【感想・ネタバレ】神秘の島(第二部)のレビュー

あらすじ

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男たちの住居にかくれていたオランウータンはジュップと名付けられ、愉快な召使いとなった。家畜の飼育や麦の収穫も可能になり、ますます安定した生活を送るようになった五人のところに、遭難者の助けを求める手紙がびんにはいって流れついた。陽気な水夫ペンクロフを中心につくりあげた船で、タボル島に救助にむかうが、そこで出会ったのは、人間の心を忘れたまるで獣のような男だった。『海底二万里』のジュール・ヴェルヌが描く壮大な冒険小説。

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Posted by ブクログ

無人島生活を始めた5人+犬1匹の物語の続編。着の身着のままだった彼らだが、各々の知識、発想、能力、献身等により、無人島をめざましく発展させる。不時着した気球の布地から衣服を繕う。家畜を育て、小麦を栽培、収穫してパンを作り、窓ガラスをはめ込み、待望の煙草をふかす。さらには、もはや「そうなんですね」と頷くことしかできない科学や物理学の説明の後、風車や水力エレベーター、電気通信施設まで整備する。水夫の言う通り、汽車を走らせる日も遠くない。技師が「今は必要ないから作ってないだけで、簡単だよ」と説明しそうなのが目に浮かびます。たとえるなら『どうぶつの森~無人島サバイバル編~』みたいな印象。人間ってすごい、知識を活かすってすごいなと、今から100年以上前に発表された作品を通じて、驚くばかりです。
島を開拓していくなかで、できることが増え、毎日新しい発見がある。彼らは仲間との話し合いを大事にし、感謝を忘れず、生活を楽しんでいる。何年経っても、仲間と協力することとか、やるなら楽しんでやるとか、感謝の心とか、人として大事なことはそんなに変わらないのかもなあと思いました。
エプロンを着て、給仕に従事する優秀なオランウータンの仲間が増えたのですが、彼が煙草を嗜むシーンはとても愉快で、ほっこりしました。
終盤で、物語は大きな展開を見せます。波打ち際に寄せられたボトルに入っていた、近くの無人島に遭難者がいるとの情報。船を作っての大冒険は危険を伴う。彼らは話し合い、海にこぎ出す者と留守を守る者に別れて捜索に向かうことにするのですが、見送るシーンの描写に、特別そわそわしてしまいました。次のページに、あっさり「これが彼らの今生の別れだったのである!」と書かれているのでは、と……杞憂で良かったです。
見つけた遭難者は長年の孤独により精神を病み、人らしさを失っていたのですが、時間の経過と開拓者たちの見守りが遭難者との距離を少しずつ縮めます。遭難者の罪の告白に対しそれを遮らない、肯定も否定もしない、受け入れる用意はあるから、君の好きにしたらいい、という感じの彼らの姿勢に、思わず涙ぐんでしまいました。彼らの未来に幸あれ。
第二部を読み切って、涙をぬぐって本を置く。そこで思い出しました。そうだ、そもそもこの物語を読み始めたのは、海底二万里に登場するネモ艦長に会いたいからだった。物語のあちこちで艦長の気配をひしひしと感じながら、最終巻【第三部】に続く。
読むのが楽しみだけど、彼らと別れるのがすでに寂しい。これからどうなるんだろう。

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2025年04月28日

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