【感想・ネタバレ】悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東のレビュー

あらすじ

権力を握ることは悪ではないが、激しい闘争を勝ち抜き、のしあがった者に“ただのいい人”はいない。本書は歴史上、最強最悪といわれる力を持った三人の政治家――ヒトラー、スターリン、毛沢東の権力掌握術を分析。若い頃は無名で平凡だった彼らは、いかにして自分の価値を実力以上に高め、政敵を葬り、反対する者を排除して有利に事を進め、すべてを制したか。その巧妙かつ非情な手段とは。半端な覚悟では読めない、戦慄の立身出世考。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

20世紀屈指の独裁者、「ヒトラー」「スターリン」「毛沢東」
彼らの出生や幼少時代、そして組織内にて上り詰めていく過程と、どのように絶対的権力を確立・駆使して行ったかを考察した本。
こちらも現在読書中の「我が闘争」の参考文献として併読したが、自分でもびっくりするぐらいの名著だった。
ただ強いて言うなら、これほどの歴史人物3人の人生をまとめ上げることは、たった1冊の短い新書では不可能だったという点かな・・・
些か途中で明らかに端折っていた部分があり、そこが少し不足気味だった。


当たり前だが、3人とも目標をしっかりと持って、それに向かってアクションを起こしているんだな。
プランニングと行動力が自分とは大違いです・・・トホホ


・3人の共通点
①元々権力者だったわけではなく、叩き上げで組織のトップを掴み取った。
②裏切り者や敵に対して一切容赦がない。
③実父と仲が悪く、憎んでいた。父親の愛情と無縁に育った幼少期の家庭環境に問題あり?
④自分に矛先が向かないように、うまくかわす(逃げる)能力に長けていた。


「20世紀の独裁者」というくくりでは似たような3人だが、国も文化も違う為、当たり前だが各々違ったスキルを持っている。
では次に、それぞれのスキルについて細かくまとめてみよう。

1.スターリン
グルシアの貧しい靴職人の息子から、ソ連史上最大の権力者になるという大出世を果たした。
しかし同時に、史上最悪の犯罪者として歴史に名を連ねてしまった。
ただ、スターリンの悪行の数々については他の二人以上に不明確な事が多い気がする。
本当に彼がやったのか?
死亡(暗殺?)数年後にソ連が発表した内容を元に話が構築されている為、どこまで真実だったのか?
陰謀論の存在を疑ってしまう。
そういった理由から、彼が本当に史上最悪の犯罪者だったのか、ただの冤罪人だったのかは永遠に謎のままだと思う。(これを言っちゃ本末転倒だけれども)


スターリンの基本戦略は以下の3点。、
①皆が嫌う地味な仕事、面倒な実務を引き受けて組織の全貌を把握、自分なしでは組織が動かない状況を作る。
また、危ない仕事や汚い仕事も率先して行い、そこに付け込んで相手の弱みを握り出し、屈服させる。
②確固たる思想がなく、自分の意見を持たない、「風見鶏」のような存在。
多数派がどちらか場の空気を読む能力に長けており、最後まで喋らず、意見を分類・比較・まとめた上で最も支持を得そうな他人の意見を自分の意見として採用する。
考えを持たない事で党内抗争で常に勝利してきた。
③組織内において、目立ちすぎない。無能を装い自分を過小評価させることで相手の油断を誘い、また嫉妬させない。


「面倒な仕事を引き受ける」
「風見鶏のような思考を持つ」
「組織にとって自分自身を替えの利かない存在にする(自分しか出来ない仕事を保つ)」
「目立ちすぎず、無能を装い相手の油断を誘って尚且つ嫉妬させないようにする」
スターリンの戦略こそ今日にも通じる1番の出世学・処世術ではないだろうか?
党内幹部を完全盗聴することや、容赦ない粛清は頂けないが、非常に参考になった。



