中川右介のレビュー一覧
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中川右介の本が「やめられない止まらない」状態になるのは、「知っているつもり」の出来事が、その奥になる「知らなかった」出来事や、その横にある「関係ない」と思っていた出来事と繋がって「知っているのに知らなかった」物語として立ち上がるからです。いわば中川右介バタフライエフェクト。この本棚でも今まで『松田聖子と中森明菜』『江戸川乱歩と横溝正史』『阿久悠と松本隆』のような「二人で一つの物語」もの、とか『プロ野球「経営」全史』『社長たちの映画史』のような産業群像もの、とか昭和の点を線にする著作を楽しんできました。今回は、手塚治虫と「劇画工房」、永島慎二とつげ義春、水木しげると白土三平、マガジンとサンデー、
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あまり期待してなかったんですがまぁなんと面白いこと!デビュー前から1978末までのジュリーを事細かに追っていくんですが当然レコード売上や賞レース、GSの人気メンバーや作詞家作曲家、芸能事務所、レコード会社、ライバルとなるアイドル達の描写にもページをかなり割くわけで、それがいちいち怖くていい。
普段は備忘録として長々書くんですけどこの本はオモロポイントが多すぎて書くのは無理。
手元に置いて読み返すしかないですね。
とはいえざっくり書いときます。なんせ忘れっぽいので。
まずデビュー前ですがとんとん拍子に進んでいきますね。勿論他にもあっという間にスターになった人達(しかも本人はやる気ないのにス -
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オーナービジネスと産業興亡史
プロ野球の歴史、オーナーがどう変わってどの様に関わったか。
スポーツビジネスに関わるものにとって必読書、温故知新。
■概要
400ページを超える長編で、戦前どころか明治時代から野球、職業野球→プロ野球に関する歴史を整理。
プロ野球の球団増減、オーナーチェンジの歴史が全網羅されているだけでなく、オーナー企業の「経営者」や周囲の人間にもスポットがあたっており、なぜ球団を持ちたいのか、球団を持ってどうしたかったのか、が滲み出てくる
■感想
・球団の歴史日本の産業変遷や生活の変遷そのもの
とはよく言ったもので、新聞や鉄道、映画、鯨肉→加工肉、IT企業の隆興などの解像 -
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1265
446ページ
これ分かる。宝塚ファン歴20年近いけど、宝塚ファンになりすぎると宝塚経営内の政治的なものが見えてくる時ある。ただ芸があるだけでは無理な世界観ていうか。舞台見るの好きな人なら分かると思うけど、宝塚出身の女優さんの一般の演劇界の信頼感って凄いんだろうなと思うし、海外の演劇界からも信頼を寄せてる女優さんも多い。
歌舞伎界は女関係は大昔からえぐいし自殺もいっぱいあって怖くなった。昔からそういう世界観こそが歌舞伎界なんやね。
中川右介
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「クラシックジャーナル」編集長、出版社「アルファベータ」代表取締役。クラシック音楽への -
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のっけからオモロいのよ。予想はしてたけど。
阿久悠と松本隆を軸に辿る歌謡曲歴史本。
「百恵と昌子はそんなに仲が良くない」とか断言しちゃうし、昌子のデビュー以降の下降と淳子百恵の初期デットヒート(冬色vsはじ出来)もデータを使ってシンプルかつデジタルに表現してていい。
ところどころ挟まれる阿久悠及び松本隆のコメントもその時期によってニュアンスがかなり異なるものを併記してあったり、事実を丁寧に拾うことで逆に幅というかボカシが入って読みやすい。
「とてもテレビに出られるようなルックスではなかった」小坂明子の才能「のみ」を大衆が受け入れたこと、バラとパンジーと子犬とあなたが同格に扱われ男の矮小 -
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実録!という感じで、筆者の感情的なものを抑えた文体で、淡々と端的でとても読みやすい。くどくない程度に、流れを反復して説明を重ねてあるのも親切。だが!!なかなかの登場人物数。そして特に1部・2部あたりは映画会社がくっついたり離れたり、相当複雑な動きをするので、完全に理解したかと言えばそうでもない。けれど、章ごとの展開を追うだけでも十分ドラマティックで楽しめる。歌舞伎に始まる同族経営の松竹と、近代的経営の東宝、泥っぽい東映、菊池寛など文芸人を重役に置く大映…と、各社の個性もよくわかる。3部・4部は、「日本人が最も多く映画館へ行った年ー1958年」など1年ごとにまとめられていき、崩壊へのカウントダウ
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長年のクラシック音楽ファンであれば、ほとんど知っている話ばかりだが、わりとしっかりと、それでいて要点を押さえて一冊の文庫本にまとめてある。かつては三浦淳史さんあたりがレコード芸術に紹介していたような話だが、近頃は見かけなくなっている。(いまは熱心な読者ではないので断言はできないが)
クラシック音楽を聞く若い方には、過去の演奏家たちがどう戦争・政治に向き合ってきたか、現代史の一面を知る意味でも手に取ってもらいたい本です。
あとがきを見ると、連載から単行本にする際に手を入れ、文庫化するにあたっては大幅に加筆・修正を入れているようで、読みやすい日本語にもなっていて、しかも録音の紹介、年表も整備されて