あらすじ
1970年に登場して以来、いまや日本人に生まれて知らない人はいない(?)、いやいや、世界的にもファンが多い、わが国の国民的マンガ『ドラえもん』。あまりにも有名で、まるで空気のような存在のためなのか、はたまた子ども向けマンガと軽く見られたからなのか、正面きって論じられることはこれまで少なかった。しかしその作風は、たんなる生活ギャグマンガにあらず。『鉄腕アトム』直系のSFロボットアニメであり、『新世紀エヴァンゲリオン』の先を行く「セカイ系」でもあり、『けいおん!』に代表される「日常系・空気系」の元祖ともいえる、マンガ・アニメ史のパイオニアなのである。しかも『サザエさん』同様、主人公が成長しない「ループ物語」でありながら、調べていくと、なんと村上春樹氏もビックリのパラレルワールドだったのだ……。そして何より、政権交代、フェミニズム、スクールカースト、世代論、郊外論、戦闘美少女と、戦後からいまにいたる日本社会の推移をまるで予見でもしているかのような、社会学者が舌なめずりして飛びついてもおかしくないほど格好の研究対象なのである。『ドラえもん』を読めば日本社会のふしぎがわかる!ドラえもんワールドが好きで好きでたまらない人も、そうではない人も、じつは深すぎる『ドラえもん』の世界観にふれてみよう。
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Posted by ブクログ
読み物としては面白い。
著者の興味がある点についてはしっかり研究している。
しかし、その他の点については、原作を読んでいるとは思うが、原作に描かれていることと異なる内容の記載が散見されるのが残念。
過去に出版された「『ドラえもん』の秘密」もおすすめ。
Posted by ブクログ
意外に面白かった。
ドラえもんに掛けた社会分析かと思っていたのだが、本当にドラえもんの分析だった。一部そうでないところもあったが。
ドラもんは子供向けマンガであり、落語的物語なのだ。そういうことなのだ。
実に面白い。
最後の章で、ドラえもんのパラレルワールド的あり方を、そういやそうだったと思い出した次第。
Posted by ブクログ
『ドラえもん』を社会学的に分析した一冊。
ちまたにある謎本とは一線を画している。
また、過去のドラえもんが生まれた経緯や連載事情なども知ることができて良かった。
Posted by ブクログ
ドラえもんこそ真の主役という筆者の説を私も支持致します。
色々と細かい考察が為されており、藤子先生も草葉の陰で喜んでおられるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
タイトルに引かれて、思わず買ってしまった一冊。
1.しずかちゃんについての考察、2.ドラえもん世代、3.のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫のスクールカーストについて、4.パラレルワールドなドラえもんの歴史について。
1-3については、楽しく読めました。表題にもあったしずかちゃんがのび太と結婚した理由は、詳しくは分かりませんが、しずかちゃんがクラスのマドンナは、良いとして、戦闘少女と言うのは、笑ってしまいました。
確かに、それに加えて、意見もきちんと言うし、性格も良い、しずかちゃんが、何のとりえもないのび太と結婚したと言うのは、分かりかねるかも。
3に関して、のび太、スネ夫、ジャイアンがスクールの低いカーストと言うのも、そういう見方もあるのだと、唸ってしまいました。暴力のジャイアン、嘘つきのスネ夫が組んでのび太をいじめるのは、民主主義故に当然のこととか。これは、読んでみないと分からない。ドラえもん、のび太の関係をアメリカ、日本に例えるのも面白い。
世界は随所、スネ夫仕様なのだ。「悪いなのび太、ころ三人用なんだ」の言葉、椅子とりゲームより、質が悪いかも。固定化された社会みたいで。
突っ込みだすと、きりがないですが、最後に落ちがつくいつもの楽しいドラえもんもありですが、ちょっと大人向けのドラえもんも楽しかったです。
Posted by ブクログ
「ドラえもん」を考察するにあたって、本編だけでなくて劇場版のシリーズや、「のび太の結婚前夜」みたいなビデオ版の中編アニメの話まで含めての考察だったので、その辺に関しては信頼性が高いと思います。
学年誌掲載の関係で、第一話が数種類あるとか、最終回も数種類あるとかっていうのはこの本で初めて知りました。
ただ・・・ドラえもんを通して社会を見るという視点はちょっと失敗だったのではないかなと思います。
特にドラえもんとスクールカーストの関係についてやジャイアン・スネ夫は民主党政権?っていうのは首をかしげてしまう。
スクールカーストの上位に来る人たちが皆、「みんなに好かれる人気者」とは言い難いという事実、この著者は知らないんじゃないの?