・ヒトラー
本著を見ると、自著である「我が闘争」がいかに脚色だらけであったかが一目瞭然。
彼が「我が闘争」にて否定的だったもののほとんどが、彼自身の失敗談や挫折をひた隠しにしたり、解釈お良くする為に自身の育ちを極貧と偽ったあたりなど、「我が闘争」はもはや「偽りの自伝」に他ならない。
コンプレックスが相当すごかったのか、当時の時代背景がそうさせたのかは今はもう調べようがないが、そのあたりにヒトラーの「小物っぷり」を感じてならない。
しかし、そんな彼がここまでのし上がれた事実こそ、本著の考察が気になるところである。


ヒトラーの基本戦略
①凄まじい自己ブランディングと、「オール オア ナッシング」。
トップ以外に興味がなく、それ以外の座を求めないところが出世学の根底にあった。
②弱い相手としか戦わないため常に勝利する。また弱い相手を見極める力を持っていた。
③権力を握るまでに必要だった仲間でも、権力を手中に収めた後は容赦なく粛清した。(昨日の友は今日の敵)


ヒトラーがどういう人間性だったのか、今となってはもはや分からない。
しかし彼がブランディングと称する戦略のほとんどが、今日では「張子の虎」と思えてならない。
(ブランディングに関しては、奇しくもスターリンとは正反対の考え。)
絶賛されている演説能力の高さや、その際の些細なテクニックなどは、機会があれば是非参考にしたいと思う。



・毛沢東
言わずと知れた、「中華人民共和国の建国の父」。
また、「中華民国最後の帝王」その人である。

①文才や広告能力に長けており、感動的なスローガンで人身掌握する。
②敵は強い時はじっと待ち、持久戦に持ち込むゲリラ戦法を得意とする。
③裏切り者に対しての粛清=殺戮ではなく、こちら側への懐柔を行なったり、それでも翻らない反乱分子も解放するなど、長期的な視野でのイメージアップを行なう。


前述の二人とはやや一線を画す存在の独裁者である。
「感動的なスローガン」とひとくくりにされているが、毛沢東のカリスマ性や立身についていかなる戦法が用いられていたのだろう。
本著には毛沢東のみやや記述が少なかった為、時代背景も含めてまた別に調べてみようと思います。

0
2017年09月26日

Posted by ブクログ

ヒトラー、スターリン、毛沢東。彼らは国家を率いて大虐殺を行った。現代史における世界極悪人列伝の中には必ず入るだろう。しかし、忘れちゃいけないのは、彼らが名もなき庶民から一代で国家のトップに成り上がったこと。本書は彼らが大出世を果たしたという1点のみにスポットを当て、彼らの生き様から世渡りのテクニックを学ぼうとする。

だから、本のジャンルとしては自己啓発本、ビジネス本なのだが、読んでみると初心者向けの歴史書としておもしろい。3人が悪人になる前のエピソードは意外と知られていないからだ。そして、それぞれの成り上がり術はみごとな非道ぶり。

まず、自分の忠実な腹心を作り、そいつに自分の気に食わない奴らを殺させる。その腹心がやり過ぎて評判が落ちれば、新たな腹心を作り、元腹心を含めて気に食わない奴らを殺らせる。その繰り返し。自らの手を汚さず、評判を落とさず。これぞ「悪の出世学」だ。

0
2017年09月26日

ビジネス書 兼 近代歴史研究所

書店で「凡人が一番怖い」なる帯が掛かっているのを見て気になっていたが、ふと見たら電子書籍で出ていたのでなんとなく買ってみた。これが結構面白い。

著者の文章力なのか、すいすいと興味深く読めるのが魅力。これも悪の出世学を研究しているからこそ為せるストーリーテリング?

