中川右介のレビュー一覧
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死後40年に蘇る昭和45年11月25日。120人以上の、どこで、なにをしていて、どう感じたか、を時系列で再現することで「日本で一番夕刊が売れた日」を体感できます。本人の言葉とか新しい事実とか再評価とか次元の違う記述がないことで自分にとっての三島事件を考えざるを得ない構成です。一瞬で砕け散ったガラスの破片が当時のすべての日本人の心にそれぞれに突き刺さっているのは、そして今もチクチクさせ続けているのは、この事件が思想の事件とか制度の事件ではなくて個人の肉体の事件だったからだと思いました。首の上と下が別々になった肉体の物語を、われわれはその後、消費し続け、そしてまったく消化できずにいます。この事件は
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ネタバレ[ 内容 ]
巨匠フルトヴェングラー亡き後、音楽界の頂点、ベルリン・フィル首席指揮者の四代目の座を掴んだ男、ヘルベルト・フォン・カラヤン。
彼は類い稀なる才能と権謀術数を駆使し、ザルツブルク音楽祭、ウィーン国立歌劇場他、名オーケストラの実権を次々掌握、前代未聞の世界制覇を成し遂げる。
何が彼をかくも壮大な争覇の駆け引きに向かわせたのか?
盤石だったはずの帝国に迫る脅威とは?
二十世紀音楽界ですべてを手にした最高権力者の栄華と喪失の物語。
[ 目次 ]
第1章 帝国の建設(三方面作戦;ザルツブルク陥落;ベルリンとの駆け引き;ウィーンの陰謀劇;拠点としてのロンドン。ミラノ;帝王の誕生)
第2章 -
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ネタバレ[ 内容 ]
長い歴史を誇るウィーン・フィルですら一八四二年の創立だから二百年に満たない。
つまりベートーヴェン(一七七〇‐一八二七)の時代には存在しなかったわけだ。
かように近代になって誕生した「オーケストラ」は、きわめて政治的な存在であり、戦争や革命といった歴史的大事件に翻弄されやすい。
「カラヤン」をキーワードに十の都市の十の楽団を選び、その歴史を、指揮者、経営者そして国家の視点で綴った、誰もが知る楽団の、知られざる物語。
[ 目次 ]
第1章 シュターツカペレ・ベルリン
第2章 ニューヨーク・フィルハーモニック
第3章 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
第4章 レニングラード・フィ -
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ネタバレ[ 内容 ]
クラシック界最高の名声と金そして権力が集中するベルリン・フィル首席指揮者の座。
ナチス時代、その三代目に君臨する巨匠フルトヴェングラー。
彼は誠実な音楽の僕でありさえすればよかった、比類なき才能と野心をもった青年カラヤンが現れるまでは―。
嫉妬の炎を執拗に燃やし詐略をめぐらす巨匠、巧みに抗うカラヤン、そこに巨匠を慕う無名の田舎音楽家チェリビダッケが加わり、争いはさらに複雑になる。
クラシック黄金時代の美と欲望のドラマ。
[ 目次 ]
第1章 巨匠と失業者―一九三四~三八年
第2章 代理戦争―一九三八年
第3章 陰謀家たち―一九三九~四二年
第4章 黄昏―一九四二~四五年
第5章 -
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三島と全くかかわりのない人も多く登場して、事件のインパクトの大きさが分かる。なかなか意外な人もいて面白い。
当時、小学生であった私はまだ三島の作品を読んだことがなく、名前すら身近なものではなかった。したがって新聞に掲載された不鮮明な現場の写真も、理解の範疇にはなかったのである。
対象を二人にすることで作者との距離を明確にし、スタンスをぶれさせず客観性を提供するのがこの作者の手法だったが、この作品では一人の対象を多数の目で観察するという方法を採っている。
聖子と明奈、カラヤンとフルトヴェングラー、そしてこの作品といずれも楽しませてもらった。次の作品が楽しみ。 -
- カート
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試し読み
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[ 内容 ]
ブームは予測できない、でもいつかは終わる。
ブームで成功するためには、ブームを発見すること。
たまごっち、ボウリング、角川映画…ブームの栄枯盛衰。
大きなブームからマイブームへ。
ブームは報道によって変質する。
撤退するための判断基準。
クラシックカメラブームから学んだブーム8つの法則。
[ 目次 ]
序論 「ブーム力」と「ブームの壁」(ブームとヒットの違い ブームは商品寿命を短くする ほか)
第1章 ブームの発見―一九九三年‐九四年(中古カメラブームが新聞で報じられる ブームの背景 ほか)
第2章 ブームの構造―一九九五年‐九七年(教祖の登場 聖地の発見)
第3章 ブームの変 -
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知ってる人はよく知ってることなんだろうけど、学生時代から歌舞伎を見ているが一向に詳しくならない私には面白かった。
歌右衛門、事業家としても成功したんでないか? ただし、ワンマン経営で、後継者は育てられなそう。(その中から自力で育つ人が出てこないわけではない。)晩年の古怪としか言いようのない歌右衛門は見たが・・・。きれいな頃も見たかったよ。花組芝居の「歌舞伎座の怪人(歌右衛門版)」が見たくなった(ホントに歌舞伎座の怪人と言われるにふさわしい人だったんだと思って)。
團十郎(というか、海老様。なんて、当時のことはもちろん知りません。生まれてないし)、人はよさげだけど、コミュニケーション能力に問題が -
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1、シュターツカペレ・ベルリン
2、ニューヨーク・フィルハーモニック
3、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
4、レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
5、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
6、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
7、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
8、イスラエル・フィルハーモニック管弦楽団
9、フィルハーモニア管弦楽団
10、パリ管弦楽団
とても簡潔にまた詳細に、さらに指揮者のエピソードも淡々と述べられていて、面白かったです。全体的にカラヤンを軸としているので、その辺が公平ではないと思いますが、へぇ〜、とか、ほう〜、とか感心する場面がたくさんあります。 -
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カラヤンは知ってても、フルトヴェングラーを知らない人も大分増えてきました。チェリビダッケは一部のマニアの中に封じ込められた感があります。
昔、アマデウスという映画の中でサリエリとモーツァルトの2人が折りなす権力と嫉妬のドラマを覚えているでしょうか? これは、3人の巨匠・天才が権力・嫉妬・軽蔑・尊敬・忠誠・猜疑心をもって織りなすドラマです。当時の世相が出ていておもしろいです。意外だったのはフルトヴェングラーの女好き&権力固執ぶりです。
たとえは正確ではありませんが、信長・秀吉・家康の戦国時代を彷彿させるような人間ドラマがあります。音楽版「その時、歴史は動いた」といっても過言じゃありません。