あらすじ
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遭難中の五人の男たちが、安定した暮らしを築きあげたリンカーン島に、不穏な空気がながれだす。黒い旗を掲げて出現した船は、海賊船だった。少年ハーバートが、海賊の凶弾に倒れる! 男たちは、かつてない危機にさらされるが、またしても謎の力が、彼らを救った。そして、この島をみまもっていた神秘の力を持つ人物についにめぐりあう。謎の人物の驚くべき正体とは。『海底二万里』のジュール・ヴェルヌが描く壮大な冒険小説。
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Posted by ブクログ
無人島に不時着した遭難者たちの物語最終巻。仲間も増え、安定した生活を手に入れた彼らは海上に船を見つけるが、その正体は脱獄した囚人の集団だった。悪漢どもに島は荒らされ、銃撃戦が起き、命の危機に瀕する少年。行方不明になる仲間。数の暴力と医薬品の不足、もう助からない……次々と襲いくる絶望。誰もがおしまいだと悟ったそのとき、謎の存在が彼らに救いの手を伸ばす。彼らは謎の存在に感謝の気持ちを伝えようと、「彼」を探すことに決める。そして、彼らが開拓してきた島にも重大な変化が。
怒濤の展開に、読む手が止まらなかった。どこから狙われているかわからないゲリラ戦はハラハラし、少年が衰弱していく描写は読んでいて辛かった。奇跡を願う彼らを助けてくれる存在。正体不明の「神秘」の力が宿る島。それがこのシリーズのタイトルの意味だったのかと、最終巻にして理解しました。
私が好きなのは、その「奇跡」をサイラス技師がそのまま受け入れていたのではなく、多少の疑念と反発心をもちつつ感謝していたこと。援助をただありがたがるのではなく、その正体を突き止め、なんとしてでも感謝を伝えるべきだと強く思っていたのが人間らしくていいなと。
そして彼らは奇跡の正体に出会う。「あなたの名前を知っています。船の名前も。だって、あなたは『海底二万里』という本に書かれていますから」「なんだって!?」
こういう展開、私はとても好き。本の中の人物が、まるで実際に存在しているかのように思えて面白い。
そこで明かされる彼の過去や思惑、願い。年数のつじつまが合わない部分もあるけれど、これは間違いなく『海底二万里』の続編。あれほど人の世を嫌っていた彼が人を助けた。死を前にした彼の願いは、多数の人間を海底に沈めた罪深い自分への、他者からの断罪。
本当に良かったなと思ったのは、クルーたちを次々に看取ったネモ艦長が、誰にも看取られずに死んでいく未来もあったはずなのに、それを避けられたこと。それだけではなく、縁を切ったはずの人間たちから感謝され、安らかにと祈ってもらい、大事なノーチラス号と共に海へ埋葬されたこと。
その後、島は大変な事態に陥るのですが、そこで「こんな大変な目に遭わなくて済んで、ネモ船長はタイミング良く死んでよかったよね!(超意訳)」と言われているのが面白かったです。ほんとそう、彼はすべてにおいてズルい。島がボロボロになって、間に合え!と頑張って造っていた船もズタボロになって、岩礁の上、すべてを失った開拓者たちを助けたのも、言わずもがな。この展開はズルすぎる。伏線回収。ずっと鳥肌。ずっと涙。最後までかっこいい。ありがとうヴェルヌ。公式で彼の死を描いてくれて。ありがとうネモ艦長。ずっとずっと大好きです。よく頑張った仲間たち。皆、幸せになってね。会えて本当に良かった。うまくまとまらないので、また日を置いて語りたいです。
Posted by ブクログ
小学生の時に一度読んでいたものを、完訳版で再読。
科学の実用性がまぶしい19世紀の冒険小説。
まあでも、十五少年漂流記などは、明らかに自分の人格形成に関わっている。
ネモ船長がインド人だという設定など、改めて知ること多数。