読む人によって、この本の印象は違うと思う。

・会社の中でどうふるまうと評価が上がるか=出世できるのかという、明日から使えるビジネススキル満載本
・大学の授業で聞いたことのあるような、ハーケンクロイツ/オソロシア/中国の比較文化論ならぬ比較リーダー論のような講義本

彼ら単独の研究本は山のようにあれど、悪役たちを比較したものはなかなかない。
だからおもしろい。

0
2014年05月22日

Posted by ブクログ

スターリン、ヒトラー、毛沢東はどうやって国のトップにのし上がったのか。3人の人生を並行させて、出世という切り口で論じたところが非常に面白かったです。

若い時は凡人扱いだったのに、策略や粛清を重ね、どうやって権力を集中させたのか。

思想をもたない、
敵の敵は味方
オールorナッシング
逃げる時はすばやく
常に多数派につく
ライバルになりそうな人材は容赦無く粛清

など、それぞれの特徴がありました。


悪い人を見抜くためのビジネス書としても、歴史本としても、文学としても楽しめる本です。

0
2014年04月09日

Posted by ブクログ

ヒトラー、スターリン、毛沢東の3人の独裁者について書いた一冊。

それぞれ艱難辛苦を乗り越え、独裁者になり、逆に国民を弾圧したことがよく分かった。

0
2025年02月15日

Posted by ブクログ

 歴史上最も人を殺したと言われるヒトラー、スターリン、毛沢東のそれぞれの出世方法を分析解説したものであり、やはり普通は真似たくてもできないのであろうが、他に考察すべきは、そういった圧倒的な権力者が現れた時に、その者から逃れるよりも、人はその者を恐れ、命令に従ってしまうのであろう。その命令が人を殺すことであっても。それは命令に従わなければ、自身の命の危険があるからというよりも、まるでマインドコントロールされたみたいに正常な考えができなくなるのであろう。
 いまだプーチンや習近平など絶対的権力者が国を牛耳っており、ロシアはウクライナへ侵攻し、台湾情勢も安定性を見せない今日において、この三人については、もっと研究すべきではなかろうかと思われた。

0
2024年03月28日

Posted by ブクログ

かなり面白かった!
それぞれが虐殺や粛清など大量殺人をしていて
容赦ない悪人ぷりは言うまでもないんだけど、
その背景にある弱気、思想の浅さが面白かった。

極限までいったから結果としては殺人だけど、
方向性は普通というか、、部下を懲らしめるとか。

あと狡賢さ。
狡賢さはイコール人の面白さとも言える

0
2021年01月22日

Posted by ブクログ

成り上がる過程からその末路までヒトラーは有名だけど戦勝国の指導者スターリンや毛沢東は悪行の割にやったことの批判が大きくないのでそのへんは勉強になったかな。

0
2017年12月18日

Posted by ブクログ

帯の「凡人がいちばん怖い」という言葉が全てを収斂しているなと、一読して感じました。
ヒトラー、スターリン、毛沢東の3名は、結局のところ、自身に正直に行動したというか、理性より感情が勝ったのかなと。
中間管理職とトップマネジメントの違いの様に、トップに立つと、時として目標達成のためには、我を通す必要性もあるかと思いますが。
この行き過ぎた”我”が”単なるワガママ”に、”公”から”私”に移行してしまったのが、この3名なのでしょうか。
しかし自分の様な凡人にも、こんなダイナミックな人生機会があるかもしれないと思って読むと、相当面白く読むことができます。
最終ページに明記している3名の出世術の要約版は、必見です。

0
2017年05月07日

Posted by ブクログ

世界中の誰に尋ねても知っているであろう、3人の指導者。
彼らは今でも人心を良くも悪くも引き付け、そこかしこに現れる。
彼らも、いいところはあった、そういう人もいるだろう。
それは否定しない。
人の評価というものはその時々で大きく変わるからだ。
ただ、なぜ彼らが悪とされるか。
それは彼らが、多くの人々を直接的、間接的に死に追いやったからだ。
このことはどんなに言い訳しようとも、なくそうとしても事実なのである。
それを踏まえた上で、彼らがどのように上り詰めていったか、出世の「極意」がここにある。

