中川右介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
第九絡みの本といえば、通常名演奏の紹介やら解釈上の諸問題やらを細かく論じる物が多い中、少なからずそうした事にも必要上最小限に触れはするものの、むしろ第九が「喜ばしい式典に演奏される曲」であったり、逆に「鎮魂などの厳かな場面に演奏される曲」という意味合い持たされるようになった経緯や、政治に利用される様になって深まってきた深刻な演奏環境、第九によって演奏上の解釈という仕事が指揮者に不可欠の問題になった事、さらに演奏会場の問題や職業指揮者誕生のきっかけなど、広い意味で第九が世間と音楽社会にどのような影響をあたえるような存在になってきたのかをわかりやすく解説した良書。
-
Posted by ブクログ
事件自体はほんの数時間の出来事だった。しかし、その事件の発生は
各界に大きな衝撃をもたらした。
日本を代表する作家であり、ノーベル文学賞受賞の可能性も取り沙汰
された三島由紀夫は自身が主催する民兵組織「盾の会」会員を引き連れ、
自衛隊市ヶ谷駐屯地を訪れた。
三島と自衛隊は近しい関係にあった。だが、この日の訪問は穏やかには
終わらなかった。
東部方面総監を人質に取り、自衛隊員にクーデターの決起を促す
演説を行う。三島の演説には自衛隊員からのヤジが飛ぶ。
これだけでも充分な大事件である。その後、三島は自衛隊員が彼と
一緒に立とうとしないことを確認し、切腹という方法でこの事件の幕
引きをする -
Posted by ブクログ
「カラヤンとフルトヴェングラー」の続編にあたる時代を扱っています。フルトヴェングラー亡きあと、ベルリン・フィルを手中に収めたカラヤンは、ウィーン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭をもその手に握ることに成功。更にいくつもの歌劇場やオーケストラを掌握し、ヨーロッパ音楽会に「帝国」を作り上げました。
自らの処理能力を超える数の歌劇場やオーケストラを、支配下に置こうとしたのはなぜか。 録音という新しい技術を最大限利用し、クラシック音楽を大衆化したこと。音楽祭を創始してまでも、最高のオペラを上演することを求めたこと。「全て」を初めから手に入れ、その権力を維持してゆくテクニック。クラシックを民主化した、とい -
Posted by ブクログ
世界最高のオーケストラとして名高いベルリン・フィルに、そしてヨーロッパ音楽界に君臨した二人の指揮者、フルトヴェングラーとカラヤン。彼らの紡ぎ出す美しい音楽とは対照的な、どろどろとした人間模様、時代に翻弄される音楽の現実が、生々しく語られます。
ナチスが政権に就いた1933年以降、ドイツの音楽家たちは決断を迫られました。ある者は亡命を選び、ある者はドイツに残り、残った人々にはナチスとの距離をどう取るかという問題が残りました。既にベルリンフィルの主席指揮者であり、ドイツを代表する音楽家でもあったフルトヴェングラーは、ユダヤ人を保護し、新しい音楽を支持することでナチスと対立しつつも、ドイツ音楽の広 -
Posted by ブクログ
株式会社アルファベータで編集長を務めながら精力的に著作をモノにしている中川右介さんによる昨年末発刊の著書。
クラシック界で最も有名な曲であるベートーヴェンの第九交響曲の誕生と以後の演奏遍歴を年代を追って解説している。
ベートーヴェンによる作曲から初演、その後の演奏遍歴を読むにこの曲が同時代人ではなく後世に大きな影響を与えていったことがよくわかる。メンデルスゾーン、ワーグナー、マーラー... 作曲家として今に名を残す人々にどのように作用していたのかも興味深い。
この曲だけではないだろうが、オーケストラの形や演奏能力の標準としての指標にもなったのだろう。
原典や各種の資料にも丁寧に当たって正確な記 -
Posted by ブクログ
死後40年に蘇る昭和45年11月25日。120人以上の、どこで、なにをしていて、どう感じたか、を時系列で再現することで「日本で一番夕刊が売れた日」を体感できます。本人の言葉とか新しい事実とか再評価とか次元の違う記述がないことで自分にとっての三島事件を考えざるを得ない構成です。一瞬で砕け散ったガラスの破片が当時のすべての日本人の心にそれぞれに突き刺さっているのは、そして今もチクチクさせ続けているのは、この事件が思想の事件とか制度の事件ではなくて個人の肉体の事件だったからだと思いました。首の上と下が別々になった肉体の物語を、われわれはその後、消費し続け、そしてまったく消化できずにいます。この事件は
-
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
巨匠フルトヴェングラー亡き後、音楽界の頂点、ベルリン・フィル首席指揮者の四代目の座を掴んだ男、ヘルベルト・フォン・カラヤン。
彼は類い稀なる才能と権謀術数を駆使し、ザルツブルク音楽祭、ウィーン国立歌劇場他、名オーケストラの実権を次々掌握、前代未聞の世界制覇を成し遂げる。
何が彼をかくも壮大な争覇の駆け引きに向かわせたのか?
盤石だったはずの帝国に迫る脅威とは?
二十世紀音楽界ですべてを手にした最高権力者の栄華と喪失の物語。
[ 目次 ]
第1章 帝国の建設(三方面作戦;ザルツブルク陥落;ベルリンとの駆け引き;ウィーンの陰謀劇;拠点としてのロンドン。ミラノ;帝王の誕生)
第2章 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
長い歴史を誇るウィーン・フィルですら一八四二年の創立だから二百年に満たない。
つまりベートーヴェン(一七七〇‐一八二七)の時代には存在しなかったわけだ。
かように近代になって誕生した「オーケストラ」は、きわめて政治的な存在であり、戦争や革命といった歴史的大事件に翻弄されやすい。
「カラヤン」をキーワードに十の都市の十の楽団を選び、その歴史を、指揮者、経営者そして国家の視点で綴った、誰もが知る楽団の、知られざる物語。
[ 目次 ]
第1章 シュターツカペレ・ベルリン
第2章 ニューヨーク・フィルハーモニック
第3章 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
第4章 レニングラード・フィ -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
クラシック界最高の名声と金そして権力が集中するベルリン・フィル首席指揮者の座。
ナチス時代、その三代目に君臨する巨匠フルトヴェングラー。
彼は誠実な音楽の僕でありさえすればよかった、比類なき才能と野心をもった青年カラヤンが現れるまでは―。
嫉妬の炎を執拗に燃やし詐略をめぐらす巨匠、巧みに抗うカラヤン、そこに巨匠を慕う無名の田舎音楽家チェリビダッケが加わり、争いはさらに複雑になる。
クラシック黄金時代の美と欲望のドラマ。
[ 目次 ]
第1章 巨匠と失業者―一九三四~三八年
第2章 代理戦争―一九三八年
第3章 陰謀家たち―一九三九~四二年
第4章 黄昏―一九四二~四五年
第5章