中川右介のレビュー一覧

  • 歌舞伎 家と血と藝

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    歌舞伎を芸事以外の目線で見ればこう見えるのか、と感心した。明らかにこの後、自分の役者への見方が変わった。

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    2020年06月01日
  • 昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃

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    今年は没後50年。この本が出てから10 年。
    今も世の中に振動を与え続けるあの事件が、今年はどう語られるのか楽しみ。

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    2020年05月22日
  • 萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命

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    萩尾望都、竹宮恵子を中心に70年代における「少女マンガ革命」を時系列にたどる本。萩尾望都、竹宮恵子ともに存命なのに本人への直接的な取材がないのが残念。単なる事実の羅列だけでなく、萩尾望都、竹宮恵子、増山法恵の3人の関係性や確執について憶測を交えて語るのであればなおさら。
    とわいえ、戦後の少女マンガを通史として知るには良い内容の本だと思う。

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    2020年05月06日
  • 玉三郎 勘三郎 海老蔵 平成歌舞伎三十年史

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    三分の二ほどは、ちょうど見てきた時代のことだったので、いろんなことを思い出しながら臨場感を持って読んだ。確かに、あんなに舞台に出ていた中村屋さんや先代の猿之助さんがもう舞台に出ることはない(猿之助さんだってもうそうそう出られないだろう…)と思うと何か不思議な気持ちになる。ただ、あんなに出て持たないよなぁ、、と思ってもいた。本当にさみしい限り。。

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    2020年03月30日
  • 手塚治虫とトキワ荘

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     「トキワ荘」に関する文献は当事者のものを含め相当あるが、本書の特色は、手塚治虫と「トキワ荘」グループを「戦後の児童出版文化史の中に位置づける」という意識が明確なことである。戦前から戦後の出版社の動向に紙幅を割き、特に戦前は『少年倶楽部』、戦後は『漫画少年』の編集をリードした加藤謙一の役割を重視している。いかに優れた作家がいても、作品を発表する媒体がなければどうにもならないわけで、本来「編集者の視点」は出版文化史の研究・叙述に必須のはずだが、意外に忘却されている場合が多い。その点で本書は漫画のみならず、文芸や美術など他の隣接分野の歴史を分析する方法論にも見直しを迫っているといえる。当事者の証言

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    2020年01月30日
  • 江戸川乱歩と横溝正史

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    乱歩と正史を軸に、探偵小説に関連した出版社の興亡史が楽しめ、また、探偵小説家のキーマンである乱歩の交遊を通して、その他数多の探偵小説家の活躍状況も垣間見られて、探偵小説史(探偵小説業界史とでも言えば良いか…)としても楽しめる一冊でした。
    二人がタイトルになっていますが、下手に想像を駆使したりしてエモーショナルな方へとは筆を進めず、手紙、随筆や日記、出版実績などデータとして読み取れるところからの話を淡々と整理されているのが良かったですね。

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    2020年12月25日
  • 大林宣彦の体験的仕事論 人生を豊かに生き抜くための哲学と技術

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    ・他人のようにうまくやるより、自分らしく失敗しなさい。
    ・きっとあの戦争の中で、自身の「夢」の道を閉ざされた父や母の、「平和」とは誰もが己の信じる道を実現出来ることだという思いが、僕の背を押してくれたのだとも思う。

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    2019年12月03日
  • 手塚治虫とトキワ荘

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    日本のマンガの歴史に欠かせない手塚治虫とトキワ荘グループの漫画家たちを壮大なスケールで描いた大作。

    題名から予想した以上に裾野の広い広い作品。小学館、講談社など主に子供向けの出版社の興亡から、手塚治虫の同時代のマンガ家たち、貸本から月刊誌、週刊誌とTVアニメへの流れ。

    トキワ荘に住んだ藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎らはもちろん、松本零士、つのだじろうなどずっと広い視点からのマンガの歴史。

    圧倒的なボリュームの1冊、内容も非常に濃い。

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    2019年11月11日
  • カラヤンとフルトヴェングラー

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    ベルリンフィルの常任指揮者をめぐる骨肉の争い。芸術にはついてまわる、暗黒面。
    この本でチェリビダッケという第三の指揮者がいることを知った。

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    2019年07月03日
  • 出版社社長兼編集者兼作家の購書術(小学館新書)

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    編集者であり作家でもあり出版社の経営者でもあった著者が、本の本質や書店・古書店、本の整理など、本にまつわることを書いた本。

    本書は本の買い方や整理の仕方に特化した、面白い一冊です。

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    2019年05月27日
  • 1968年

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    1968は僕の青春だった。巨人の星、あしたのジョー、マガジン、サンデー、巨人連覇、村山、江夏は胸をワクワクさせた。

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    2018年11月07日
  • 江戸川乱歩と横溝正史

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    「松田聖子と中森明菜」「阿久悠と松本隆」そして本書「江戸川乱歩と横溝正史」、著者は二項対立による文化セクター勃興史というアプローチにますます磨きをかけているようです。今回のセクターは探偵小説。松本清張が登場し探偵小説が推理小説に変わっていくまでの乱歩と正史「ふたりでひとつ」の物語です。いや推理小説時代においてもポプラ社の少年探偵団シリーズや角川映画の金田一シリーズなどのように時代を超えたコンテンツになり得ていることがこのふたりの巨人の凄さです。だけど「明智小五郎と金田一耕助」のお話しで終わってはいません。「ふたりでひとつ」の物語とは、横溝が「新青年」編集者として乱歩の『パノラマ島綺譚』と『陰獣

