中川右介のレビュー一覧
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面白い。戦後の日本の歩みと漫画の歴史を俯瞰して書いている。
名前の出てくる漫画家がスター級ばかり。大物列伝の歩みや、盛衰が描かれているが、その中でも少女漫画の大御所、萩尾望都と竹宮惠子の人間関係を書いた…が、そこは書かないほうが良かった。
漫画に夢や反体制の意味づけがされた時代や、その後など、群像劇としては素晴らしく面白いのに、人間関係になるといきなり下世話になる。
一つの漫画を取り上げて、変な深読みした挙句、日本の革命は二十代の女性が起こす、とか、おっさんな結論。
有名税とはいえ、ここまで勘繰っていろいろ詮索されるのは苦痛だろうと、萩尾望都と竹宮惠子に同情した。そもそも
傑作を描いたのはこの -
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新作「コナン」が興行収入100億成し遂げる勢いに対して、公開一ヶ月経った「シン・仮面ライダー」ただいま20億行くか行かないか…それが続編(「仮面の世界」?)のありやなしやの運命を決める、と言われています。さて、東映はまた庵野秀明にオファーするのか、どうか?ここ数日で命運決まるような気がしてドキドキしています。本書を読んでいて庵野秀明は21世紀の黒澤明か?と思ったりしました。そこそこ利益上げても大ヒットじゃないと面倒臭がられる…映画は監督のものではなく、その監督に作らせる会社のもの。その会社の最高権力者「社長」にフォーカスした映画産業興亡史です。まったく新しい視点の本ですが、ものすごく既読感ある
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中川右介さんはクラシック音楽関連の本が多数あり、半年前に「至高の十大指揮者」を読んだ。
阪神の大ファンであるらしく、日本プロ野球を牽引してきたのは巨人ではなく阪神だと主張するために書いた本らしい。
1936年にプロ野球が発足した時は7チーム。
親会社が同じなのは阪神タイガース(大阪タイガース)だけ。
球場が変わっていないのも、阪神甲子園球場だけ。
これが牽引してきたという拠り所みたいだが、素直に凄いと思う。
プロ野球の変遷という視点で、戦前から戦後・現在に至るまでの日本の産業の発展と衰退の歴史の一端をたどることもできる本だ。
テレビの普及が映画を衰退させる要因となったが、同時にパリーグも -
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『萩尾望都と竹宮惠子』は楽しく読めた。本書も期待して読む。著者はデテールへのこだわりをお持ちで、本書もその長所が遺憾なく発揮されている。
『ドラえもん』は、それぞれの小学生にとって、「小学一年生」4月号から「小学六年生」3月号まで6年間・72回にわたる長期連載である。/6年間の物語は、輪唱するように6本が同時進行している。
『ドラえもん』はパラレルワールドだった!
学年繰り上がり方式を採用した藤子・F・不二雄大全集で全貌が明らかになったこの指摘。こんなことをやり遂げたマンガ家は全世界で藤子・Fただ一人だろう。
のび太の年齢の上限は「1970年1月当時の小学4年生」という指摘にも驚かさ -
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筆者独特の、取材無し、記録と文献から作りだす一代記。起こったこと、過去に書かれてあることのみに焦点をあて、それを筆者の解説(とはいえ筆者フィルターがかかりすぎているわけではなく、確かにそうとしか見えない解説)とともに読み進められる。
映画の隆盛から衰退までのあっという間の15年間(1955年~70年)を、雷蔵と勝新を中心に映画会社並列で語っているため、全体史のなかでの彼らを読み取れる。目に見えるように映画産業が衰退していったこと、そのなかで三船と裕次郎のプロダクション設立は存外に早かったこと、そして結果ほぼ同格の4大スターが自身のプロダクションを作る中で雷蔵のみは映画会社を離れることなく劇団 -
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歌舞伎から映画へ移り成功した最後の 世代、市川雷蔵と勝新太郎――
市川雷蔵と勝新太郎はともに一九五〇年代から六〇年代にかけて、大映、いや日本映画界を支えた俳優である。
歌舞伎から映画へ移った俳優たちはみな、世襲と門閥で配役が決まる歌舞伎の世界ではいい役につけず、映画という新天地を目指した。そして雷蔵の死と大映の倒産で「時代劇映画の時代」はとりあえず終わり、残った時代劇スターたちの活躍の場もテレビへ移行した。雷蔵と勝は、歌舞伎から映画へ移り成功した最後の世代だった。
力作。まったく知らなかった作品がいくつもあった。観る機会はあるだろうか。 -
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ネタバレ中学生の自分には怪奇的すぎる表紙だった
あまりの恐ろしさに目が離せず買い始めた
角川文庫横溝正史シリーズ
アタクシの推理小説への一歩である
毎年20冊は出るので買う…小遣い全滅w
本書は二人の推理小説の産みの親を軸に出
版業界の歴史をも描く興味深い一冊
40年昔なので記憶力乏しい身にはアレです
が小栗虫太郎・坂口安吾・甲賀三郎・海野
十三・大下宇陀児・都築道夫・高木彬光・
鮎川哲也・二木悦子・・・甘酸っぱく懐か
しい思い出です(内容の記憶は全滅ww)
時代背景から殺人事件が書けず捕り物帳に
逃げたり、GHQの制約で推理小説復権の場
ができたり
読むべし(´・ω・`) -
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タイガースの暗黒時代を客観的事実のみで積み上げていく。もちろんどの事実をピックアップしているのかに著者の意思が反映されているわけだけど。
タイガースって実は黄金時代がない。連覇したことないしね。たんたんと語られる敗北の歴史だけど、全部覚えているんだな。そして、どうしようなくダメな球団なんだと分かる。チームがダメなんじゃなくて球団が最低なわけだ。
最たる例が、中村監督を6年間使ったこと。現場からもフロントからも無能の評価しか得られなかった男にのみ、6年という時間を与え(なぜ村山ではなかったのか)、最後にはスカタンといって放り出す。ミスタータイガースで円満に球団を去った選手もいない。最低である。
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本当に面白い。
時代がいつであろうと「ゼロからイチを生む」話は本当に面白い。
この手の物語はどんな話でも共通項があるのが不思議だ。
それは、今までの世界を壊して、新しいことを信念を持って生み出すこと。
興行の世界はもちろん歴史があるし、その中でうまく循環している権益があった。
それを松竹兄弟はバッタバッタとお客様目線でなぎ倒していく。
さらに東宝の小林一三はまったくの異業種出身。
銀行から鉄道業へ。それが宝塚を生み出すことになるとは、本当に人生何が起こるか分からない。
この2者に共通することは、ものすごくシンプルだ。
・現存のシステムに疑問があり、変革することに大きな野望を持っている
・目の前