まずはスターリン。
鋼鉄の人、と自ら名乗った。
彼は人の弱みを握り利用し、そして誰も信じないことで登って行った。
これはすごい。
一体何が彼をここまで歪めたのか私には全くわからないが、ためになりそうなものも中にはある。
情報は自分が管理する、面倒な実務こそ引き受ける。
地味な作業だが、確かにこれをやると、組織は自分がいなければ動かなくなる。
さすがに現代社会においてそれは難しいだろう、と思ったが、いやいや、危機管理が万全な大企業ならともかく、そうでない企業ならこれは十分通じるに違いない。
情報を把握するという意味では先見の明があった。

次にヒトラー。
手におえない分野は無理をせず適任者に任せる、勝てる相手としか戦わない。
逃げるが勝ち、なわけだ。
非常に臆病な人物だったように思う。
臆病だからこそ、外堀から埋めていく戦法が性に合っていたに違いない。
そして何よりスピーチがうまかった。
これが彼を作る上で重要なキーワードだ。

最後に毛沢東。
耳に心地よいキャッチフレーズを使う、具体的な失敗を批判されたら抽象論でごまかす。
あれ????これは最近の話だろうか??
一つの目標に向けて人々を煽り、盛り立てる手腕は実に見事。
キャッチフレーズは知らず知らず人心に入り込む。

さて、彼らの出世術で使えるものはいくらでもある。
ひどいな、おかしいなと思っても、その最中に人は気付かない。
言葉が上手というのは大衆を動かすには必須。
コミュニケーションが大事、というと綺麗に聞こえるが裏を返せばこういうことだ。
それを善の武器として使うか、悪の武器として使うかの違いだけで。
彼らのようになれというのではない。
彼らがなぜ強大な権力を持ち得たのか、それを知ることで、自分は何ができるかを考えるきっかけになるし、指導していく立場として何が恐ろしいかも学べる。
ひどいよね、悪いよね、だけではなく、そこから何を感じ取り良き方向に持っていけるか、それがもしかしたら、彼らの一番の功績であるかもしれない。

0
2015年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヒトラー、スターリン、毛沢東を取り上げた本
毛沢東はかなり少なめ、メインはスターリンかな…

スターリンについてあまり知識がなかったので
興味深く読めました。筆名であることすら知らなかった。。

ソ連、ナチス、中国、どの組織も派閥を上手く扱うこと
自分の売り出し(宣伝)がとても重要、現代も変わらないですね

0
2015年07月12日

Posted by ブクログ

「他人が発言した意見で最も支持を得そうなものを、自分の意見としてしまえばいいのだ。」

スターリン、ヒトラー、毛沢東について書かれている。それぞれの生い立ちから書かれているので、彼らについて知りたい人には特にオススメである。

最初に掲げたのは、スターリンの考えだ。彼は自分の思想を持っていなかった。故に、論理的差異を気にせず勢いのある人物と仲間になれた。ではなぜ彼は権力を欲したのか。活動を始めた頃は高い志があったが、気づけば権力を握り続けるのが目的になってしまったのだろう。

0
2015年03月10日

Posted by ブクログ

ヒトラー、スターリン、毛沢東という20世紀を代表する独裁者たちの出世物語。

ヒトラーは弁舌だけで何百万もの国民を戦争に駆り立てたし、スターリンと毛沢東はインテリではなかったが、人間心理を操ることに巧みで反対派の粛清を重ねながら頂点に上り詰めた。

ことに20世紀というのはスターリンと毛沢東により、粛清と虐殺なしには共産主義国家は成立しないことが学べた時代だと実感した次第。

凡人であるスターリンがインテリのトロツキーに何故勝てたのか、と毛沢東の次の国家主席、劉少奇について学べたのがこの本による私の収穫。

0
2014年10月21日

Posted by ブクログ

スターリン、ヒトラー、毛沢東が以下に出世して権力を掌握していったかって話。一応要所要所で彼らが権力を握ったポイントみたいなのをまとめてるけど、そういった出世ノウハウとかってよりは、彼らがだいぶ有名になる前にどんなだったかってのがまとまってて歴史の勉強になった。