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    2018年03月29日
  • 阿久悠と松本隆

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    1975年から1981年のオリコンヒットチャートを辿っているだけなのに、そこには日本の社会の変容の物語が投影されている、という本です。なぜ、この時期か?たぶん1960年生まれの著者が人格形成し社会と向き合い始めた時期であろうし、また、歌謡曲というジャンルの終わりの始まりの時期だったから、なのだと思います。時代の歌としての歌謡曲の可能性を切り開こうとし、それに成功した阿久悠と、時代の歌ということを信じずに歌謡曲を個人の歌としてのニューミュージック化していくことに成功した松本隆、ふたりの作詞家の軌跡が補助線となります。それは、山口百恵という存在を強烈に意識し、しかもそれに触れず山口百恵包囲網という

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    2018年03月18日
  • クラシック音楽の歴史

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    わかりやすく、読みやすく、勉強になりました。
    絵画やクラシックなどの芸術は、その作品や作者の背景を知ることでより深く味わえる、感動できると思っています。クラシックについて興味があるのに勉強不足だったため、買ってみて読んでみましたが、良かったです。

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    2018年01月21日
  • 第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話

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    第九の誕生から歴史を追ってたどっていて面白かった。
    初演では利益が出なかったとか、演奏が難しく、また演奏時間も長いことからなかなか完全な形で演奏されなかったとか。
    人の歓喜を歌う第九がヒトラーとナチスに利用された歴史も取り上げられている。
    日本での第九の演奏についても取り上げられている。日本での初演は、1918年6月1日、四国の徳島の坂東俘虜収容所に収容されていたドイツ人捕虜たちによるもの。この収容所では西洋野菜が栽培され、ハムやベーコン、菓子などが作られ、それらの作り方や建物の設計建築などが日本人にも教えられ、日独文化交流が行われていたようです。
    フルトヴェングラーは、「第九はあくまで「声楽

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    2017年12月31日
  • 悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東

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    成り上がる過程からその末路までヒトラーは有名だけど戦勝国の指導者スターリンや毛沢東は悪行の割にやったことの批判が大きくないのでそのへんは勉強になったかな。

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    2017年12月18日
  • 昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃

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    本書は三島を直接的に理解するための書ではない。三島が生きた最後の時代の雰囲気を、彼自身の死を通じて今に呼び起こす書となっている。
    三島自決のニュースに直接触れたことのない世代にとって、三島は大変不思議な存在である。自衛隊基地での演説シーンが稀にテレビ流れるが、必ずといっていいほど具体的な解説はない。三島が大声で叫んでるな、でも聴衆から共感得てないぽいな、自衛隊決起を呼びかけるなんて極右の親玉みたいなものかな、そんな感想を持つ。一方で三島の著作を読めば、テレビで見た彼と同一人物が著したのだろうかと疑うほどの耽美的な文章が並ぶ。自分の中で矛盾する三島像をつくりあげ、いつの間にか「三島由紀夫問題」化

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    2017年11月22日
  • 怖いクラシック

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    ネタバレ

    本書は「怖い」名曲を取り上げると同時に、各作曲家の交流関係や社会背景を年代を追って俯瞰できる、初心者でも一気に興味深く読める西洋音楽史だった。「ボレロ」やショスタコーヴィチの下りなど、なるほど怖いと感じたのは特に20世紀以降の部分だった。「幻想曲とは形式的に自由な曲という意味で、書かれる内容が幻想的という意味ではない」ことを今まで知らなかった。。

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    2017年08月09日
  • 悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東

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    帯の「凡人がいちばん怖い」という言葉が全てを収斂しているなと、一読して感じました。
    ヒトラー、スターリン、毛沢東の3名は、結局のところ、自身に正直に行動したというか、理性より感情が勝ったのかなと。
    中間管理職とトップマネジメントの違いの様に、トップに立つと、時として目標達成のためには、我を通す必要性もあるかと思いますが。
    この行き過ぎた”我”が”単なるワガママ”に、”公”から”私”に移行してしまったのが、この3名なのでしょうか。
    しかし自分の様な凡人にも、こんなダイナミックな人生機会があるかもしれないと思って読むと、相当面白く読むことができます。
    最終ページに明記している3名の出世術の要約版は

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    2017年05月07日
  • 阪神タイガース 1965-1978

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    一次資料を縦横無尽に読み込んだ力作。オビには「血湧き肉躍る時代」と書かれているが、ここで徹底して描写されているのは、フロントの迷走、選手の葛藤・苦悩といった阪神タイガースの暗部ばかりだ。戦略なき強化方針、投高打低…といった伝統は、今も連綿と受け継がれている。ファンとしては暗澹たる気分になる。

    この期間、村山、江夏という球史に残るとてつもない選手を擁しながら優勝できなかったのは、単にV9巨人が強かったからだけではない。マネジメントの致命的な欠落があったからだろう。しかし彼らが光芒を放っていたのは、そういう汚泥の中だったからこそではないか…という気もしないでもない。

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    2016年12月11日