきて、棚氷に巻き込まれた話や海底でサメと闘う話はハラハラしながら読みました。
原本と同じ挿絵が使われていたのも良かったです。
ネモ船長の国籍や、なぜ陸を捨てて海で生きることを選んだのかなど、、
疑問は残ったままです。
Posted by ブクログ
requin(フランス語でサメ)という言葉がrequiemから来ているという説明があったが、もしそれが本当なら面白い話だなと思った。
上巻を思い返してみると、具体的な母国語が特定できず、最初からずっとネモ船長の国籍は最後まで明かされない。そして彼の暗い過去も完全な詳細までは語られない。それはまるで、まだまだ明らかになっていない海の秘密のようでもあり、ノーチラス号から脱出した後の彼がどうしているのかを想像する余地を与える締めくくり方も個人的に好みだった。