0
2014年08月18日

Posted by ブクログ

ヒトラー、スターリン、毛沢東。これら三人についてはある程度は出自やらどういう経歴の人物やら知ってはいたもののどういうふうに出世したのかという切り口には今まで触れたことがなかった。なんというかふてぶてしいとしかいいようのない出世の仕方。普通はこんなことしたら嫌われて失脚しそうな感じがする。だが、彼らはそういう風に生きてきて実際独裁者として君臨したのだから怖い。所詮組織というのは人柄や正義といったものでに左右されるのではなく、消去法や運のいい人間の手によって運営されているというのにも気がつかされた。

0
2014年06月29日

Posted by ブクログ

ヒトラー、スターリン、毛沢東の3人の、恐るべき仕事術、処世術、そして組織運営術。D・カーネギーの「人を動かす」が正のエネルギーによる交際術だとすると、こちらは悪魔の交際術で、まったくおススメできない。「殺人、拷問、盗聴等、上司の汚れ仕事を引き受けて弱みを握り、言いなりにする。」「大きなイメージ作りは小さな改ざんから」「主義主張はもたない。常に勝ち馬に乗る」「最高権力を握ったら不満を表面化させ改善すると見せかけて粛正する」など。いけないやり方と知りつつ、やってしまうこともあるかも知れない・・・。

0
2014年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私には面白かったーっ!!
三人の独裁者、どのようなひとなのかあんまり知らなかったのもあるかもだけど、筆者は歴史学専門ではなさそうなのに、三人とも詳しく書いてあります。
ただし、独裁者としてのトップまでは書いてあって、その後のヒトラーの自殺までのところはなかったから、そこもあると更によかったのかな。
私には分かりやすかったです。世界史面白いなと思えました^^

0
2014年06月05日

Posted by ブクログ

出世のためのTips本としては、結局粛清しまくるため全く参考にならないけど、ぼんやりとしか知らなかったヒトラーやスターリン、毛沢東についての権力を握るまでの歴史的な流れはわかりやすくまとまっていて勉強になった。

0
2014年05月19日

Posted by ブクログ

大出世を果たしたヒトラー、スターリン、毛沢東の3人を取り上げて、それぞれが如何に歴史に名を残すトップにまで上り詰めたかを記している。タイトル「悪の出世学」とある様に、我々の知る3人が歴史に名を刻む要因となった行いは、政治家としての素晴らしい実績よりも、大粛清や虐殺、失政などが目立つ。勿論、トップになるその過程では、国民の多くの支持を受けていたことも事実ではあるが、普通のやり方とは大きく異なるその手法、3人が上り詰めるまでの道のりをわかりやすく解説している。
共通しているのはライバルを蹴落とすのも徹底的であるという事だ。自分がトップになるには、国民や同僚から人気のある別の人物は邪魔になる。普通の人の考えなら、そこと手を組んで一緒に世の中を良くしていけば良いと考えるであろうが、3人は違う。謀略をめぐらし出る杭は打たんとばかりに、次々と閑職に追いやったり、無い罪を着せて処刑したりとやりたい放題である。ロシア、ドイツ、中国と何れも大国であるから、ライバル争いも熾烈であるには違いないが、血も涙もないようなやり方は呆れるのを通り越して、見事に感じてしまう。特に「敵の敵は味方」として、それまでの対立を捨てて、無節操に手を組むあたりは、何れの人物にも共通するやり方だ。加えて3名とも中途半端な地位や役職は求めず、始めからトップの位置しか狙っていない。トップ以外には目をくれず、他の権力に丸め込まれる様なこともない。自分が最終的に最大権力を手にすれば、あとはどうにでもなるから、最大権力以外は必要ないと言わんばかりである。
そうした手法がエピソードと共に大量に紹介されているので、大きな企業で社長を目指すなら、少しくらいは同感できる点もあるかもしれない。相手の弱みに付け入る、あらゆる手段を駆使して情報収集する、好かれずとも嫌われない程度の位置を固持する、じっと我慢して機が来た時には美味しいところを全て持っていく、当たり前のことでも大々的にアピールする、人の心を動かすスピーチ力。悪い面ばかりでなく、リーダーとして持っておくと役立つスキルも多く紹介されている。今の自分はトップに取って代わる気概もなければ、なるべく人とうまくやりつつ、社にとって大きな成果を挙げることで登っていきたいと思う。だが残り時間も少なくなると、時間的な危機感も後押しして、本書の様な手法を少し使ってみたくなる様な誘惑もある(実際にはやらない、やれないだろうが)。
ビジネスパーソン全てがこの手法を用いて成功するとは思えないものの、日本の大企業の中にも似た様な手法を用いてトップに上り詰めた人もいるだろう。何を選択してどの様に出世していくかはそれぞれの自由ではあるが、一つのやり方、もしくは反面教師的に学んでおくと、何かの役に立つかもしれない。

