・原書の発想も凄いが、
翻訳のセンスが凄すぎる。
翻訳でこんなに味が出るとは…
フランス語ができる人であれば、
合わせて原書も読んでみたら、
より楽しめそう。
・本文はもちろん面白いが、
訳者のあとがきを最初に読んだのはよかった。
訳者が苦心したこと、
翻訳しながら考えたこと
またそれぞれの章の注釈が書かれているので、
より味わって読むことができる。
・書かれている文章の内容は同じ。
でも、書き方が違うとこんなに印象が変わるのかと驚かされる。
21区別
バスのなかで(風呂の話ではない)、わたしは、ひも(女に貢がせる男のことではない)を巻いた帽子(某氏ではない)をかぶった男を見かけた。
(ぶった男を見限ったのではない。)…
和訳センスが面白すぎる!
35語頭音消失
衝撃的。
たしは とで っぱいの スに った。
スの かには びが るで リンの うに がい
かものが た。…
これでも、なんとなく読めてしまうから不思議。
46音の反復
7行ほどの文章の中に
ぶん
と言う言葉が33回も出てくる。
洒落
になっている。
70語頭音付加
まある日の、ど小五ごろ、べ混雑した、さバスの、お後部デッキで、な私は、とある、お若者を、も見かけた。…
72だくでん
ひらがなに、濁点を打ちまくった文章。
普通の日本語では、濁点が付かない所にも
(例えば、うに濁点など)ついてるところが面白い。
役者あとがき
翻訳を通じて感じた事は
自分の無力さであり
日本語の無力さではなかった。
フランス語以上に、
日本語を探検する良い機会となった。
日本語は相当奥の深い柔軟な言葉である。
本文の中では一切説明しないこと
もしもクノーが現代の日本人だったら、
どんな文体にしただろうかと想像しながら言葉を選ぶことを方針とした。