【感想・ネタバレ】第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話のレビュー

あらすじ

クラシック音楽において「第九」といえば、ブルックナーでもマーラーでもなく“ベートーヴェンの”交響曲第九番のこと。日本の年末の風物詩であるこの曲は、欧米では神聖視され、ヒトラーの誕生祝賀、ベルリンの壁崩壊記念など、歴史的意義の深い日に演奏されてきた。また昨今は、メータ指揮のN響で東日本大震災の犠牲者追悼の演奏がなされた。ある時は祝祭、ある時は鎮魂――そんな曲は他にない。演奏時間は約70分と長く、混声合唱付きで、初演当時は人気のなかったこの異質で巨大な作品が「人類の遺産」となった謎を追う。

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Posted by ブクログ

今年の1万人の第九に参加することになったので、第九について勉強するために読んだ。
市民革命、第一次世界大戦、ヒットラー、ベルリンの壁崩壊と多くの歴史的イベントにこれだけ関係ある曲も類を見ないのだろうと思った。

あと、メンデルスゾーン、ワーグナー、マーラーと言った、大してクラシックを知らない私でも知っている名前の作曲家達が、第九の指揮をしていたと知りびっくり。

いやあ、面白かった。

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

第九の完成から、初演、さらにそれからの他の作曲家の作品へ及ぼした影響、翻弄される楽団や指揮者の物語を経て、2001年に直筆の楽譜が世界遺産に登録されるまでを綴ったノンフィクション。
いかに第九が人類にとって重要で特別なのかがよくわかる。
僕個人としては、曲が完成してから、ベートーヴェンが初演の手配やマネタイズに四苦八苦して足掻きたおすところが面白かった。しかし、初演から3年後にベートーヴェンは56歳で亡くなっているので、相当しんどかったのではないだろうか。

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2021年08月02日

Posted by ブクログ

書名はずばり「第九」。

著者の中川右介氏は私より若い。

『世界の10大オーケストラ』『カラヤン帝国興亡史』『カラヤンとフルトヴェングラー』を読みました。

博識・資料渉猟・筆力・・・敬服します。

この本を読んで「第九」に関わるさまざまなことを知りました。

ワーグナーの楽劇は別にして、「第九」は人類が産み出した
音楽の最高傑作だと私は感じています。

昨年暮れのマエストロ下野+読響の「第九」は若々しく
エネルギーに溢れていて、大家の悠然たる演奏とは
また異なった感動がありました。

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2012年01月26日

Posted by ブクログ

第九の誕生から歴史を追ってたどっていて面白かった。
初演では利益が出なかったとか、演奏が難しく、また演奏時間も長いことからなかなか完全な形で演奏されなかったとか。
人の歓喜を歌う第九がヒトラーとナチスに利用された歴史も取り上げられている。
日本での第九の演奏についても取り上げられている。日本での初演は、1918年6月1日、四国の徳島の坂東俘虜収容所に収容されていたドイツ人捕虜たちによるもの。この収容所では西洋野菜が栽培され、ハムやベーコン、菓子などが作られ、それらの作り方や建物の設計建築などが日本人にも教えられ、日独文化交流が行われていたようです。
フルトヴェングラーは、「第九はあくまで「声楽付き交響曲」であって歌曲ではない」「歌詞は二義的なもので、まず音楽なのだ」と言ったそうだが、そうはいっても、やはり合唱と歌を単にメロディーとしてだけ聴くことはできず、そこに歌われている歌詞が心に響かないではいられない。

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2017年12月31日

Posted by ブクログ

博識な知見をもって第九の歴史について掘り下げた著作。

ベートーヴェンが第九を書いた時から、初演、そしてどのように世界に広がっていったかがよく分かります。

当時の器楽では演奏・発声するのが難しい交響曲で敬遠されていたということです。

日本では年末の恒例行事として演奏されるこの曲は世界でいったいどういう意味をもっているのか。

また大指揮者の演奏にも迫っています。

各種CDの紹介もいいですね。

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2014年01月15日

Posted by ブクログ

第九絡みの本といえば、通常名演奏の紹介やら解釈上の諸問題やらを細かく論じる物が多い中、少なからずそうした事にも必要上最小限に触れはするものの、むしろ第九が「喜ばしい式典に演奏される曲」であったり、逆に「鎮魂などの厳かな場面に演奏される曲」という意味合い持たされるようになった経緯や、政治に利用される様になって深まってきた深刻な演奏環境、第九によって演奏上の解釈という仕事が指揮者に不可欠の問題になった事、さらに演奏会場の問題や職業指揮者誕生のきっかけなど、広い意味で第九が世間と音楽社会にどのような影響をあたえるような存在になってきたのかをわかりやすく解説した良書。

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2013年03月12日

Posted by ブクログ

株式会社アルファベータで編集長を務めながら精力的に著作をモノにしている中川右介さんによる昨年末発刊の著書。
クラシック界で最も有名な曲であるベートーヴェンの第九交響曲の誕生と以後の演奏遍歴を年代を追って解説している。
ベートーヴェンによる作曲から初演、その後の演奏遍歴を読むにこの曲が同時代人ではなく後世に大きな影響を与えていったことがよくわかる。メンデルスゾーン、ワーグナー、マーラー... 作曲家として今に名を残す人々にどのように作用していたのかも興味深い。
この曲だけではないだろうが、オーケストラの形や演奏能力の標準としての指標にもなったのだろう。
原典や各種の資料にも丁寧に当たって正確な記述を期そうとしていることがわかる好著であり、第九についてのまとまった資料としての価値も高い。

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2012年04月30日

Posted by ブクログ

ベートーヴェンの作曲エピソードよりも、
誰が、どのような状況で第九を振ったのか?
という初演後のエピソードが充実している。

上流階級から労働階級へ
ヨーロッパからアメリカ、アジアへ
第九の演奏が広がって行く。

確かに名曲。
そして他の名曲とは一線を画した「特別」感。
しかし、単に世界平和を謳うメッセージソングではない。

ドイツ語が分からないし、日本語訳も読んでいない私は
何に心揺さぶられているのだろうか……。

第九初演以降の作曲家・指揮者に詳しい方が楽しめると思う。

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2012年03月26日

Posted by ブクログ

第九の初演で、耳が聞こえないのに指揮をしたベートーヴェンが大喝采に気付かなかった話は有名だが、作曲者の死後この曲がどのような局面で演奏され続けてきたのか、この作品が辿った歴史が論じられていて興味が尽きない。

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2012年01月03日

Posted by ブクログ

「第九」の誕生から現代までの歴史をエピソードたっぷりに教えてくれる。軽い読み物としては楽しめる。

自分の持ってる「第九」のCDの指揮者(バーンスタイン、フルトヴェングラー、カラヤンなど)が、どういう人で、どういう考えで「第九」を指揮していたかということも分かったりして面白かった。

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2011年12月22日

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