0
2024年06月21日

Posted by ブクログ

いわずとしれた近代史に残る世界三大権力者の、組織内をのしあがっていく彼ら独特の出世学、まあ要するにこの場合自分に反旗を掲げるものを次々と粛正していくだけ、という身も蓋もない事なのだけれど、組織のトップになる道筋について非常に独特でユニークな考え方を持つこの三人の人生を考察することで色々学ぶこともあるだろう、という書。

そういう意味においては実に面白かった。決して褒められた行いをした三人ではないが、というかむしろ虐殺した規模においては人類史上最悪の部類に入る悪党だと言えるけれど、人類の歴史というのは極言すれば侵略の歴史であり、それに伴う大量殺戮の歴史であることを考えると、彼らもまた人類の負の歴史の1ページであるに過ぎないともいえる。長い長い歴史上のちょっとしたハイライトというくらいで。

その彼らが、ある組織内から始まって最終的には国家レベルにおいて一時期であれ決して少なくない人々の支持を得、それが半ば強制的と言えどもある程度の期間維持されていた、というのはすごく興味深い問題だとも思える。もちろんこうして客観的な歴史的を省みる立場で見てみれば、という事だけれども。

0
2021年07月07日

Posted by ブクログ

ピラミッド構造の中で覇権を争うということはどういう事か、時代は違えど共通する考えの根底はあるかも知れない。

0
2021年03月21日

Posted by ブクログ

面白かった・・・のだが、スターリン、ヒトラー、毛沢東、この3人については、それぞれ1人1人にこのテーマで本があってしかるべきだと思うので、それを無理矢理1冊の本にぎゅっと詰め込んでいる感は否めない。
また、1人書き切ってから次の人・・・という順番ではなく、ざっくり言うと頭角を現すまで、権力を握るまで、その後の3部に分けて、それぞれの部で3人を並べて書いているため、流れがいったん断ち切られてしまい、確認のため前に戻って読み直すことも何回かあった。3人のそれぞれのライバルの名前もたくさん出てきて、どのライバルがどんなタイミングで現れたのかなど、この書き方ではわからなくなってしまう。
ということで、せっかくのいい内容が、ページ数と構成の問題で、魅力が損なわれてしまっている印象を受けた。なので☆は3つ。巻末に掲載されている参考文献にじっくり当たって、本書の肉付けをしていきたいと思う。

0
2015年10月18日

Posted by ブクログ

スターリン・ヒトラー・毛沢東の権力掌握術と使い方についての本
三者三様だけど、共通しているのは他人を信用しないということ

0
2014年09月04日

Posted by ブクログ

タイトルを見て、買ってしまった。出世というキーワードで、3人に纏わる政治史を追っていく内容で、時にビジネス本のようなまとめ項目を設けている。ドイツ、ソ連、中国の近代史自体がそこまでなじんでいなかったが、平易で読みやすかった。

0
2014年07月28日

「ノンフィクション」ランキング